人種を超えて、職種でつながる楽しさと豊かさ
10年ほど前、英語とグラフィックデザインの勉強をするため、ニューヨークに留学しました。
渡米当初は英語もままならなかったので、当然ながら英語が標準語として使われるデザイン学校では、聞き取ることで精一杯でした。英語のシャワーを浴びる毎日に、私の脳みそは処理能力が追いつかず、頭痛がするくらい脳の疲労を感じていました。(おかげでぐっすり眠ることができたけれど)
そんな状況だったのですが、日本のデザイン会社で数年働いた後に留学したので、「デザイン」という共通語のおかげで、何とかコミュニケーションをとることができたのです。
授業の内容はそれまで現場で経験してきたことが多く、基本的なデザイン理解があったおかげで、先生やクラスメイトが言っていることは分からなかったけれど、やっていることは分かるという不思議な感覚を体験しました。
それから、聞き取ることで一生懸命だったので、自分の意見を伝えることなんてかなりハードルが高く、言いたいことが言えないもどかしさや悔しさをたくさん体験したのですが、デザイナー同志の見えない意思の疎通力、それから世界中から人が集まるニューヨークという街の懐の深さ(母国語が英語ではない人も多いので、完璧な英語力ではない会話にみんなが慣れている)のおかげもあって、英語がままならない私でも友達をつくることができました。
試行錯誤しながら色々と経験しましたが、この留学の体験で学んだことは、「多様性の中の共通言語」。英語という言語自体もそうだけれど、「デザイン」というある種の言語もそうだな、と実感しました。
好きなものが似ている人は、英語という言語を超えて、感覚で理解し合うことができる、そんな思いを抱くようになりました。
そして帰国してからも、仕事を通じて、色々な国を旅することで、その思いは確信へと変わりました。
まだまだ英語は発展途上の私ですが、デザイナーやものづくりをしている人とは「なんか分かり合える」のです。更に、私の全く予想できないアイデアが出てくる時なんかは、それはそれは楽しい体験なのです。
「違い」を教えてもらった時に感じる豊かさ。あぁ、たまらん。
そんな経験を通して気づいたこと。それは、職業が同じ人は国境を超えて醸し出す雰囲気が似ているということ。
髪型や服装は分かりやすい共通項ですが、顔つきや身振り手振りも、なんか共通項があるのです。
<グラフィックデザイナーの場合>
・服装や髪型にこだわりがある
・痩せ型
・シャイ
・ちょっと近寄りがたい
・よく観察している
・おしゃべりではない
・受け身的
・斜に構えている(ように見える)
・群れない
・ある種のことに対して異常に細かい
・オタク気質
・実は優しい
・いつも何か考えている
・好奇心旺盛
・よく言えば純粋、悪く言えば子供っぽい
私に当てはまるところもあるし、そうではない(と思っている)ところもありますが、私が思うグラフィックデザイナーという職種の人に共通する特徴です。
世の中にたくさんある中の、ひとつの職業なので分かりづらいかもしれませんが、例えばこんな職業の人たちはどうでしょうか?
・空港の税関職員
・ランクが同程度のホテルの従業員
・パイロット
・キャビンアテンダント
・バスの運転手
・カフェの店員
・本屋の店員
・道路工事をしている人
・警察官
・レスキュー隊員
・大学の先生
・金融業界で働く人
・アーティスト(画家、彫刻家、作家、音楽家、歌手など色んなジャンルごとに)
・花屋
・美術館の監視員
・国の要人
・シェフ
・各種スポーツ選手
・宇宙飛行士
などなど
なんか分かりませんか?笑
最近はNetfilixで色々な国の映画やドラマを観ることができますが、こういった作品を通しても共通項があるように思えます。
特に、医者/弁護士/記者/モデル/消防団員/警察官/悪者/スパイ/シェフなどは、作品によく登場してきますよね。
「国境を超えて」と言えば「医師団」ですが、ちょっと調べてみたところ「国境なき医師団」以外にも色々あるようです。
・医師団
・記者団
・エンジニア団
・ピエロ団
・弁護士団
・化学者団
・天文学者団
・科学者団
そして、「エンジニア団」で思い出されるのが、アノニマス。
インターネット上のハクティビズム活動家が緩やかにつながりをもった国際的なネットワークである。名目上、グループと関連しているウェブサイトにおいては「命令というよりもアイデアに基づいて運用されている非常に緩やかで、分散化された指揮系統をもったインターネット上の集まり」
(ウィキペディアより)
とのことですが、きっと似た感じの雰囲気を持った人たちなんだろうな、なんて思います。
志を持った人の思いが、表面に出てくることは当然と言えばそうかもしれませんが、改めて観察してみると面白いと思いますよ!
もし機会があったら、国境を超え、同じ職業の人とコミュニケーションすることも、とても楽しいと思うのでおすすめです。
PS グラフィックデザイナーのみなさん
Instagramでは、世界中の素敵なグラフィックデザインを見ることができるので、私もよく使っていますが、今日のヒットはこの投稿。「分かるー!」と思いませんか?
(左)クライアントの期待しているロゴ
(右)クライアントの予算でできるロゴ
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