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消極的なのは悪いことか 〜積極的な人と活発な人の違い〜
■相性の良い人•居心地の良い組織
普通に生きていれば色んな人や組織と関わりますが、誰しも、なんとなく「この人は合うな」とか、「この組織は合わないな」とか色々思うはずです。波長の合う人や組織の中にいれば特に何も気に留めることはありませんが、不運にも合わない人や組織と関わらざるを得ないような状況に置かれてしまうと、なんとかならないのかと日々思い悩んだり、酷い場合には精神を病んでしまったりすることもあるかもしれません。
まだ弱冠25歳と大して長く生きてきた訳ではありませんが、今までの人生で感じてきたことや、関わりのあった人や組織について振り返って考えてみると、「合わない」とはどういうことか。あるいは、もしそう感じたらどうすれば良いか。といったことについて、ある程度現時点での答えのようなものが見えてきたので、簡単にまとめておきたいと思います。
■積極的な人と消極的な人
ちなみにここで言う「合わない」は、「マナーの悪さが見てて不愉快だ」とか、「声が大きくて騒々しいから嫌い」とか、文化的な違いや素行の面での「合わなさ」ではなくて、「なんとなく性格や考え方が合わない」みたいな感じのものをイメージして貰えればと思います。
人の性格の分け方には色々な観点がありますが、「積極的か消極的か」というのはかなり単純かつ明快な分けではないかと思います。具体的に言うならば、「何事もとりあえずやってみる、新しいことにどんどん挑戦したいタイプ」か、「失敗して労力を無駄にするのは避けたい、とりあえず現状維持することを好むタイプ」です。
そしてこの「積極的か消極的か」の観点で周囲を見渡してみると、積極的な人は積極的な人同士で、消極的な人は消極的な人同士で集まっているように感じませんか。もしくは自分がどちらのタイプか考えてみると、仲の良い友人や同僚には同じタイプの人が多くいるような気がしませんか。
これについては単純な話ではないかと思います。積極的な人からすると、消極的な人と一緒にいると変化が少ないから面白くない、逆に消極的な人からすると、積極的な人と一緒にいると現状の安定が乱されるから心地良くない、とそれぞれ感じるはずです。
更に、この違いは組織の中の人間関係で顕著に表れます。基本的に組織というものは、会社の部署から町内会の集まりに至るまで、人の好む好まざるに関わらず、ある特定の目的に沿って人の繋がりが形成されたものです。この時積極的な人から消極的な人まで満遍なく組織の中に混ざっていると、「積極度合い」「消極度合い」の近い人が寄ってきて、「合う」人達が自然とグループを作り始めます。しかし困ったことになるのは次の2パターンです。
①積極的な人ばかりの組織で、1人だけ消極的な場合
②消極的な人ばかりの組織で、1人だけ積極的な場合
①の場合は消極的な人がひたすら疲れます。積極的な人ばかりの組織だと毎日が刺激的かもしれませんが、それは消極的な人にとっては苦痛以外の何物でもありません。しかも積極的な人からするとやる気がない人だと思われるので、居心地は良くはありません。積極性の差があまりにも大きくなると、精神を壊してしまうようなことに繋がります。
一方②の場合も同様に、積極的な人はひたすら不満を溜めることになります。積極的な人は「もっと色々やってみようじゃないか、こうすればもっと良くなるんじゃないか」と色々と考え行動するものの、周囲は協力してくれないどころか、基本的には現状を変えようとする行動を止めようとする動きが生まれます。運が悪いと、空気の読めない鬱陶しいやつだと思われて干されてしまうかもしれません。
あるいは②の異なる展開として、数少ない積極的な人が井の中の蛙になってしまうパターンも多そうです。例えば積極的な人は概して良く働くので、消極的な人が大半の会社では評価が高くなることがあります。単に優秀で評価が高いのであれば良いのですが、最悪なのは周囲が消極的な人ばかりであるために事勿れ主義が蔓延した結果、積極的な人の言う事なす事に誰も意見も反対もせず軌道修正が図られないため、本人は自信たっぷりに正しいと思ってやっていることが、客観的に見るとずれた方向へ暴走してしまっている、といった状況になりかねないことです。酷い時には組織内で暴走した積極的な人が、外から新たに入ってきたまともに積極的な人と衝突•攻撃するような事態を招く可能性もあります。
■なぜ積極性に差が出るのか
簡単なようで意外と難しい「積極性」という性質ですが、そもそもなぜ人は積極的だったり消極的だったりするのでしょうか。
今までの経験からの推測に過ぎませんが、過去に苦労して成功した体験をどれだけしているか、が鍵のような気がしています。更に正確に言えば、より大きな成功を、より苦労して達成していればしている程積極的な性格になる傾向があるのではないか、ということです。
例えば裕福は大人が2人いて、片方は親からの資産の相続、もう片方は子供の頃は貧乏暮らしだったものの、自分の力で成り上がったとします。このような場合だと、金額的には同じ程度の成功でも、それを達成するために費やした苦労の度合いが違う訳です。これは見方を変えれば、前者は「幸せを手に入れるのにはそんなに努力は必要ない(積極的に行動しても、得られる幸せよりも費やす労力の方が大きい)」と感じますし、後者は「沢山努力すればより沢山の幸せが手に入る(努力すれば費やす労力よりも沢山の幸せが手に入る)」という感じ方の違いが生まれます。「厳しい環境を生き抜いてきた人の方が、ハングリー精神が旺盛になり易い」のと考え方としては同じです。
■活発な人と大人しい人
「積極的or消極的」と何が違うんだ?と思われるかもしれませんが、言葉の意味を厳密に捉えると言うよりは、イメージで考えて下さい。要するに言い換えるならば「遠慮しない人と遠慮する人」のようなイメージです。
この二つの分けを組み合わせると、以下の4パターンが考えられます。
①積極的で活発な人
②積極的だけど大人しい人
③消極的だけど活発な人
④消極的で大人しい人
①と④は特に違和感はないかと思います。容易にイメージができます。ややこしいのは②と③です。
②については、要するに色んなことにチャレンジするタイプだけれども、他人にぐいぐい干渉するというよりかは温厚で、人から求められた時だけ面白いものをちょうど良い分提供してくれるような人です。このタイプの人は他の人と摩擦を起こすことも少なく、皆から満遍なく愛されることが多いような気がします。ただマイナス面を挙げるとすれば、良い考えを持っていたり行動をしていたりするのに、主張が弱いために周囲に見過ごされてしまったりすることがあるかもしれません。
一方③のタイプは、新しいものに対して明確な拒否反応を示し、現状を変えて欲しくないとの思いをしっかりと主張するような人です。このような人は、④のタイプの人からすると、汚れ役を進んで勝って出てくれるヒーローのような存在です。しかし②のタイプの人からは内心鬱陶しがられるでしょうし、①のタイプの人とは正面から衝突してしまう可能性があります。
■消極的な人は悪なのか
以上のように考えると、積極的な人からすると、消極的な人は困った人、悪い人であるかのように見えてしまいますが、個人的な感情を抜きにして大きな目線で捉えると、また違った見方もできます。
例えば10人の大家族がいて、その中で生活に必要なお金を稼げる人が3人いたとします。その内2人は積極的な人、1人は消極的な人であったとします。2人は家族により良い暮らしをさせるために積極的に色々なビジネスに挑戦しますが、1人は賃金は良くないけれども従来の手堅い仕事を消極的にやり続けています。この場合は積極的な2人が相次いでビジネスに失敗し資金を失ったとしても、残った1人が堅実に働いているおかげでなんとか食い繋ぐことができ、失敗した2人もいずれは再起を掛けて挑戦することができるでしょう。
しかし3人共積極的な人で、運悪く3人共失敗してしまった場合、10人の大家族は再起不能になり、一瞬にして全滅してしまいます。多様性があるからこそ種が存続できるのだ、と言うダーウィンの自然選択説(自然淘汰説)に通ずるものがあります。一方、積極的だった2人が2人共それぞれのビジネスで成功したとしたらどうなるでしょうか。鍵となるのは従来のビジネスを続けていた消極的な1人がどうなるかです。稼いだお金は皆で平等に分け与えましょうとなれば、消極的な人も積極性な人と同じだけのお金を得る事ができます。しかし、自分の取り分は自分自身の成果に比例するとなれば、消極的な人は積極的な人よりも少ないお金しか貰うことができません。実社会に単純に当てはめるならば、前者が共産主義、後者が資本主義です。
■結局、積極的•消極的のどちらが良いのか
今まで考えてきたことをまとめると、以下のようになります。実感が湧くように「働く」ことを想定して整理してみます。
①ビジネスで成功する力があるならば、積極的に挑戦した方が得、ないのであれば、消極的に現状維持に努めた方が得
②資本主義経済においては、消極的だと長期的には損(技術革新のお陰で経済は成長し続けているので、いずれは成功した積極的な人に差をつけられてしまう)
③消極的な人が積極的な人だらけの組織に入るのは損、積極的な人が消極的な人だらけの組織に入るのも損
結局のところ一番得する可能性が高いのは「積極的な人が沢山いる職場で、ビジネスで成功するための力に磨きを掛けつつ、積極的に仕事をする人」だと思います。色々こねくり回して結局意外性ゼロの結論ですが…。
あとは色々書きましたが、あくまでもこれらの内容は一般論として、確率論として、の話です。中には消極的な人だらけの組織で大改革を成功させて圧倒的な結果を叩き出すスーパー積極的な人もいるかとは思いますが、普通の人はそんな火中の栗を拾うようなことはしないでしょう。また積極的な人、消極的な人と敢えて2つに分けて書いてきましたが、実際には綺麗に2つのタイプに分かれる訳ではなく、人によって強弱も様々だと思います。
ちなみに積極的な人の方が得だという結論ではあるものの、ならば消極的な人がもっと積極的になりたいと思った時にどうすれば良いか、については特に触れていないので、また機会があれば色々考えて書いてみたいと思います。
(〜冒頭の写真は米ワシントンD.C.のスミソニアン航空宇宙博物館で撮ったものです。並外れた積極性が無ければわざわざ苦労して宇宙へ行こうとは思わないでしょう。過去の積極的な人々が宇宙を目指して頑張ってくれたお陰でできた便利なものが、今の世の中には沢山あります。GPSとか、気象予報とか、etc.〜)