夏の酸味
人の味覚は体調により変化するのは周知の事実。加えて、季節により変化する。夏は酸味をすっぱみがちに感じ、好む。ゆえに、味覚に敏感なスペシャルティコーヒーロースターは、サマータイム導入のように、銘柄のロースト標準を夏用と冬用に分ける、はずだ。
ところが、ロースターの多くは、この「モード変更」を宣言しているのを見ない。スペシャルティコーヒーが嗜好品としてではなく、商業的であるならば、ここまでの気遣いをコーヒーにすることはないのかもしれない。こんなことすら考えないお客には、こんなことまでする必要などないのだから。
しかし、香味を感じてもらうことがスペシャルティコーヒーの楽しみ方であり、その楽しみ方を知ってもらえればもらうほど、嗜好だろうと商業だろうとユーザーが増え、活況になることはまちがいない。ならば商業で考えているスペシャルティコーヒーロースターたちも、ヒトの味覚の季節の変化に対応してみる価値はあると思うのだが。
それとも、そこまでスキルがない、ということなのか。関心がなければ自らの技術の進化はない、か。