過去のおはなし、さん
「そんな稼げない仕事」(意訳)
と言われたときの話。
高校三年生のときのはなし。
進路の、三者面談の時の話。
私は小学校3年生の時「声優になれるよ!」と友人に言われたことをきっかけに「声優になる!」と思っていた。
思ったまま、高校三年生になった。
今思えば、なにか行動できることがあったのかもしれない。
けれどわたしは、思ったまま、高校三年生になった。
そこで、声優の専門学校に行きたいということが、母親に明かされた。
(なお、母親との関係は、悪くはないのだ。悪くはない。ただ私が心を開いていなかっただけで)
そこで言われたのが、冒頭の言葉になるわけだ。
それは、高校の進路相談の三者面談の時の話。
声優の話なのだから、今考えてみれば、別段、
それ以外のことを指してはいなかった、の、だろう。(と、思いたい。)
でも、なぜだろう、わたしはひたすらにその言葉にいまもなお縛られている。
稼げないことはしては、いけない、という呪い。
いけない、だなんて言われてはいないけれど。
してしまったら、どうなると、思ったのだろう。
恥ずかしい、怒られる。
矢面に、たちたくなかったのだ。
ひとにとやかく言われるのが嫌だ。
前に立ったら、とやかく言われる。
人の意見に沿わない何かをすれば、とやかく言われる。
ああ、否定された、気分になったのだ。
自分のやりたいことを、否定された気分に、なったのだ。
あるいは、自分の否定に、感じたのかもしれない。
心配ゆえの言葉ではなく、ただただ否定に聞こえたのだ。
おまえにはできないと、そう、聞こえたのだ。たぶん。
否定されたくない。否定されたくない。否定されたくない。
誉めてほしい認めてほしい否定しないでほしい。
それがおかあさんの安心のためだったとか安定のためだったとか、そういうの、いまなら情報としてわかるけど、でも、いやだった。
おまえにはできないって言われるのが、はずかしかった。いやだった。
否定されるのは、いやだ。