おすすめnote詩「竹林」

三連構成のようです。全体として「真っ直ぐなもの」に対する憧れ、疑い、後ろめたさ、を感じました。それは「真っ直ぐなもの」のイメージが全体に散りばめられているのと「真っ直ぐではいられない自分」もまた随所に書かれているからだと思います。

一連目。自分はピアノなど全くの音楽音痴だからなのかもしれませんが、「たぶん鍵盤の「ソ」/の、雨音に」の部分で、雨音って「ソ」なんだあ、と思わされました。こういう感覚を得られるから詩って好きです。「半透明の傘の向こうには/竹林がある」ですが、何度か読み返しているうちに、ここは「わたし」のメタファーなのかなと思いました。ここでの「半透明」は存在の希薄さではなく清廉潔白ではない状態を表現しているのかな、と読みました。またここでも「一直線が正しい/と、思う」と「一直線」に対する思いが語られています。

二連目。
自称〇〇には、どこか真っ直ぐなところを感じないでしょうか。私はこういうものです、という無邪気な宣言。誇らしげでもあり屈託がありません。そんな真っ直ぐな「自称ベジタリアン」は「白線」=「真っ直ぐなもの」を歩くように言ってきますが「わたし」にはそれが出来ません。「ベジタリアンにはなれない」=「真っ直ぐにはなれない」なのではと思いながら読みました。ちなみに「T」は直線二本からなるアルファベットですが偶然でしょうか。

最終連。「一直線な精神で/生えようとしている/わたしはそれを/裸眼で見ることが/できない」自分はここには意味が二つ重なっているのではと読みました。一つ目は、生来的に見れないということ。二つ目は「わたし」には邪なところがあって直視できない、という二つです。とにかくここは「裸眼」という単語の選択がとても活きているように感じます。

まとめますと、そもそもタイトルの「竹林」が直線が多いように視覚的にも真っすぐなものがたくさん含まれている詩です。「わたし」は「直線」なるものに懐疑的だったりしますが、実はこの詩、細部まで作り込んでいるところから感じるように、とにかく詩に対しては真っ直ぐな気持ちであることが伝わってきます。


今日のメモ ↓

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