おすすめnote詩「夜を追う」
一連目。
「川を遡るように視線を泳がせる」
過去に遡る、とは書かずに「川を遡る」となっていて、それは「泳がせる」と呼応している。さらに一連目の後半部、「思い出す」「ヒグラシ」のイメージへの入口になっている。「それに救われるひともいるから」も素敵な文章で惹かれます。
二連目。
「線を引くたび」から始まる文章の発想がすごい。何かのメタファーなのかもしれない。どうしたらこういう発想にたどり着けるのだろう。手書きで漢字を書くとき、最初の一筆目でその漢字をイメージすることが出来たとして、それが着想点なのだろうか。「それもまた特権だから」と言う「決して目を合わせないひと」の台詞が素敵。そういえば人のことを思い出す時ってあまり目が合っていない映像なのは何故だろう。
三連目~最終連。
「延々と続く暗がりが ただの路上であることも忘れて」の一文も素敵。実感として納得してしまう。たしかに夜中に歩いている時、それを路上だということを忘れている。そして、ここで夜の路上のイメージが喚起させるものは「過去」なのだろう。夜の路上には「堆積した文字」がある。過去を思い出しては書こうとした文字。追っているのは「過去」なのかもしれない。探したり、見つめようとしているのではなく、消えそうな過去を「追っている」。
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