おすすめnote詩「夏の葬列」
全体は六連で構成されています。各連に共通のリズムがあるように感じます。語尾や促音の効果かと思われます。
タイトルから少し重苦しい印象。「蝉の呻き声」のところは「鳴き声」じゃない。「呻き声」。外国人の人には虫の鳴き声って騒音にしか聴こえない、と聞いたことがある。作者には「呻き声」に聴こえている。「湯を抜いて立ち上がりシャワーで全てを流す」とあって、流したものは何だろう。髪の毛とか、そればかりじゃなくて、自分から出ていたもの全てを流したんだね、きっと。
「魚の死んだ目が追ってくる/冷蔵庫の扉の奥から」たしかに。冷蔵庫にいる魚はもう死んだ魚だった。死は意外と近いところにいる。
「一度でいいから海の見える部屋に住みたくて」そうか、主人公は海の近くに住んでいるらしい。
「防風林が海風を遮って/世界の口を塞いでいる」
世界の口から聴こえてくるはずだったのは「鳴き声」なのか「呻き声」なのか。きっとその音も「耳を塞いでも侵入してくる」音だったに違いない。
世界の口の唇もえぐられているのかもしれない。もしそうなら「世界」は何を飲み込んだんだろう。いったい何が「針を外すのに手こずった」のだろう。
「呼吸に難儀しているだろうか」と書かれているのは、「呼吸に難儀」しているのは「魚」と「蝉」と「世界」と「私」だからなのかもしれない。夏の夜、海の暗さが私の全てを重苦しく感じさせて「呼吸に難儀」する。
今日のメモ↓
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