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【プレミアドラフト攻略】初心者におすすめのデジタルピック【イクサラン:失われし洞窟】

割引あり

まえがき・自己紹介

こんサメ~🦈
私はマジックを始めて3年ほどのプレイヤーなのですが、今年は蒼紅杯をきっかけにnoteを書きはじめたり、それをきっかけにまじすとに出場してお友達が増えたり、9月に行われたジャパンオープンでは予選を5位で通過するなど充実した日々を送っていました。

ジャパンオープン決勝では初戦敗退したり、まじすとでは決勝まで進みながらも優勝を逃すこと2回……と悔しいこともありましたが、マジックを楽しく真剣に取り組めました!
いろいろな大会に参加した中で、マジックを楽しんでいる沢山の人たちと出会えたのも最高で、本当に素敵な一年になりました。

今回はそんな素敵な一年の締めくくりということで、界隈への恩返しというか、皆様への感謝を表現できないかと考えてみました。
ということで今回は、今までしたためたnote記事のなかで一番人気だったプレドラ攻略記事をリライトしてみました!

これはデジタルピックという、MTGAのドラフト攻略法のご紹介と、指輪物語ドラフト環境について書いたものです。
環境についての考察に関しては更に理解が深まった今考えると独自色が強いですが、デジピという攻略法を知ってもらえたり、実践していただけたのがとても嬉しかったです🥰🥰
私もあれからエル森、失われし洞窟と続くセットでしっかりミシックに到達しリミテッドの腕を磨いてきましたし、私が初心者だった頃、先達の皆様の記事やアドバイスがとっても力になったように、ある程度上達した今、初心者の皆さまへ改めて易しくデジタルピックをご紹介いたしますっ!
前回が硬め濃いめ多めの家系ラーメンだとすると今回はなるべく主観を最低限に、あっさりした上品な白湯麺になるよう書いてみました。

なお、筆者のリミテの実力としてはこんな感じ↓ですっ。先月の戦績を貼っておきますね!

17Landsより、11月は勝率60.1%
普段もこのくらいなので60割ってると凹みますw
プレイインポイントも貰えましたっ!

失われし洞窟は実装されて1ヶ月以上過ぎており、ドラフト攻略記事としては遅きに失した感もありますが、1月までプレドラできるようなのでまだ間に合うかなと。まだ助かる人はいるのではないかな~と。

ここ、マダガスカル!

はい、ということで今回は宇宙海賊や恐竜がはびこるイクサラン:失われし洞窟のプレミアドラフトを攻略していきたいと思います。
普段アリーナでドラフトをしない方が、参入するきっかけになって貰えれば嬉しいですっ

そう、3~5手目で流れてきた指針アンコモンのようにね……

これが流れてきたら白青が空いている可能性が高い!

( ˘ω˘)ドヤァ……

はい。指針アンコモンって何?という方に向けてご説明します。

通常、ドラフトでは2色の10の組み合わせの中から参入する色を選ぶのですが、指針アンコモンというのはその10ある各色のアーキタイプの特徴を表しているカードのことで、原則アンコモンに1枚ずつ10枚用意されています。
タルキールやニューカペナのような3色がテーマの次元や、ストリクスヘイヴンのような対抗色次元といった例外はありますがおおむね2色ずつ10の組み合わせで10枚ちょうど刷られています。
どれもドラフトで強力なカードでして、早い手番で流れてくるとその色にいくきっかけになるような存在です。

ここでは軽く触れるに留めておきますが、詳しく知りたい方はwikiのこちらのページやリンク先のWotCスタッフSam氏の記事を見てみてください!

話を戻しますと、これら指針アンコモンの特徴を抑えておくことで、該当セットにおいてこの色はプレイヤーに何をやらせたいのか?どういうピックや構築をすれば強いデッキや適切なプレイができるのかといった指針が見えてくるのです。あらかじめ環境についてふんわり教えてくれる、そのために作られた存在が指針アンコモン……!

上記の白青の指針アンコモンである主の案内壁画は、出た時に44トークンが出て地上を蓋しやすいこと、そして製造して裏返れば毎ターン44を量産できると読み解けます。
このテキストから、白青というデッキはアーティファクト(や地図トークンを出すカード)を多くデッキにいれることで、終盤の作製が強力なアーキタイプになりそうだということが見えてきます。
カード1枚から環境理解が捗りますねっ!

今回は10枚ぴったりのふつう環境

さて、毎回リミテッドを楽しんでいるプレイヤーなら指針アンコモンについては常識なのですが、これを読んでいる皆様の中には今までご存じなかった方も多いのではないかと思います。

このような知らないと差がつく知識である指針アンコモンや、デッキ構築の定石など前情報の下調べが求められるところが、皆様にとってのリミテッドのハードルを高くしているのではないでしょうか?

今回の記事はデジタルピックの手法とあわせて、この手のアナログなノウハウや、調べ方もある程度解説していきます。
きっと次以降のセットやタルキール覇王譚のプレドラでも環境理解の助けになるはずです。

🍤🍚そう、指針アンコモンのようにね……🍚🍤

はい、ということでまずはデジタルピックについて軽くご紹介いたしますっ!

デジタルピックとは?

デジタルというのは分野によってさまざまな意味で使われる言葉ですが、MTGAにおけるデジタルピックは麻雀におけるデジタル戦法にちなんだネーミングです。
麻雀のデジタル打ちが統計や数理といったロジックを生かした戦法であるように、デジピもおなじくロジックを重視しています。

統計を用いた環境分析を行うことで
・行きやすくて強いアーキタイプ
・ピックすべきカード
・流れを見て進むべき色の決め方

と、まず初めに知りたいような、セットごとの環境についての答えが分かるようになります!
デジピを生かして強力なデッキを構築し、適切にプレイできればダイヤ帯やミシック%帯にたどり着くことは容易です。
そこから先、ミシックランク上位を目指すにはマジックやドラフトについて深く理解していく(あるいは豪運に恵まれる)必要がありますが、デジピを行うことで自転車の補助輪のように安定した訓練を積むことができます。
ゴールド以下はもちろん、プラチナ帯やダイヤ帯であれば、不慣れな方であってもデジピによって組まれたデッキを用いて勝ち越すことも難しくはありません。

この記事でもある程度アナログな部分、リミテッドの定石や知識については触れていきますので、デジピした強いデッキで戦いながら、さきほどの指針アンコモンの話のような定石を並行して覚えていって、つよつよリミテッダーになりましょう💪💪

プレイングや構築については各色の特徴を捉えれば何かしら見えてくるはずですし、ある程度の解説と、のちほど先行するドラフト記事をご紹介しますっ!

ではでは、いったんアナログな方法でもって最初はアーキタイプというものを覚えていただきますっ!
ご存知の方は流し見して下さい。🧝‍♀デジピ紹介に飛ぶ魔法🧝‍♀

まずは全体を見てみよう:リミテッドのアーキタイプについて

最初にセット全体を見てみましょう。
デジピでは色ごとに統計を分析していきますから、まずは全体像を知っておいたほうがスムーズに理解できます。
今回のドラフトにおける各アーキタイプは、公式記事において以下のように定義されています。

白青:アーティファクト・コントロール
白黒:生け贄
青黒:落魄コントロール
青赤:アーティファクト・アグロ
黒赤:落魄ビートダウン
黒緑:落魄削り
赤緑:恐竜ストンピィ
赤白:タップ・ミッドレンジ
緑白:バフ・アグロ
緑青:探検ミッドレンジ

と、2色で組むことを前提とし、アーティファクトや探検、落魄といった今セット独自の要素が盛り込まれています。

こうした色ごとの戦術はセット実装前に日本公式サイトに記事(下線はリンク)がUPされますし、wikiのセットのページにもまとめてくれる方がいらっしゃいますので、遊ぶ前にチェックしておきましょう!

さて、上記リンクより公式記事から説明を読んでみますと、白青というアーキタイプは以下のような特徴を設定されているようです。

オルテカの創意(白青アーティファクト・コントロール)
ブロック・クリーチャーや除去、ライフ回復で時間を稼ぎ、長期戦で真価を発揮するアーティファクトを集めましょう。

https://mtg-jp.com/reading/mm/0037352/

さきほどの指針アンコモンの特徴と一致する説明のようですねっ!

どうやら白青はコントロール戦法、序盤は相手の攻め筋を潰していき、終盤にフィニッシャーを出し盤面を制圧するような低速アーキタイプとして作られているようで、案内壁画はフィニッシャーとしてちょうど良さそうです!

このように、マジックではドラフトを前提としたカードセットを作るにあたり、世界観を下敷きにしたアーキタイプの特徴が発揮されるように作られています。

以下は余談なので飛ばしてOKです。🧝‍♀下に飛ぶ魔法🧝‍♀

フレーバーについて

なおオルテカの創意、というのはフレーバーテキストという、ゲームに直接は関係ない世界観を表現したものです。
イクサランの世界にあるオルテカ文明はゴーレムやノームのようなロボット的なクリーチャーを作るのが得意だったようで、この次元でのアーティファクトはオルテカ産のものが多いみたいです。
白と青、そして赤にはオルテカに属するカードが多く含まれていて、アーキタイプ上でもシナジーするものがあります。
実際にはオルテカ以外のカードと組んだほうが強いといったこともザラにありますので、カードの背景などは直接は役に立たない知識です。

ですが、ゲームに出てくる組織やキャラクター同士が仲間だったり過去に因縁があったり、あるいは制作上の裏話など、そういったフレイバー(物語)について知っているとよりゲームが好きになったり、深く没入できた経験が皆様にもあるはず!

某有名ゲームでいうと、リュウとケンは同門なので同じ技を使えるし、それぞれ得意な技や戦闘スタイルが少しずつ異なっている……といったフレーバーによってキャラクターやゲームを理解する助けになったはずです。
春麗はあの見た目で麻薬組織を追っている対魔忍捜査員らしいとか、ガイルの元ネタはジョジョに出てくるガイルじゃない方……みたいな、知っていると同好の仲間と楽しく話せるやつですね。

マジックも同様に、友達は別売りですがその世界の物語を知っているとカードを覚えたりセットの特徴を捉えるのがはかどります。
たまに予算やスケジュールの都合か翻訳がやばかったりしますが、ブログやXで解説している方がいたり、素敵な物語も沢山あるので興味がある人はチェックして、さらにマジックを楽しんでみてください!

よた話

さて、白青はアーティファクトによるコントロール戦法を取るのが得意という紹介をされていますが、実際に製造でフィニッシュするデッキになるか、コントロールして戦うかは蓋を開けてみないと分かりません。

なぜかというと、一つはアーキタイプをまたいで強力なカードがあるためです。毎回リミテッドの記事を書いているぞんびさんのいう、越境性が高いカードです。詳しくは彼の記事序文に書いてありますが、越境性が高いというのは、ひとつのカードが様々なアーキタイプで強力な働きをするといったことです。

たとえば以下は青赤アーキ(海賊とアーティファクトアグロ)のカードですが、白青でも強く使えます。

「金借りておけばいざって時に助けて貰えるじゃん!」って思った不埒者が私

海賊とアーティファクトは青と赤だけでなく、白にも強力なコモンが多く存在しますし、ハンド枚数を減らさず出せるETB(出た時効果)で後続を用意できる点ですとか、序盤に出てくる地上の脅威を受け止めるブロッカーとして及第点のサイズといった様々な要素が白青の戦法、ひいてはこのゲームと噛み合っているからです。
また白青・青赤だけでなく、おなじくアーティファクトを用い、青の海賊が採用できる青黒でも強く使えますね!

今回ご紹介するデジピでは青黒に行くことはないのですが、皆様がデジピである程度の腕をつけたら、アーキタイプやマジックの知識を活用してもっともっと強いデッキを作れるようになります!
まずはデジピでミシック帯の入口を超えてみましょう!段階を踏んで、デジタルとアナログを併せた達人を目指していってください!

上記の硬骨漢の船員のように、他のアーキタイプで使えるカードを、noteで毎回リミテッド記事を書いているぞんびさんは越境性と呼んでいます。
今回の白・青・赤は越境性が高く強力なカードがコモンに多い色でして、カードパワーの高さと受け入れの広さによって有効牌が多くピックしやすいです。

先程の例のようにドラフトはアーキタイプごとのシナジーやカードパワーを中心とした要素が複雑に絡み合っているので、白青の意図されたアーキタイプに合ったカードだけが必ずしも強いわけではないです。一見毛色が違うカードでも強い働きをすることがあります。
越境性が高かったり、単純にマジックのカードとして強いような、セットの複数アーキタイプで活用できるカードは、ピック中は受けが広く、プレイ中も活躍しやすいです。

広く使えるコモンの一例
ハンマーは飛行・アーティファクト・サイズ修正とジェスカイ系に加え緑系とも相性◯
水巻きはサイズと飛行、地図の探検がまずリミテッドで強く、アーティファクトを出す
好意はサイズを上げながらカード1枚得して単純に強く、連鎖もするため重ねて複数取ってもいい

特に探検や地図というメカニズムは構築でも使われるほど汎用性が高く、地図トークンはそれに加えてアーティファクトですから、白青・青赤といったアーティファクトが出た時やアーティファクトを活用するデッキで強く使えます。ぞんびさんも記事で触れてますが、今回越境性がすさまじいです。

と、初見では難しい要素が今回は多めです。アナログ的な読み解き方をするとイクサラン:失われし洞窟は複雑系の迷路のような環境です。

🍤🍚イクサランは大分県!🍚🍤
この素敵なトークンはふらいとちきん様よりコミケで頒布中です!BOOTHあり

話を戻すと、アーティファクトコントロールデッキになるか分からないもう一つの理由は、その色が次元を問わず共通して持っている特徴も反映されているためです。

異なるセットでも共通する白青の特徴として、コントロールの他に飛行と壁や軽量除去による中速のライフレース・テンポ戦術があるのですが、今回のセットでもこれが得意なカードが収録されているためです。

白青は地上を止めて飛行で殴る、古くは壁と飛行と呼ばれる戦法が得意
今回はアーティファクトが特徴ということで、軽い装備品があるのも◯
一番左だけアンコモンですが、コモンで壁で止め飛行でビートダウンするための優良カードが多い

こうした本来の特徴が強く出たカードを、今回のセットで与えられた製造アーティファクトと絡めることで、飛行で攻めて地上を制圧し、先に相手を倒せるライフレース有利な盤面を作っていくデッキになることもあります。

氷柱やさきほどの指針アンコは裏返ると壁どころかフィニッシャーと呼べるサイズ
ライフゲインや1/1トークンが並ぶのも飛行が殴りきる時間を稼げるし、製造のタネになる
真ん中の煉瓦はアンコですが変身すると全体強化もついて、かゆい所全部に手が届く

実際にピックしていても、強いカードを順に取っていくとコントロールも可能な中速ライフレースデッキといった折衷型になりやすかったです。
また極端な例では1マナ飛行マシマシで装備などで強化していく高速飛行アグロ気味なデッキになることもありますし、引いたカードで戦うドラフトならではのブレが毎回楽しくプレイさせてくれました!
いつもの味とブレが素敵な二郎みたいなフォーマット!

こうしてお話していると、色やカードの特徴であったり、専門用語や、セットごとの特徴を抑えていないと理解できないのか?と感じるかもしれません。私も始めたばかりの頃、ドラフトというのは高度な暗黙知で構成された、読み解くのが困難なものに感じていました。
それを解消してくれたのがデジタルピックです!

デジピで多くの人が実際にプレイしたデータを活用することで、強いアーキタイプやカードについて一足飛びにアクセスできますし、覚えることは最小限になります!いったん70点くらいの精度でピックから構築までできるので、アリーナでミシックに到達するには十分なパワーのデッキを組むことが出来ます。

ハンターハンターでいうクラピカのエンペラータイムみたいな感じですかね、本職の強化系であるウヴォーギンと殴り合うのはできませんが、環境や指標の分析・ピック手法と複数の分野で70点くらいの精度が出せるので、アナログ的な分野を極めた達人に勝つことも現実的です。逆に達人がデジピを学ぶことで、更に総合的な実力を高めることもあるはずです。

では順番にデジタルピックについて解説していきます。

デジピを始めてみよう!

改めて全体を見てみよう:データから読み解くアーキタイプ

統計として用いるのはこちらの17Landsというサイトです。

無料で同名のトラッカーツールを提供しており、ドラフトに腰を入れて取り組むなら是非試してみて下さい!気に入ったら寄付もできます!

トラッカーとしての導入に関してはこちらのブログ記事が詳しいです。管理人のばぐさんは達人なのでリミテに関する情報も満載!
17Landsを使ったピック譜の振り返りは上達の近道ですのでおすすめです!

ではさっそくデータを見ていきましょう!
ページ上部にあるヘッダバーのAnalyticsには、このトラッカーツールを入れてプレイした方のデータをもとに様々な統計が提供されています。

画像はPCブラウザのもの

今回見るのは一番上のDeck Color DataCard Dataです。

詳細は後ほど解説しますが、Deck Color Dataから勝っているアーキタイプを調べ、Card Dataからアーキタイプごとに勝っているカードを調べて点数表を作ることで、アーキタイプごとのピック方法や戦い方を即興で身につけることができるのです!

マジックは複雑なゲームですから、実際にやらないと分からない事も多いのですが、統計を利用することで環境を理解している人と同程度のピックができるということです。データをもとにした補助輪を付けて挑めばケガせず楽しめますし、ロケットのブースターのように初心者の皆様を一つ上のステージへ誘ってくれるはずですよっ!

さて、Analyticsから一番上Deck Color Dataを開くと下記の画面になると思います。

Splashというのはタッチのことで、少数の色の異なるカードを入れた場合の統計

これをスクロールして、今回は先述のように二色環境なのでTwo-colorのところの勝率を見てみます。

これを見ると、平均勝率が56.2%で、それ以上の数字を出しているアーキタイプは4つあるようです。

青赤が580
白青が579
赤緑が572
赤白が566
と、ジェスカイカラーが多く上位に入っていて、黒は苦戦しているようです。今回のセットで行くのは黒以外の4色だけです!
絶対にコケたくない人は次点の白緑や、上位層のユーザー(All Usersとなっているところをtopにすると見れる)がそれなりの頻度で用いている黒緑・青黒の表を作ってもいいかもしれませんが、私は黒を一切取らずにミシックに到達でき、プレイインポイントも貰えましたっ!
白緑は黒と違い他の色とくっつきますので、足して困らないですし、確実に役に立ちます。私も25回のうち2回使いました。
ということで上位5アーキ程度までまとめておくのがいいと思います。

実際は黒を取ってデッキを組めたほうがいいのですが、この記事を書くことをぼんやり想定していたので、自分も同じことをやっておかないとウソだなと思いました。タルキールでは広く取る方針でやってます。
今回紹介するシンプルデジピでいったん手応えを感じるランクまで上げられたら、皆様もデジピ2.0として黒絡みのアーキにも挑戦してみて下さい。

さて、行きたいアーキタイプが決まったのでこれをもとに、カードごとの勝率表を作っていきましょう!

2つ補足しておくと、今回のセットのような二色環境ではTwo-colorのところの数字が大きいのですが、タルキールやニューカペナのような3色環境ならプレイ回数が3色の方が多いです。Two-color以外にボリュームゾーンがあるなら3色のところを見るといいでしょう。
ストリクスヘイヴンのような対抗色だけの5アーキだけのときもあります。
とはいえ普段から二色であることがほとんど(スタン範囲ではニューカペナ以外二色環境)ですし、特異な環境のときは、前章でも述べましたがセット実装前後で公式からアーキタイプについてアナウンスがあるはずです。

また、平均勝率が50ではないのは、17Landsを入れている熱心なプレイヤーが他のプレイヤーより多く勝っているからです。
皆様も17Landsを入れて勝ち越しましょう!
そしてあとに続く方にデータを提供しましょう!

データをもとに点数表を作る

さて、行きたいアーキタイプが決まったので次はそのアーキタイプ内でのカードパワーを調べて点数表を作っていきましょう。

今度はCard Dataを開きます。

上から二番目!

するとこんな感じの画面が出てきます。

17Landsで一番お世話になる画面

一見ごちゃごちゃしていますが、意外とシンプルですし、加工して更に見やすい表にしていきますっ!

まずはデフォルトでALL Decksとなっているところを、前段で調べたアーキタイプごとの表示にします。All Decksのプルダウンを押して、UR(青赤)に。
こうすることで、全てのデッキでの統計から青赤(タッチ込み)で使われた統計に切り替わります。

All Decksから取らない理由
このようにアーキタイプごとにデータを拾っていくのですが、全体ではなく部分の統計を用いるのは、例えば白青が多く組まれていて赤白がその半分程度である場合、赤白で勝率が高いが白青では低いカードを赤白で拾えなくなるからです。サンプル数が多い白青の数字に引っ張られるからですね。

データの少ない環境初期には、レアや神話レアがアーキタイプごとの表に反映されていなかったりするので、All Decksのデータを用いてみましょう!

今はどのアーキもデータが出揃っているのであえてやる必要はありません。

URに表が切り替わったら、表の上部のGIH WRを押してソートします。

All DecksをURにし、GIH WR▼と下三角の降順マークになってればOK

GIH WRというのはゲーム中にそのカードを引いた時の勝率です。
これはカードパワーを表す数値と捉えてOKです。
気になる方は青字(ハイパーリンクを表す色)でhereとなっているリンク先から、項目名について詳しく説明されているので見て下さい。

こうして17LandsからGIH WRを見るだけで点数表そのものになるのですが、このままだと英語だったり視認性が悪いので、ピック中に見られるようにいくつかの工程を経てスプレッドシートにまとめていきましょう!
見れば全部覚えられるぜっていう超人の方は力技で全部覚えてもOKですが、私は一般人なので毎回和訳した表を作ってます。

作るのは大変ですが、慣れれば準備30分、作業3分で作れると思います。
ということであらかじめ作っておいたものがこちらになりますっ。

似て非なるもの:3分間クッキングと2分間憎悪

こんな感じの表を色ごとに作って、カード名の列と、GIH WRの列、あとは必要に応じて欲しい項目を1つのシートにまとめたら、ピック中にあんちょことして使える点数表の完成です!

私はATA(高いと一周しやすい)とOH WR(初手で引いた時の勝率)を入れています

具体的な調理工程は前回の記事にも書いてあるのでよくわからない場合はそちらも参考にしてみて下さい。
私のXにリプライやDMで聞いてくださってもOKです!

こちらでも簡単に説明しておくと……
1,17Landsから表を(Nameから下を選択して)シートにコピー
2,書式をリセット(ctrl+\)して左に寄せて(お好みで)
3,クリップボード置換ツールで名前の列をコホペ(コピー翻訳ペースト)
4,あとは自分が使いやすいように弄れば完成です!
私はGIH WRの列に色を付けることで天羽月彦(ワールドトリガーという漫画に出てくる、強者を色で見分ける特殊能力者)してます。
多人数バトルもので相手の強さを見分けられるのは、強者を避けたり数で囲んだり出来ますからチート級ですよね。

失礼話を戻します!置換ツールについて補足です。

上記の置換ツールは
食物/鹿
という文字を設定しておいて、食物というテキストをコピーし、ツールのボタンを押してからペーストすると鹿として出力されるといったものです。
食物連鎖の頂点

鹿連鎖の頂点
と出力されます。オーコ許さねえ。

この機能を使って英語テキストを日本語にするのです。
『英名/日本語名』となる翻訳用の文字列を用意するために、wikiのカード個別評価ページを見ると

頭蓋マイマイ/Skullcap Snail

のように入れ替えたい方向(17LandsでSkullcap Snailと書いてあるのを頭蓋マイマイにしたい)とは逆の文字列がありますから、Chat GTPに逆向きに入れ替えるテキスト整形をさせています。
チャッピーとの会話はこんな感じ↓

毎回昔の会話を継ぎ足し継ぎ足ししてるのでちょっと古風なやりとりかも

こうした準備のための準備が面倒だなっていう方はぜひこの記事を買って下さい🥰
私が使っている上位4色+白緑をまとめたシートがおまけとしてついてきますので、そちらを使用して試してみてください!
Xで記事を宣伝して頂けると割引で前回と同じ500円になりますので是非宣伝して欲しいですっ。

私はこの作業を「面倒だなぁ、500円払ってやってくれる人いればいいのになぁ~」とぼやいているので、お金で手間と時間を買う効率としては悪くないレートかと思います。たくさん勝てばむしろ得ですしねっ!
おまけシートは購入後、記事の末尾にURLが表示されるようになります。

コスパとゲーム内経済の話
プレミアドラフトでは2勝から3勝になれば750ジェム、3勝から4勝になれば400ジェムと1パック得なので
20000ジェム=100ドル=14,166.15円(12/29相場)の一番安いレートで1ジェム0.71円(第三位四捨五入)。

0.71円換算すると3→4勝を2回して800ジェム(568円)得られればおまけのもとが取れます!

なお750ジェム=5ドルだと激渋レートで1ジェム1.05円ですのでジェムはまとめて買ったほうがいいです。

また、プレミアドラフトなどのイベント参加費は10000ゴールドか1500ジェムと、ゴールド/ジェム比で6.66….と6.67ゴールド=1ジェムが殆どです。
ストアでは1パック1000ゴールド/200ジェムなので、ゴ/ジ比が0.5で5ゴールド=1ジェムです。
ですのでイベントではジェム、ストアではゴールドを使うとお得です。

このあたりのゲーム内経済について詳しく知りたい方は、てんてい。氏の以下の動画を参考にしてみて下さい。

ジェムとゴールドの使い分け
https://www.youtube.com/watch?v=tRn6PUjPpJA
↑古い動画なのでチェックしましたが、仕様が変わった構築イベント以外では今でも適用できる内容です。現在の常設構築イベントは比が6.66…なのでプレドラと一緒でジェムが得になります。

効率的に集めるにはパック購入かドラフトか?ジェムかゴールドか?
https://www.youtube.com/watch?v=AgMFAwWnfdE
一定の勝率以上ならドラフトをジェムでやるのがコスパ的に最高で、しかもドラフトは楽しいです🥰🥰


仕上げ:ピックの指針を定める

さて、点数表は出来ましたか?あるいは買って頂けましたかねグヘヘ
表を作るのは記事を全部読んでからでも遅くはないですが、以下は表を作った後の話になります。

デジピによって行くべき色を決め、カードの点数表を作ったことで皆様の両手に武器が備わったわけですが、一人前のドラフト戦士になるまであと一歩踏み込む必要があります。

武器だけでは立派な戦士とは言えません。

戦士に必要なのは、立派な足腰です。機動力を生かし臨機応変に立ち回るのです……!
ちょっと抽象的な表現になりましたが、最後に身につけるのはピック中の立ち回りですっ!

初心者さんのドラフト失敗談としてよくあるのが
・パック1手目のレアに引っ張られて紙束になってしまった……
・特定の色をガメたけど2パック目で下家が流してくれなかった
・途中で寝ちゃった
などがあると思いますが、デジピではこうした失敗をしないピック方法を取ります。

勝率表をもとにピックする戦術と、それを活かすための戦略を併せて用いるのです。そう難しい話ではなく、大雑把にパックごとにピック方針を決めて流れを掴みましょう!

・1パック目は手を広げる
・2パック目は手を狭める
・3パック目で、デッキの形を整えて完成!

今何をすべきか意識することで、強いカードを拾いながら流れを味方につけることでより良いデッキを完成させていきましょう!

それぞれ解説していきますっ🦈💪

1パック目は手を広げる

1パック目というのは何も情報がなく、自分都合で突っ張ると失敗します!
1-1で流れてきたレアの色に必ずしも行けるとは限らないですし、ボムレアがデッキに入れば当然強いのですが、まずは上家が流したカードから強いカードを取っていくことが大事です。
1-1で取れた1枚のボムはパワーこそ高いですが、1-2~1-7で取れた優良カードというのは単純に数が多いのは勿論、上家が流したカードである事実が重要で、上家がずっと取らなかった色であれば、3パック目でも流れてくることが期待できます。

「強いカードを使う」「デッキを完成させる」
両方やらなくっちゃあならない
ってのがリミテの基本であり全てです。

順番にご説明しますが、リミテッドの構造上、流れてきた強いカードを取っていくことで、受けを広げつつデッキパワーを上げていくことができるのです!
たとえば今回のセットでは上から流れてきたカードを勝率表を見て順に取っていくと、白・青・赤(緑が混ざることあり)のカードが取れており、3つのアーキに対して受けられるピックになっていることが多いのですが、このように受けの広いピックをしていれば、2-1で来たボムレアを白青赤の範囲内で拾えます!

更に、下に流していない色があれば、2-2や2-3で続けて拾うこともできます。自分の手を広げるのが一番大切なので色ガメは推奨していませんが、たまたま強いカードを取っていったら下に特定の色をあまり流さなかった時、2パック目に上振れるチャンスがまず来ます!
また、上が流した色を適切に把握していれば3パック目も強いカードを取ることが出来ます。何って、単に強いカードを順に取っていただけだが?

こういった流れでピックを行うので、1-1のレアに引っ張られるのはリミテッドの戦略として間違っていますし、初手が弱いのは別に問題にはなりませんし。ハズレアが来る方が多いため、1-1は全然重要ではないです。

さて、先ほど作成した表を見てピックする方法として、カードパワーを表す指標であるGIH WRを見て取っていくのですが、慣れないうちはもたつくので時間制限つきで練習しておくといいです。
17LandsのMock Draftや以下のサイトがおすすめです。

カード名が英語ですから、イラストと名前が一致するまでは時間を増やしてもいいかもしれません。
制限時間をつけて練習するのは、実際にどれだけもたつくかを把握しておきたいからです。
特定の制限時間内に3枚のカードについて調べられるか4枚のカードについて調べられるか知っておけば、4枚の候補のうち一番弱そうなカードやデッキに合わないカードについては調べないことで時間を節約できますし、練習しておけば調べられるカードの枚数が増えて、精度の高いピックができます。

こちらでも問題形式を用いてピック方法について説明していきますねっ!
たとえば、以下は17LandsのMock Draftから引っ張ってきたものですが、何を取るべきでしょう?最初は簡単です!

土地・レア1・アンコ3・以下コモンと並んでいます

~まだ点数表を用意していない方向け情報~

12/26時点の点数表を見ると
レアのマルコムのGIH WRが白青609・青赤618
青のコモン樫材のセイレーンが白青604・青赤596
白のコモン薔薇の尖兵が白青593・赤白561
次いで青のコモン除去汽水の失敗が白青589青赤581
緑の養育する鋸背は勝率が平均以下です

ここでは2つのアーキに跨って一番勝率が高いマルコムを取ります。
緑はまず論外で、マルコムは勝率だけでなく、白青・青赤の青系2色に跨って勝率が高いことも良いです。
対抗馬のセイレーンや薔薇の尖兵も二色で勝率が高い優良カードですが、GIH WRの指標が一番高いカードを順に取っていけばOKです。
カードパワーが高いだけでなく、単色のカードであるため白青・青赤と2つのアーキで使えるのが嬉しいですねっ!
指標が高い単色のボムは2色で使えるので、受けの広さがあるいい初手です😁

続いて2問目っ!
マルコムを取って次は2手目です。ここは何を取りましょうか?

上家はレアを取ったようです

歯車式闘士が白青592青赤601
ダイヤのツルハシが青赤593赤白592
白と緑のカードは指標が低いです

ここは歯車式闘士を取ります。
ダイヤのツルハシも青赤・白赤で指標が高く良いカードですが、歯車式闘士が合計で勝ります。第一の基準はGIH WR
また、マルコムと色が同じで、青を重ねて取ったことで受けの広いポジションを取りやすいです。これについては2パック目冒頭で解説します。

次で最後の問題です。

今回は先程までとは別のドラフトです。

1手目に硬骨漢の船員(青の221海賊アンコ)を取り、2手目がこちら。上家はレアを取ったようです。

マルチカラーの指針アンコモンである風雲船長が青赤で614
緑ではコモンの斧顎が赤緑588白緑585
赤ではコモン太陽撃ちの民兵が青赤583赤白575(赤緑では平均以下)
同じく赤コモンサヒーリの格子は赤白573赤緑571(青赤では平均以下)

整理すると
勝率トップはアンコ船長
2色にまたがるカードでは斧顎が総合トップ
となります。

ここでは船長を取ります!

理由は斧顎より指標が2%高いためシンプルに勝率(GIH WR)です。ここまで全部解き方一緒でした。
手を広げると言っても、GIH WRの高いカードを取った上で広げていくのです。
指標が60%を超えているカードはボム、勝利を決定づけるパワーカードです。
手持ちの221とのシナジーもありますが、1パック目序盤では深く考えなくていいです。天秤しているカードの勝率が近かったら、色が重ねられる方を優先する、あるいは有効牌の多い色を取るくらいです(表を見ると、平均勝率以上のカード枚数は白青が63と多く、赤白が41と少ない。手元に白青赤のカードがあり、赤と青で指標が同じカードが流れてきたら青を取るなど)。
ということでまずはGIH WRが高い順に取れていればOKです!
デジピに慣れる段階ではGIH WRと、迷ったら受けの広さを考慮するくらいで十分デッキができます。
試行錯誤するにあたり、シンプルな方針を取ったほうが後で何故こうしたかが振り返りやすい利点もありますねっ💪💪

カードだけでなく、もう一つ重要な点として上家は青赤マルチのカードを流したという情報も拾っています。
2パック目はパックの流れが逆順になりますから、今の上家に対してカードを流していくのですが、青赤アンコを流した上家は2パック目で青赤の流れが悪くなることをこの段階で想定しているはずです。

とはいえ上家は1手目でレアを取っているので、今後必ずしも青赤に行かないとは言い切れません、可能性としては青赤のレアを取っているケースもあります。
ですが青赤マルチのレアは1枚しか存在しませんし青赤神話はアンプレですので文字通りレアケースです。青単色・赤単色である可能性もあります。
ですので少しずつ流れてきたカードの情報を拾っていって上家の色を推測していきましょう!頭の片隅やメモ・表の余白にスクショしたり、青赤流したと書いておきましょう。
2枚目の船長が流れてきたら青赤流した×2で、より青赤をやっていなさそうですし、このあと赤の指標が高いカードが連続して流れてきたのなら赤をやっている可能性は低く、3パック目でも上家から流れてくることが期待できます。

このように、ピックもプレイングと同じで単純に強い手を積み重ねていくことでアドバンテージが得られます。痩せた手や、自分都合だけの手を撃っていっても勝ちには繋がりません!
ドラフトでもシンプルに強いカードを拾っていき、得られた情報から展開を想定したピックをすることでよりアドバンテージが得られますっ!

流れてきたカード、流したカードから少しずつ前後のプレイヤーがやっている・やりそうな色を推測していきましょう🕵

ドラフト小論その1 流れ
流れというと抽象的な表現ではありますが、”強いカードが流れてきた”という情報と、強いカードを一緒に得ることで、上家が流してきた強いカードでデッキを組めているので、3パック目に同じアーキタイプのカードが取りやすくなるということです。

また、色ガメ戦法というものがありますが、これは特定の色を片っ端から取ることで下家にその色へ行かせない、というものなのですが……

絶対にしない方がいいです!

というのも、自分が青をガメたとしても、下が青のボムを取っていた場合、1パック目は他の色を取って、2パック目は逆にガメられてしまう可能性が高いです。
3パック目ではガメ返せるかもしれませんが、共倒れになり他の色に行く機会を失っています。
また、強いアーキタイプというのはそもそもコモンの勝率とパワーが高いものが多い故にアーキ全体での勝率も高く出ているのです。今回の表にまとめた色では、赤白以外の全てがそうです。赤白も高勝率コモンは他のアーキでも強く使えるので、赤白青というくくりで有効牌が多いのです。
ですので、パック次第で優良コモンが2枚以上流れてくることになり、ガメきれなくなりますから戦略として破綻しています。
人の心はコントロールできませんから、流れに対しては適切な距離感で向き合いましょう。

また、流れとピック戦術について、17LandsヘッダバーArticleにあるコラム記事が詳しく解説しています。

2パック目は色を決める

2-1は新しいパックを剥いたタイミングですから、レアが拾える可能性があります!ここが決め打ちに向けて手を狭めていく最初のタイミングです。

手を広げて取ってきたのは2-1や3-1というタイミングでレアやアンコモンの強力なカードを引いた時の受け入れを広くしておきたいからです。

まずデッキを完成させるためのノルマについてお話しておきます。
あまり悠長に手を広げているとカード枚数が足りなくなってしまうのですが、大雑把に2パック目までは手番数=手持ちのカード枚数を2で割った枚数が取れていればOKです!あくまで呪文23枚前後を想定したノルマなので、洞窟など土地はこれに含めないで下さい。

1パック目終了時点(1-14)では7枚でいいのですね。
このペースだと23枚集まりませんが、ドラフトが進行するにつれ手を狭めていきます。ここで前後のプレイヤーが行っていない色に参入することで拾えるカードも多くなっていきます。広げる時は少しゆるいノルマで、狭める時に空いてる方向に進んで23枚集めきるというイメージです!

ノルマと手持ちのカードから手を広げていいか、狭めたほうがいいか、デッキ完成までの進捗具合を判断していきましょう。

3-1まで決め打ちを引き伸ばせることはそう多くありませんが、受け入れの広い取れ方というものがありますので、以下に説明していきます。
たとえば1パック目に10枚前後有効牌(平均以上のGIH WRのカード)を取れたとすると……

1,青4枚・赤3枚・白3枚
2,青9枚
3,青5枚・赤5枚

上記のような感じで取れていると思います。カウントされていないカードは平均以下ということで基本土地と黒いカードということにしておきます。

それぞれについて見ていくと

1,青4枚・赤3枚・白3枚
白青のカードが7枚・青赤7枚・赤白6枚と、2-3位までに流れてきたアンコモンで行くアーキタイプを2つ程度に絞れそうです。
2-3までに流れてきたレアやアンコモン、指標の高いコモンで行く色を決めましょう!
受け入れは3色で広めで、完成までの進捗具合は普通
いい感じです。

2,青9枚
一見偏っていますが白青・青赤のカードが9枚あるということですから、受け入れが広いです。
ここから白か赤に相方カラーを決めていくことができ、白・青・赤のボムに対する受けがあり、赤白にはいけないものの3色の受け入れがあり、青いカードが取れれば色を決める決断を引き延ばせます。
1パック目の2問目で触れた受けの広いポジションというのはこのことです。
ボムの受け入れは3色で広めかつ、進捗具合も進んでいます。
シンプルに最高です。
3,青5枚・赤5枚
青赤10枚、白青と赤白が5枚と見た目に反して偏ったピックになっています。ノルマを割っているとはいえ、2-1でクイントリウスなどが来たら赤白に行っても流れ次第でギリギリで間に合います。
受け入れは広いが、白絡みの場合の進捗具合が遅れていてリスクありです。
青赤に行ければ問題ないですが、白系にいくときは1パック目で得た情報をもとに、上が流してくれるかよく考えて取っていきましょう!

ドラフト小論その2 タッチ
先ほども触れましたが、白青赤のジェスカイ系+赤緑・白緑には指標が高いカードが他より多いのです。特にジェスカイカラーはプレイアブルなカードが多いため卓内で共存できる数も多いのです!
さらに、宝物を使うことが出来る赤、マナクリーチャーがいる緑はボムレアをタッチすることも可能です。
タッチというのはデッキの色の合わないカードを入れることです。

赤緑だけどクイントリウス(赤白ボム)だけ入れたり、赤青だけどパラニの孵化者(赤緑ボム)タッチといったこともできます。

タッチする際の注意点は以下の3つ。
・ダブルシンボルや2色とも一致しないマルチカラーのカードは避ける。
・低マナのカードは終盤強くなければタッチしない。
・その色を出すためのカードを3~4枚デッキに入れる(マナクリや宝物・基本土地や多色地形)

後ろから説明していきますと、まずデッキ構築に際し、3色目を出すための土地やマナクリーチャーを入れる必要があり、おおむね4枚は欲しいです。どの程度枚数を入れるかに関しては先行するこちらの記事が詳しいです。
そして3色目が出るのはゲーム終盤ですから、序盤に出してこそ強い低マナのカードが終盤に出ても役に立ちません。
そして3色目が出るカードを2枚、あるいは4色まで出せるようにすると2色でまとめたデッキよりも、色事故によるテンポロスや、タッチのための損失が大きくなります。
団結のドミナリアや機械兵団の進軍のように、マナサポートやドローソース・妨害が多い遅めの環境であれば無理なタッチも出来るのですが、今回のセットはマナクリーチャーや色サポートが貧弱で向いてません。

終盤にゲームを決められるパワーがあるか、今のデッキで無理なく出せるかをよく検討してタッチしましょう!
表が手元にある方は、白青の表にクイントリウスが、白青以外に4アーキにまたがってパラニの孵化者がいるのが分かるはずです。
タッチすべきカードかも、環境終盤であればデジピで判断できるのです!

3パック目はデッキを整える

色が決まって手を狭めていったら、デッキの完成は間近です。
使わない色のカードや指標の低いカードはサイドボードに適宜仕舞って、デッキに足りないものを取っていきましょう!
私の場合、指標が平均を下回っているものや、黒いカードや基本土地などはピックする時から直接サイドボード送りにしています。アクセスできる情報を減らすことが良い判断をするのに役立つからです。

デッキを整えるにあたり、最初は以下の3つを意識してみましょう

1,序盤にテンポよく動けるか
2,相手のボムに対処できるか
3,やりたいこととマナカーブが合っているか

1,序盤にテンポよく動けるか
序盤にテンポよく生物を出していけるかは、キルターンの早い環境では特に大切です。キルターンというのは決着がつくターンのことです。

アリーナに実装されているセットのドラフトは、平均キルターンが9ターン前後で、今回は8.8と早めです。ラヴニカ三部作(ラヴニカのギルド~灯争大戦)が平均して9.8~9.9と非常に遅く、完全なる統一が8.4でとても早く、今回は完全なる統一、エルドレインの森(8.7強)に次ぐ3番目の高速環境です。

今回のようにキルターンが早い環境ではお互い早いターンから生物を展開し、ライフを詰めてきますので、序盤になにもできないターンが重なると不利になります。
序盤に展開できる2マナ以下生物を7枚以上は取っておきたいです。
環境の速度感について詳しく知りたい方は、環境をキルターンを用いて分析しているカフカさんの記事を読んでみて下さい!

2,相手のボムに対処できるか
リミテッドはコモンが平均値になる環境ですから、カードパワーにばらつきがあり、相手のボムレアに対処できるかも重要です。
対処方法は2つあります。
1,除去する
2,ボムが仕事するまでにゲームを終わらせる

1はシンプルですが、白・青・赤・緑は黒のような確定除去(破壊or追放すると書いてある除去)が苦手です。今回はキルターンが早いため、除去とビートダウン(生物で殴り切る)を併用していくと良いです。

ボムレア「三人に勝てるわけないだろ!」
馬鹿野郎お前俺は勝つぞ!(飛行クロック8点)

と、重いボムであれば、より早く打点を繰り出していけば対処できます。
また、攻撃できない盤面では軽い除去で通していくことが出来ます。

しばらくホッとしたろう(到達)
もう抵抗しても無駄だぞ!

リミテッドの除去が強い理由はカードパワーのばらつきにあります。相手の強い部分を除去し、こちらの強い部分を活かせば大きく勝利に近づきます!

また、今回のコモンカードと除去はライフレースで差し切る方向性のものが多いです。

ハンマーは優秀な装備品に限定的な除去が付いている・渦巻きは貴重な確定除去・コズ波も最低限
青は盤面からどかすのは苦手、一時退場させて終盤に持ち込んだりライフレースするのが得意
軽かったり相手のライフに当てられたり、生物と併せてライフを詰めていける攻めの除去!

殴りながら対処する場合、軽くて相手の打点を減らせる用途で使えるものがいいです。上記では2マナ以下のものや、実質0マナの赤の松明が強く使えます。
軽いことで4マナが出せる時に2マナ除去+2マナ生物を展開と、攻めを継続しつつ、自分が死ぬの先延ばしにできるためです。
ボムレアに殺されず、自分は相手を殴り切る。
そんなデッキを組んでいきましょう!

逆に2マナ以下が薄く、除去や重いカードが多いなら、無理に低マナを集めるより、序盤は受けて終盤勝つ方向性にするのも手です。

指標は低いけど、終盤が強いならつなぎとして使えるカード
324は本当に弱いので緊急手段

記事冒頭でアーキタイプについてご説明したのは、上記のように指標は低いが特定の戦術を助けてくれるカードを取る時にアーキタイプの知識が役に立つからです。デジピとマジックの知識を少しずつ習得していきましょう!

3,やりたいこととマナカーブが合っているか
除去と生物といったバランスは、プラチナ帯あたりまでは単に指標重視で大丈夫ですが、マナカーブだけは気をつけましょう!
マナカーブについては先行するこちらの記事が詳しいです。

書いているのは私の師匠であるどうみんさんという方なのですが、ラスベガスリミテオープンでPT出場を決めた非常に高いリミテの実力と昨年のジャパンオープンで予選を突破し、リミテで培ったマジックの知識で構築でもご活躍する猛者です。
記事の内容を先んじて教えて頂き、私が実践したところリミテでは毎回ミシックランク報酬を貰えるようになり、構築では後を追うように今年のジャパンオープン予選突破と、腕がめきめき上達しました。(師匠の後を追えてめっちゃ嬉しかったです🥰)

以下はあえてマナカーブについて解説しない理由と情報収集についての余談。

ドラフト小論その3 情報収集について
さて、ここでマナカーブについてざっくり説明してもいいのですが、生兵法は大怪我のもとと言いますので、記事を読んだりお友達と意見交換をしたり、自分で考えてみたりして少しずつ覚えていってください!
私がここで先入観を植え付けてしまうより、調べ方について指針をご提供するに留めたほうが皆様が理解する助けになるはずです。

皆様が今後ステップアップのため記事を参考にする場合、今のスタンダード範囲のセットの記事や、最近の記事であれば大きくは変わらないはずですが、古い記事は今のリミテッドに適用出来ない部分が多いので気をつけて下さい。

公式でもトッププロの中村修平さんの記事(リンク)などありますが、今このマナカーブで強いデッキを組めることは滅多にないです。メリット持ち2マナ22すら貴重でキルターンが遅かった10年前と比べると、低マナの生物が強くなっている現代では2マナ以下4枚では戦えず、7枚取る事が多くなっています。

もちろんタルキールなど時代の近い、ゆったりとしたドラフト環境であればぴったり適用して良く、他にも現代でも通じる内容が多い素晴らしい記事なのですが、マジックというゲームが新しい楽しさを追求している以上、古い情報は陳腐化してしまうので書かれた時期には気をつけて下さい。

調べる時の注意点として。
いつ書かれたか、誰が書いたか。
この2つを基準にして調べてみて下さい。

スタンダード範囲である3年前であれば大きくは変わらないですが、節目で根本的にゲームデザイン方法が変わっている場合があります。
たとえばラヴニカのギルドが出たあたりで1度大きく変わっているようです。公式デザイン記事(リンク)
マジックは公式が「今はこう考えて作っているよ!」とゲームデザインに関する記事を定期的にUPしているので、たまにチェックしてみるといいでしょう。

誰が書いたかは、有名人でなければその人がどの程度の実績かで判断するといいです。
実力の指標となる直近の戦績があればおおよそ信頼できますし、継続的に記事を書いている方であれば読みやすいです。

話し手、聞き手によってバイアス(認識のずれ)というものが生じますから、なるべく客観的に情報を計り、自分の中に取り入れていくようにしましょう!

トッププロの記事ですと一部目線が高すぎて参考にならない場合があるので、目線として近いかは自分が読む時に気にしているポイントです。
この記事も冒頭で自己紹介しましたが、自称強めの一般人という、少しだけ先を行く先輩からのアドバイス的な感じで読んでもらえると嬉しいです❤

完全に余談ですが、皆様が書く側になる場合、ライターの実力やマジック暦など軽く自己紹介しておいたほうが読まれやすいはずです!
私が継続してnoteで記事を書くきっかけになったのは、一般人目線の大会参戦記を多くの人に読んで頂けたからですし、私自身も他の立場の人が書いた等身大のレポートを読むのは大好きで誰々が書いた、という情報があると頭に入って来やすいです。

今回はデジピでもある数値を参照すれば裏技的にマナカーブ的に及第点なデッキが組めますので、やり方をご説明いたします。
まずは手元の表か、まだ作っていない方は17LandsのCard Dataを見て下さい。

今回は、OH WRGD WRを見てみましょう!
OH WRは初手に引いていた時の勝率です。マリガンで戻してたらノーカンです。
GD WRは初手では引かず、途中で引いてきた時の勝率です。
この2つを足して母数で割ることでGIH WRになるのですが、どちらが高いかでどういうカードかざっくり判別できます。
OH寄りは序盤嬉しい
OH WR>GD WRであるカードは、初手に引いて嬉しい、序盤から盤面のクロックとなってくれる低マナ域のカードが殆ど!このゲームは1ターン目に1マナ、2ターン目に2マナの生物を出すことで効率よく相手のライフを狙っていけるからです。
また5マナ以上の重いカードでOHが高いのであれば、マナが伸び次第唱えることで大きく有利になり、序盤のゲーム運びの軸にできるカードです。

GD寄りは後で引きたい
GD WR>OH WRはその逆で、初手になく途中で引いた時の方が嬉しいカードです。フィニッシャー(重くてサイズが大きい生物・蓋役・ファッティとも)やドローソース・除去などが定番で、指針アンコモンの主の案内壁画なんかもフィニッシャーですからこちらです。

マナカーブを整えなくてもそれっぽいデッキになる裏技は、GD寄りのカードを4枚に抑えることです。
このとき軽量除去、今回でいう石化や汽水の失敗といった除去は例外としていくら入れてもいいです。
こう組むことで、序盤からキープもしやすく脅威をスムーズに出しやすくなり、案内壁画のようなフィニッシャーが引けなくても、軽量除去でごまかして殴りきって勝つ……ということができるからです。

おまけのシートでOH WRをあんちょこに入れているのはそのためで、OHがGIHより高い=OH寄りです。低いならGD寄りのカード。
OH寄りのカードを多く使い、初手から事故らずテンポよく戦うのが現代リミテッドです。GD寄りのカードは4枚程度と覚えておきましょう!

ということでマナカーブだけは気をつけましょう!と申しましたが、マナカーブもそんなに気しないで(最初は)大丈夫です!
後々ミシック帯でランクを上げていくなら深堀りしていったほうがいいですが、今はこれだけでプラチナやダイヤを目指す分には問題ないと思います。私もはじめてミシックに到達したときはマナカーブ?何それ?みたいなデッキを組んでました。
2マナタワーとドロソのデッキ

と、いうことでパックごとの指針でした。

1色が重ねて取れたケースのように、2パック目でやる色決めを3パック目まで棚上げできたり、序盤から指標が近いカードで迷ったときに一旦OH重視にしておくなどタイミングがズレることもありますが、大まかに序盤・中盤・終盤それぞれのタイミングで特に有効な指針を定めて、デジタルピックを使いこなしてみて下さい!

おわりに

いかがだったでしょうか。前回の記事は環境分析であったり、私の考えを強めに押し出していましたが、今回はあえて控え、デジピを先入観なく始められるような優しい味のらーめん内容にしてみました。
前回の記事と併せて読んで頂くと、分からなかった部分を対比することで習得の助けになるのではないかと思います。

デジタルピックは初心者の方がドラフトで挑むための一歩目として非常に優れた戦略です。導入に少々手間がかかりますが、手間の殆どであるシート作製は手頃な価格でご提供させて頂いておりますので、懐具合に余裕のある方は、当記事のおまけも活用してデジタルピックを始めてみてください!

一応おことわりしておきますが、軽々に絶対に勝てる方法です!とまでは申し上げられません。私自身も習得にあたって躓いたことがありますし、運や特殊な状況も絡んでくるゲームであるからです。
ドラフトはマジックのフォーマットでも複雑ですから、安定的にミシックランカー入りを目指すのであれば並行して定石を身に着けていく必要があります。繰り返しになりますが、デジピだけではある程度の所で限界が来ます。

ですが、環境のアーキタイプのパワーと、カードのピック優先度を短期的かつシンプルに読み解いていくための方法としてこれ以上に優れたものを私は知りませんし、前回の記事を実践してミシックに到達した方が多くいらっしゃいます。

魚ではなく魚の捕り方についての解説ですので、ある程度練習が必要ですが、実践した皆様が投入した手間に見合った成果を得られるよう、先行する記事であったり、情報にアクセスしやすくなるよう工夫をしてみました!記事にあるリンクをたどったり、コミュニティやお友達のところで情報交換したり、コメントやXで私に聞いてみて下さい。

マジックはデータの活用であったり、意見交換をしたりと一人ではわからないことを解消することで上達しますし、その過程も楽しいものになるはずですよっ🥰🥰

ということで最後になりますが、ゲーム攻略は何かしらのコミュニティと繋がっていると非常に捗ります。Discordを私はよく活用していて、リミテッドではよくここに顔を出します。記事についてこちら↓でメンション(@鮫)を飛ばしてくれてもいいですし、よかったら一緒に遊びましょう!

ではではまたね~🦈🍐💦
デジピで楽しく強くなりましょう!!

以下はあんちょことして使えるおまけです。メイドインジャパンの優れもの!リポストして頂けると割引がつきまして500円でのご提供!
優雅な感じで上品に、イクサランを攻略していってください👨🥕
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