
#YourChoiceProject 男性メンバー座談会 後編
こんにちは。ライターのたけです。
以前公開した#YourChoiceProject男性メンバー座談会。今回は後編です。
メンバー 1
男性がジェンダーギャップの問題に関わることについて 1
男性がこの問題にコミットできることとは 3
まとめ(感想) 5
メンバー
たけ…東京大学理科一類2年
S…東京大学理学部4年
やまこう...東京大学文科三類2年
しおん…東京外国語大学国際社会学部1年
男性がジェンダーギャップの問題に関わることについて
たけ...「こういう団体に入ったんですよ」と言ったときに、「珍しいなぁ」みたいなリアクションを何回かされたことがあるんですけど、皆さんどう思います?やまこうとか喋ったことある?
やまこう...ある。けど、説明が難しいじゃないですか。込み入っているというか。「Fairwind(地方と都市部の教育格差解消のために活動している東大のサークル)」だったら、「教育の地域格差を考える団体」みたいに説明したら「そういう感じね」とすぐ納得してもらえると思う。だけど、うちの団体の説明で「地方女子の進路選択について」って言ってもなんか「お、お??」みたいな感じの反応をされるよね。やっぱなんか、理解が難しいというか、聞き慣れないんでしょうね。そういう感じだから、個人的にがっつり話し合える相手ならいいんだけど、初めて会った人に「サークルとか何されてるんですか?」と聞かれて、会話を円滑に進めるのが一番だと思ったときは、そんなに立ち入らずに「教育系の学生団体です」みたいに粗い説明をしてしまうね。
たけ...確かに。あまり顕在化されていない問題だから、「地方女子に教育格差があるの!?」みたいなところから始まるからね。知らない人からしたら。
やまこう...やっぱあと、何だろうね、結構切実な話として、不審な団体に入っていると勘違いされたくないのよ。どうしてもね。
たけ...確かにそれはわかる。自分のところはなぜか親に怪しまれてる…….。それでミーティングとかやりづらい、みたいな。
やまこう...あーーそれは確かにあると思う。説明しづらいってのもね、「そこで口籠るの何なん」ってなってしまうしね。だから、そういうのを避ける意味合いでもあんまり言わないようにしている。でも、こういうのはやっぱり社会構造の問題だと思っていて、地方女子の抱える課題が一般的に知られていないから、それを取り扱っている団体だと言っただけで、「聞き慣れないし、危ないんじゃない? 有名な団体なの?」と思われてしまう。そこに直結しちゃうっていうのは良くないと思うね。
たけ...有名な団体になれば自信持って「#YourChoiceProject入ってます!」って言えるようになるのか。
やまこう...そういう環境にしていくってのも一つのゴールかもしれないですね。
たけ...PR頑張ろう。次にSさんお願いします。
S…僕はあんま喋ったことがなくて。やまこうとほとんど同じで、高校の友人とか、親戚とかに「何かサークル入ってるの?」とか聞かれたけど、その時は、「教育系」とか「教育支援の団体」とか言ってた。「ジェンダー系」とすら言わなかったかな。踏み込んで話はしないよね。聞かれない限りは。
たけ...僕は諦めて「D&I系の団体」っていうことにしていますけど。一番角立たなくて「すげぇことやってんな」ってなる表現。
やまこう…D&Iって言って伝わる?友達が意識高い層なら伝わるかもだけど。
たけ...でも東大で「D&I」を知らない人はそんなにいないと思う。
やまこう...でもそれはしっかりアンテナ張れている人の視点な気がするなぁ。知らない人いっぱいいるから。
たけ...意味くらいは知ってるものだと思っていた......。見る機会も増えているし、授業の科目にもついてるし。
やまこう...聞いたことあるくらいなら......。
S…D&Iってぱっと聞いたらIT系みたいになりそう。ダイバーシティとインクルージョンって聞いたら確かにわかると思うけれど。
たけ...最後にしおんさん。入ったばかりだからあんまその話したことないかな?
しおん...そうですね。この団体に入ったことはほぼ話してないですね。軽くそんな感じのことを1人か2人かに話した気がするんですけど、私がジェンダーに関心があることを知ってる人なので驚かれることはないというか、「そうだよね〜」みたいな感じではあります。
この団体はいったん置いといて「ジェンダーの問題に興味があること」っていう意味で話すとするならば2つ印象的な出来事があって、1つは高校の時のディスカッションだったと思うんですけれど、その時にジェンダーに関することを色々語ったんですけれど、そのときに同級生の女の子が「男性がそういうことを語ってくれるのは嬉しい」って言ってくれたことをすごい覚えています。それって遠回しに「男性はそういうことを考えない、レアだ」みたいなニュアンスを含むと思うんですけれど、それを鮮明に覚えています。
もう1つが、高校生のときに「国際交流プログラム」に参加していたんですね。そのプログラムが日本とアメリカの高校生が文化や社会問題について交流するプログラムなんですけど、そのプログラムで私のグループがソーシャルイシューの問題についてプレゼンする活動で日本の現状を語るプレゼンをしたんです。そのときに私は性の多様性について語ったのですが、そのプレゼンが終わった後に、アメリカの高校生の方が3、4人くらい私のところに来てくださって、「話してくれてありがとう」みたいな感謝を英語で述べてくれたのを覚えています。何人かは涙していたんですよね。そこで日本人とアメリカ人の間での「ジェンダーに対する問題意識の違い」というものをすごく痛感して。とても重要な問題として認識しているんだな、と思ったのを覚えていますね。
たけ...確かに大統領選でもこの辺りの話はすごく重要な論点になるくらいですからね。というか、涙しちゃうくらいなんだ。
僕は3ヶ月くらい前に、男性相手に「ジェンダーギャップに興味あります」的なことを言ったら、その相手に「お前ジェンダーギャップ興味あるの!?俺ジェンダーギャップ興味ないんだけど!」と言われたことがあって。「あなたの話はどうでもいいはずなんだけど、なぜそんなことをわざわざいうの?」っていう違和感があった。ジェンダーギャップに興味がないのが当たり前なのかなというのがすごいモヤモヤして……。だからその程度の日本人と思わず涙してしまうアメリカ人とでだいぶ差があるなぁ、と。
男性がこの問題にコミットできることとは
たけ...最後に、男性がこの問題にコミットできることについて。しおんさんどうでしょう。
しおん... 女性支援とかに関して批判的な人がいるのは事実であって、そういう人たちからすると女性がジェンダーについて語るというのはやや主観的な主張と捉える人がいると思うんですよね。そこに男性が声を上げることで客観性を保持できる。そういう意味で、男性がジェンダーに関して主張していくというのは一定の理があるかなと思います。もちろん女性の主張が主観的ということではなく。
たけ...「映り方」としてってことね。Sさんどうでしょう。
S…僕も、男性が女性の権利を主張するのには非常に大きな意味があると思っている。男性の中には、男女、地方の教育格差についてなんとかした方がいいと思っていても行動には移せない人がいると思う。そういう人たちが「こういう活動している男の人もいるんだ」って思ったら動いてくれるかなというのも期待しつつ。あと僕は、本来はこういう格差の問題って、マジョリティ側が動かないとどうにもならないかなって思っている面もあるんだよね。マジョリティが基本的に社会を支配しているわけだから。そこは男性が動くべきなのかなって思ったりもするっていう感じです。
たけ...自分が言いたいこと全部言われた(笑)。やまこうもそんな感じ?
やまこう...やっぱりマジョリティとして、男性の目線で社会が作られて、男性中心にデザインされた社会というのが歴史的な側面として絶対あって。現在進行形で日本の社会で権力を握っているのは男性女性どちらか、っていうとそこは不平等の結果として男性の方が優位になってしまっている。その側の人間としてそっちが動かないと是正にはならないよね、というのは確実にあると思いますね。マジでSさんのをなぞる感じなんですけれど。
たけ...やっぱり男性側が動かないとですよね。保守的な男性は、女性が動いても他人事のようにしか聞こえないから、男性も一緒に声を上げることで彼らに対しての説得力が上がるというのはいえそう。
やまこう... そういう保守的な男性の中には、僕みたいに男性が動いているのを見て、怒ったり軽蔑したり、過激な反応をする人もいると思うんだけど、それでいいと思っていて。というのも、そういう人達は、女性が動いていても無視しようとするわけよ。「マイノリティの言うことだしなぁ」という感じで。そうやっていつもなら無視されてしまうところを、同じ男性が動くことで、「なんでそんなに⁉」とどんな反応にしろ、心を動かせるかもしれない。そうやって焦らせることができれば、それで十分なんじゃないかとも思って活動しています。
たけ...すごい深い言葉をいただいたところで、そろそろ終わりにしましょうか。
まとめ(感想)
ここで男性メンバーで話し合う企画は終わりとなります。最後のセクションでもあったように、ジェンダーギャップの問題の解決は現状マジョリティを占めている男性側が動くことが必要です。
今回発信した#YCP男性陣の思いから、性別を問わず改めて日本のジェンダーギャップについて考える機会になればと思います。