【座談会】浪人体験記:地方女子としての受験と東大生の今~浪人して身についたことは? ~[後編]
はじめに
こんにちは、ライターのおりがみです。こちらは、浪人体験記~意外とある「浪人してよかったこと」~の続きとなっております。こちらの記事から読み始めてもらっても問題ないですが、よろしければ「浪人してよかったこと」の方もあわせてご覧ください。
改めて対談メンバー紹介
浪人経験のある地方女子東大生メンバーに集まってもらいました。
おりがみ(ファシリテーター):文科三類2年。茨城県出身。
くり:文科三類1年。
すみれ:文科一類2年。愛知県出身。
はなび:文科三類2年。九州出身。
それぞれが東大を目指すまで
くり:私は浪人期の方がモチベが高かったです。今年で受験は終わりだというのに加えて、やりたいことも具体的に見つかりました。高校時代ははふわっとした感じで東大を目指していました。
おりがみ:ふわっと目指せたのは良いですね。非地方女子と話していると、「いつ東大を目指し始めたか」という話になることはありますが、地方女子として思うのは、まず「いつ東大が視野に入ったか」というところからだと思うんですよ。
くり:ふわっと、と言っても高校1年の頃は、東大とは無縁だと思っていました。成績が上がってきたため、2年の始めに、先生に「東大も考えてみなよ」と言われて、その頃は「え~でも東大…わたしが行ってもなぁ…」みたいに思っていましたが、選択肢には入れておくことにしました。2年の終わりに浪人して東大に合格した先輩とお話しをする機会があり、ちゃんと東大を目指すようになりました。
すみれ:中学3年生のとき、愛知県で受けられるトップの高校を目指したのがきっかけです。それこそ、自分の学力に自信の無かった中学1年生のときには視野にも入らなかったような高校でした。そこから定期テストの順位が上がったことをきっかけに自分も勉強できるかも、となってその学校を目指すようになりました。
そして、まだ志望校が決まっていないような時期に、塾でどこの大学に行きたいか?というような話をすることがあって、当時は外交官になりたくてそれを伝えると、半分冗談半分本気で「じゃあ東大だな」と言われました。それから、進路を聞かれたらとりあえず東大志望だと言うようになりました。
高校に入ってからの進路相談では、負けず嫌いだったので、「今まで東大って言っていたし!」と東大志望を貫いていました。進路希望調査でもあまり考えずに東大と書いていました。そんなわけで東大を選択肢として射程に入れたのは早かったですね。最初は雲の上の存在だった高校に入ったので、大学も行けるかなという謎の自信がありました。楽観的でしたね。
おりがみ:私のことは記事「元地方女子が語る! 茨城の女子高生が東大生になって思うこと」に結構詳しく書いたので、興味のある方はそちらを見ていただければと思うのですが、東大を意識し始めたのは高校2年、目指したのは3年の5月です。東大を目指した大きな理由の1つは、進振り(※1)がありすぐに学部を決める必要がなかったことですが、浪人期のモチベーションという意味では、尊敬する東大卒の先生の後輩になりたいという気持ちが強かったです。
はなび:私は東大を意識し始めたのも志望校に決めたのも高校2年生のときだったと思います。夏前に文理選択で悩んでいて。文系でやりたいことをするか、理系で医療系に進むかで、いろんな先生に相談していました。そのときに成績がいい模試を持って行ったので、「東大にいける」と言われました。当時は落ちたくない気持ちが強かったので、第一志望ではありませんでしたが。模試に東大と書くようになったのは高校2年生の夏の終わりくらいだと記憶しています。また、高校3年生のときの担任に「東大を目指しておけば後から下げることはできるし、他の大学の対策になる。まずは目指してみたら」と言われたことが印象に残っています。
くり:こうしてみると、皆さん多かれ少なかれ先生の影響を受けていることが分かりますね。
すみれ:確かに、自発的に目指したというより、外からの影響で東大を目指すようになったという感じですね。
はなび:そもそも、模試ではA判定が当たり前、B判定でギリギリだと思っていて、C判定でもでいい方だということを知らなかったです。東大はA判定は出ないので、目指せないと思っていました。
おりがみ:C判定はなかなか出なかったです。私はE判定の上の方をさまよっていましたね~。
すみれ:現役のときは私もそんな感じでした。
※1 東大では、入学時は文科・理科/一類・二類・三類の6種類のどれかに所属し、大学2年の夏に3年生以降の学部などを決定する。この仕組みは「進学選択」、通称「進振り」と呼ばれる。
現役生との違い
おりがみ:次の話題に移りましょう。皆さんは、大学に入ってから現役生との違いを感じたことはありますか?
(匿名希望):今パッと思ったのは、みんなより早くお酒を飲めるようになる…
(全員):ああ~確かに。
おりがみ:現役生より早く成人しますもんね。
くり:自分が2年かけたことを1年でやったんだと思うと、すごいなという気持ちになったりします。
すみれ:クラスの人たちには尊敬の念を抱いていました。現役で入ったのですから、皆自分より能力がある人たちだ、と。
一方で実際に授業にでてみると、浪人のアドバンテージを感じることもあります。浪人時代は自分で頑張る時期、自分と1対1で向き合う時期じゃないですか。忍耐力も必要ですし。結果的にやる気がなくてもとりあえず勉強するといったことができるようになったと感じています。浪人は、今年が最後だという感覚もありますし、我慢強さが身についたと思います。その1年がアドバンテージになっているといいなぁと思うことがあります。そういう意味では、現役生との違いをすごくプラスにとらえています。
おりがみ:プラスの感覚、いいですね。私は逆に浪人中、共通テスト対策に顕著ですが「点数のための勉強」はつまらないと思ってしまって、大学生になってからは「進振りの点数のための勉強なんかしたくない!」と思うようになってしまいました。
現役生との違いという部分の話をすると、浪人の話は浪人した人との方がしやすいなと思っています。すごく雑な言い方かもしれませんが、現役で東大に合格した人が、すごく頑張ることができて自信もある人のように見えて、まぶしい感じがするときがあります。そんなときに浪人トークができたら少し嬉しいです。
雑談②:合格体験記、書いた?
おりがみ:どうでもいい話なんですけど、皆さんは自身が合格した後の合格体験記にどんなことを書きましたか?
私は浪人中に他人の合格体験記を読むことが多かったのですが、めちゃくちゃすごい人を見て落ち込んだりもしていて。自分が学校から依頼されたときは「すごく見えるかもしれませんが、いいところだけ書いているだけです」みたいな感じで書いたのを良く覚えています。
はなび:塾に合格報告に行ったときに書かされましたね。何を書いたかは覚えてないです。
すみれ:私はそれこそ数学の先生(※2)に「めっちゃ伸ばしていただいてありがとうございました」ということを書きましたね。
おりがみ:塾だとそんな感じかもしれないですね。学校から依頼されたりしませんでしたか?
はなび:学校で配られるのは現役で合格した人のものだけでした。
おりがみ:ええ!そうだったんですね。
くり:私はこれから浪人という人向けに話す機会がありました。
おりがみ:あ~私も浪人生向けに話したことがあります。
※2 浪人体験記「浪人してよかった?」参照 すみれは浪人中に数学の成績が急上昇
周囲の浪人許容度について
おりがみ:最後になりますが、浪人するにあたって、例えば周囲に反対されたとか、何かハードルはありましたか?
(3人):特にないです。
くり:私は浪人させてもらえた側なので、「女子だから苦労した」というわけではないです。そういう意味で、地方女子の壁にぶつかった当事者ではないなと感じています。
はなび:塾に安くいくための面談とか理由を説明したりだとかが大変だったくらいですね。
すみれ:私は現役の時結果が出なかったので、したいなら浪人してもいいよ、という雰囲気でした。恵まれてましたね。
おりがみ:うちの場合、結構反対されました。家族それぞれ理由は違えど浪人反対みたいな。
はなび:親自身はどうだったんですか?
おりがみ:ふたりとも現役で大学に行きました。両親ともに首都圏の大学なので、私も東京に行くこと自体のハードルはそこまでなかったのですが、家族に浪人した人がいなかったから浪人許容度が低かったのかなぁ。
すみれ:私は現役のとき全落ちで行けるところがなかったから浪人というのもありますね。「女子だから浪人ダメ」みたいな考えが親になかったのは良かったです。
逆に、父が受験に失敗したけど浪人できなかったそうで、子どもにチャンスを与えられるなら与えよう、という感じでした。親の経験が子に反映されていそうですね。
おりがみ:私の場合、私立と後期には受かっていたので、全落ちじゃないのも浪人反対理由の1つだったことを思い出しました。
くり:私は現役のとき東大一本だったので、落ちたら浪人が確定していました。東大以外の国公立の可能性を考えていなかったですし、学費も安いので私立よりは東大が良いとふわっと思っていました。今考えると贅沢かもしれませんが、当時詳しくは考えていませんでした。
周囲からの反対もなかったので、リベンジで東大を受けて合格しました。浪人中や今は、恵まれていると感じるようになりました。
さいごに
浪人座談会を2回に分けてお届けしてきましたが、いかがでしょうか。
「地方出身」「女子学生」「浪人経験あり」「東大生」「#YCPメンバー」と共通点の多い4人ですが、それぞれ考え方も今に至るまでの道のりも様々であることがわかります。私にとっては、#YCPの数少ない浪人メンバーの考えを知る良い機会となりました。
今回の座談会を構成するにあたって、一部INTERVIEW | polaris~東大を目指す女子の道しるべ~を参考にさせていただきました。個人の浪人体験記を読みたい!という方はこちらを是非ご覧になってください。