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「地方女子」の当事者とは?~浪人座談会を勝手に振り返る~

こんにちは。ライターのおりがみです。この記事は、筆者が浪人座談会(前編:「意外とある『浪人してよかったこと』」後編「浪人して身についたことは?」)を経て考えたこと・普段感じていることを紹介する記事となっています。こちらの記事を読んでいなくても問題ないですが、もしよろしければ併せてご覧ください。

さて、私は浪人座談会・後編の「周囲の浪人許容度について」にて、印象に残った言葉があります。

私は浪人させてもらえた側なので、「女子だから苦労した」というわけではないです。そういう意味で、地方女子の壁にぶつかった当事者ではないなと感じています。

私はこの言葉を聞いて、共感するとともに少し驚きました。確かに、座談会に参加した4人は、浪人を許されたため、東大に合格することができた人たちです。一方で、対談メンバーが一度も地方女子の壁にぶつかることなく合格できたのかというと、そういうことでもありません。座談会後編「それぞれが東大を目指すまで」では、メンバーが自発的にというより周囲の大人の影響を受けて東大を目指すようになった様子が明らかになっています。

#YourChoiceProject (以下#YCP) の「なぜ、地方の女子学生は東京大学を目指さないのか【2023年度調査結果】」においては、地方女子の「東大進学にメリットを感じない傾向」、「安全志向」という特徴が指摘されています。これを踏まえれば地方女子にとって「東大を視野に入れる」「実際に東大を目指す」ハードルが、他の人より高いといえます。そのため、座談会メンバーのことは「地方女子の壁を乗り越えて合格した人」という印象が強いのです。

とはいえ、表に出てきていない「地方女子の壁にぶつかって乗り越えられなかった人たち」の存在を考えれば、自分が「地方女子の壁にぶつかった当事者ではない」という感覚も理解できます。例えば、現役のときに東大に不合格となり、かつ浪人することを反対されて浪人しない選択をした人たちがあてはまります。

ここで私が思い出すのが、#YCPの“非当事者メンバー”のことです。現在#YCPメンバーの多くは地方女子(の東大生)ですが、地方男子・首都圏女子・首都圏男子ともに最低1名はいます。普段活動する中で非当事者メンバーと話したり、活動に興味をもってくださる非当事者の方と話したりしていると、ときどき「自分は地方女子ではない」ということを気にしている様子がうかがえます。そのようなとき、私はよく「この団体に本当の意味での当事者はいない」「#YCPの東大生メンバーは、皆東大に進学するという選択肢を奪われなかった人だ」と伝えています。ただ同時に「地方ではこういうことありがちだよね、みたいな話は確かに地方女子メンバー同士の方が伝わりやすい感覚はある」「地方女子メンバーと非地方女子メンバーが同じレベルで非当事者というわけでもないと思う」ということも言います。

ここまで#YCPメンバーと(2023年度調査結果に典型的な)地方女子の違いについて、東大進学の選択ができたかどうかに焦点を当ててきましたが、少し違う話をします。現在#YCPでは #MyChoiceProject(以下#MCP) という地方女子高校生向けのメンタリングコミュニティを運営しており、私も現在高校生4名のメンターとして参加しています。

#MCPに参加している高校生を”見ていて思うことは「#MCPに参加しているだけですごい」ということです。彼女らはそもそも、「#MCPに参加する」というハードルを超えている人なので、もしかしたら参加していない高校生よりも自らチャンスをつかみにいく行動力のある人たちなのかな、と思うことがあります。自分が高校生だったころのことを思い出すと、外部のコミュニティに所属するという発想がなかった私は、例えば高校で#MCPのような活動のビラが配られたとしても、絶対に参加していないと思います。

そんなメンティであっても、例えば東京での(大学)生活の解像度では、地方の学生特有のものを感じることがあります。

「東京にいると何かとイベントに行きやすくて便利だよ~」といった話をしつつ、そういえば自分が高校生の頃は今のような生活は全然イメージできていなかったな、と思いつつ。#MCPに参加しているから高校時代に東京の大学生の話が聞けるのだとしたら、そもそも参加するという決断ができた人はすごいな、と思います。何か根拠がある話ではありませんが、ここにいるような高校生もまた調査結果の示すような「地方女子」とは一部重なり一部重ならない集団なのかな、と考えています。

以上「地方女子」について個人的に考えたことでした。

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