慢性痛の人に「今日は調子いかがですか?」はなぜ良くないのか
整骨院やクリニック、治療院で働くセラピストは慢性痛で悩まれている方を施術することも多いかと思います。
慢性痛って難しいですよね。なかなか痛みが良くならないから患者はもちろん、セラピストも辛いですよね。
しかしその慢性痛が良くならない一つの原因としてセラピスト側の声かけが関係しているかもしれません。
それはこんな声かけです。
毎回施術に入る時こんなワードを使ってませんか?
「今日は調子いかがですか?」
もちろんセラピストとして良くなっていて欲しい気持ちが強いのは当たり前なのでつい聞きたくなりますが、実はこの言葉はあまり良くありません。
なぜなら慢性痛から余計に逃れられなくなる可能性があるからです。
「今日は調子いかがですか?」と一言目に話しかけてしまっているセラピストがいればこの記事を見て理由を知り、次に慢性痛の方に入る時には声掛けを直してみてください。
この記事を読む事で慢性痛の方への声かけがなぜ大切か、施術の方針などがわかる様になり、患者が慢性痛から改善する一歩になったり離脱しない様になります!
それでは始めていきましょう!
なぜ慢性痛の方に「今日は調子いかがですか?」は良くないのか?
結論から言うと、
【患者が痛みによりフォーカスするから】
慢性痛の定義は3ヶ月以上続く痛みの事を言います。
3ヶ月でも辛いですがもっと長い期間慢性痛に悩まれている人達がたくさんいます。
長く悩まれている方は自分で原因を検索したり、治療院や病院に足を運んでいることが多いです。
そんな中、自分を選んで来てくれた慢性痛の患者さんがすぐに痛みが無くなるとはほぼほぼ考えられません。
そこで来るたびにあまり変わらない痛みの状態を聞かれ「変わらないです」と申し訳なく答える患者の言葉を聞きセラピストも患者も凹むという地獄の時間を体験したことはありませんか?
これでは患者が良くなるの定義が「痛みが無くなること」にフォーカスしてしまうので精神的に病み、より慢性痛の原因を作ってしまうことになります。負のループ。(セラピストが痛みを無くそうとするのは大切)
セラピストは痛みだけを見ないこと
身体を良くするためには痛みだけ見てれば良いのでしょうか??
それはちがいますよね。
痛みが出てる原因がいくつかあるはずです!
例えば、腰痛の原因は腰だけではなく胸椎や股関節の可動域制限にもあるかもしれません。
睡眠不足かもしれません。栄養の偏りかもしれません。
慢性痛はさまざまな原因が複雑に絡み合っている事がほとんどなのでその一つ一つをしっかり聞き患者の生活背景からバックボーンを知る必要があります。
慢性痛に対して狭い視野は危険なのです。
どんな声かけが良いの?
例えば、
「◯◯さん以前より股関節の可動域が△度増えましたね!」
「コーヒーの飲む時間を16時までにしてくれたんですか?!すごいですね!ありがとうございます!」
「寝る時間を1時間早くしてくれたんですね!ありがとうございます!」
「ウォーキングを毎日始めたんですか!すごい!」
この様に痛みではなく、患者自身が頑張った事や良くなった事にフォーカスを当てて声かけをして患者の成功体験を増やしていく事が大切です。
良くなった事、努力してくれた事をちゃんと伝えましょう。
そうすると患者は痛みではなく普段の睡眠や運動、食事などの日常生活習慣に徐々に目を向けてくれるようになります。
そのような教育が必要なんです。
慢性痛の患者には能動的に身体を良くする事をしてもらわないと変わるものも変わらないのです。
まとめ
・痛みにフォーカスさせない
・そのために「今日は調子いかがですか?」はやめる
・日常生活習慣や各関節可動域などに目を向けさせてあげる
・能動的に治療に参加させる(運動やセルフケアなど)
・結果、全身的な健康に繋がり慢性痛の改善に向かう可能性を高める