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サウナ徒然草〜たとえ明日世界が終わっても君に逢いたい〜

明日のことは誰にも分からない。
しかし確定された未来もある。

それは決められた時の流れだ。
人はこの世に生を受け、やがて死ぬ。
その間の時の流れだけは長短はあれど不変だ。

そして私は知っている。
これは覚悟していた未来。

そう今日でゴールデンウィークが終わるのだ。

あらかじめ丁寧にもカレンダーは終わりを指し示してくれていた。
覚悟していたつもりだった。
最後の最後の瞬間まで明日のことだけは考えないと決めていた。

しかし今、私は明日から仕事が始まるという事実に絶望している。
まるで明日、世界が終わるかの様に私は悲しみに暮れている。
気を抜けば涙が頬を濡らす。
胸が痛い。
こんな胸の痛みは青春時代に好きな子に告白して振られた時以来だ。

私はあの時初めて知った。

「人は悲しい時どうしようもないくらいに心が痛くなる。」ことを。

私は逃げたかった。
あらかじめ決められた時間軸に少しでも抗いたかった。少しでも時間軸を緩やかに曲げては永遠を感じたかった。

ゴールデンウィークがもうすぐ終わる。

私は息子が眠りに就いたのを確認すると、妻に勇気を振り絞って言った。

「サウナ行って来ても良いかな?ちょっと心が不安定なんだ。」

妻は言った。

「いーんだよ。行ってきな。」

妻はいつも私のサウナ通いにだけは寛容だ。
私は今日もそんな妻の優しさに甘えることにした。

時刻は20時を過ぎていた。

私には逃げる場所がある。
それはとても幸せなことだ。

自宅から車を走らせ10分もすると、
東名厚木健康センターの煌びやかなネオンが今日も出迎えてくれた。

このネオンを見るだけで私は癒される。

心が落ち着く瞬間だ。

肩にのしかかるプレッシャーも一瞬で消える。

ここに来ればいつでも現実世界から離れどうでも良いことを考えたくなるものだ。

受付のスタッフは今では顔見知りの私に「いつもありがとうございます。」っと気の利いたひと言をくれる。

小さなことだが、そんな気遣いが嬉しかったりもする。

私は息子とお風呂に入った後なので、本来は省略可能なのだが、身体を洗い、いつものルーティンで心のざわつきを落ち着かせる。

そしてサウナ室へ入っては非日常の思考を繰り返すことにより現実世界から遠く遠く離れていく。

これは確実に現実逃避の末期症状ではあるが、私が幸せを感じる1番の瞬間だ。

人にはあらかじめ決められた未来がある。

しかし、それが全う出来たならばどれだけ幸せだろうか。

サウナ室のテレビからはニュース速報が流れていた。

「7日後に小惑星が地球に衝突します。地球は滅びます。皆様悔いのない7日間をお過ごし下さい。」

アナウンサーはそう言うとテレビ画面から消えて行った。

私にとって、そして人類にとって最後の7日間だ。

人々は最後の瞬間をなるべく考えない様にしては人生を謳歌する。

この7日間だけは平等だ。

優も劣もなくなったこの世界。

戦場では皆銃を捨て家族の元に帰るだろう。

この世の秩序はなくなるが、どうせ7日後には死ぬのだから殺しは起きない。

権力者達は権力を失い失脚する。

皆自由を手に入れる。

だが交通機関は麻痺するので国外には行けはしない。

毎夜毎夜踊り狂う人々。

世界が滅亡するまでとにかく踊り狂う。

Keep on dancing till the world ends!!


だがその中にも職務を全うする少数派もいるのでどうにか生活は成り立つ。


マイノリティは信じている。
この世は滅亡しない。必ず救世主は現れる。

この世が滅亡しなかった時に勝つのは私達だ。

それはそれで素晴らしい選択だ。

人類とはごく少数の叡智により進化を遂げている。

彼らの頭脳に全てを託すのは、一見他人任せだが合理的だ。

多分きっと救世主はアメリカ人だ。
ブルースウィリスとウィルスミス。
さらにはイーロンマスクまでいる。

いつだって舞台はアメリカだ。

人類継続作戦Xにより、小惑星は破壊されるのだ。

その可能性も否定出来ないが、私なら踊り狂う。

仕事なんて全然したくない。

もし仮に小惑星が破壊されたとしても全然オッケー。むしろウェルカム。

私は今を楽しみたい。

どうせ人類なんて極少数の叡智によって成り立っているのだ。

私が踊り狂っていたとしても何も問題ない。

頼んだよ地球の未来を!!

私には踊ることしか出来ない!!


そして6日が経った。


踊り疲れた私は今日も東名厚木健康センターへ向かう。

散々踊っておいて大変申し訳ないが、人類が滅亡する前日でも東名厚木健康センターは営業していた。

スタッフ達はいつもと何も変わらない。

どうやら彼等は人類の想像力の結晶であるハリウッドに全てを託した様だ。

逃げる場所があるということは幸せだ。

私は明日世界が滅亡しようと東名厚木健康センターに来るだろう。

そしてまた、現実逃避を繰り返しては現実を生き抜くのだ。

明日は家族と過ごそう。

小惑星が地球に衝突する瞬間まで妻と息子を抱きしめよう。

あらかじめ分かっていた未来だ。

何も怖くない。

きっと小惑星が地球に衝突したとしても私は生きているはずだ。

今日はそんな根拠のない自信を東名厚木健康センターは私にくれた。

私にとってここは心の拠り所。

例え毎日が辛くても「ここ」があるから私は生きていける。

多分私はきっと幸せ者なのだろう。

One Love.

GW Day1
地元の町中華「揚子江」で世界一美味しい炒飯を食べました。
私が大好きな横浜市泉区にある葛の湯へ。
ここが私のアナザースカイ。
特に男性側奇数日のソルティサウナがオススメです。
GW Day2
由比ヶ浜にあるSeedless Barでハンバーガーを食べました。とにかくデカい。そして美味い。
景色も最高だ。
まさにピクチャーパーフェクト。
逗子マリーナで記念撮影。
Tシャツは熱波師のSSKさん(非売品)
川崎ビッグ最高だった。
GW Day3
横浜市旭区のこども自然公園へ。
にわとりの名前が、いかめし、たこめし、とうふ、あおさ、白米、しじみ、あさり、なめこ、わかめ、だったのがインフィニティ。ここまできたらフライドチキンとネームしても良かったはずだ。
GW Day4
松田山ハーブガーデン。
SLがあったりイギリスから輸入した「からくり人形」があったり大満足な施設。しかも入園料は無料。
子供連れにオススメだ。
地元に帰り大行列店の厚木家でラーメンを食べました。
家族と過ごした後は東名厚木健康センターでロウリュウ姉妹による爆風ロウリュを受けて昇天。
GW Day5
最後の締めはお決まりのAKC。

A〜で始まり♫
C〜で終〜わる♫
温浴施設はAKC

広瀬すずが降臨したとかしないとか。

世界が終わる瞬間まで踊り続けたい by ブリトニースピアーズ

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