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なぜ用務員は除草をするのか?

かなり昔、その当時の教頭に
「どうしてそんなに一生懸命に草取りをするの?」
「冬になれば枯れるのに…」
そう言われたことがあります。

その時は「そんな、みっともない」とか、そんな答えしか返せませんでした。

今、同じことを言われたら、私なりの答えを返します。

「なぜ、用務員は除草をするのか?」
「学校を『富士の樹海』の様にしないため」


植物には「植生の遷移」というものがあります。

「植生の遷移(森林・林業学習館HPより」
https://www.shinrin-ringyou.com/shinrin_seitai/seni.php

草ひとつない土壌があったとして、そこにはまず苔が生え始めます。

次に一年草の夏の雑草が生え始めます。

そしてその後、一年草の冬の雑草が生えます。

そののち、多年草の雑草がはびこり始めます。

気がつくと、多年草の雑草の中に鳥の糞や動物によって運ばれた樹木の種から背の高くなる樹木が育ち始めます。(陽樹)

背の高い樹木がたくさん育ってくると、地面に日が届かなくなります。
木漏れ日の間には、それでも育つ陰樹が育って行きます。

そんな感じで土地は移り変わっていきます。
イメージ的には富士の樹海の様な世界。
そこに目標があります。

そう、土地は長い時間を掛けて地球本来が目指すべき環境へと移り変わっていこうとしているのです。

さて、話は変わりますが、畑で育てる野菜はそのほとんどが一年草です。
(茄子の様に環境によっては木の様になって何年も収穫が可能な野菜もあることはありますが…)

畑の中に多年草が生え始めると、一年草の野菜にとっては負担が多くなり、育ちにくくなります。
なので、近代農法では極力雑草が生えない様、シートで覆ったり、除草したりするわけです。

学校で「どうせ枯れるから雑草はそのままで構わない」としたらどうなるか?
じきに雑草は根の深い多年草で覆われ、実生の木があちらこちらに生え始め、鬱蒼とした環境へと変わっていくでしょう。

土地が広く、遊び場や運動場が確保できれば、そう言った場所が存在することは差し支えないかもしれません。しかし、都心の学校ではその空間は無駄過ぎます。

極力、多年草の雑草を生やさせない。
その努力を続けることが学校を綺麗に維持していくための基本であると私は思っています。

用務員は学校を学校たるべき場所とするために除草するのです。


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