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そろそろ、「ジューシー・フルーツ」を再評価しようではないか。(2024年8月3日改定版)

時代の徒花」コミックバンド」「しょせんは歌謡曲」みたいな扱い方をされたジューシー・フルーツなんですが、いえいえ、なかなか実力を持った日本では珍しい「センスの良いポップスバンド」だったのではないかな、と。

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前身は近田春夫が1979年に結成したバックバンド「BEEF」で、近田を含めて7人編成であったが、近田がレコード会社を移籍することになり、当時の「半年間は移籍先でのレコードリリースができない」という事情から、イリアこと奥野敦子(ヴォーカル、ギター)、柴矢俊彦(ギター)、沖山優司(ベース)、高木利夫(ドラム)の4人で再編されたのが「ジューシィ・フルーツ」である。

1980年にデビュー。デビュー曲で代表曲でもある『ジェニーはご機嫌ななめ』は、テクノ風アレンジと、ボーカルの奥野敦子のファルセットボイスで注目され、37万枚を売り上げる同年のヒット曲となった。プロデュースを手がけた近田によれば、プラスチックスのような楽曲を歌謡曲に置き換えたら目新しくて受けるのではという発想があったそうである。

当初は近田春夫事務所に所属していた。その後、近田春夫事務所だけでは対応できなくなり、デスクがアミューズ内にあったことから、アミューズのが手伝うようにもなり、その後正式にアミューズに所属している。

バンド名は、映画『ファントム・オブ・パラダイス』に登場するロックバンドからの引用である。

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ウイッキーペディアより引用


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では、私がおすすめする「ジューシー・フルーツ」の名曲5選をご紹介しましょう。

■「十中八九N・G」

作詞:沖山優司
作曲:近田春夫
編曲:Juicy Fruits
1981年2月1日発売

https://www.youtube.com/watch?v=Q_C1CrZLoFI

♬ ここに ナイフが もし あったら ♬ というフレーズのイリアの凄みがカッコいい。

男性陣のコーラスワークも素晴らしい。

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■「これがそうなのね仔猫ちゃん」

作詞・作曲:近田春夫(1981.05.01発売)

サッポロビール「グイミー」CMソング

テレビCMでは「♬ キラキラ ♬」というところが、とてもキャッチーでした。ギターフレーズがひたすらカッコいい。

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■「恋愛スランプ」

作詞:三浦徳子
作曲:柴矢俊彦
編曲:Juicy Fruits
1981年11月発売

https://www.youtube.com/watch?v=BsWmvSfvk6M

♬ 真夜中に占ったトランプに言われた 恋愛スランプ ♬ というところが可愛くてカッコいい。

間奏がなんとなく、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」みたいになるなど、すべてのフレーズが「どこかで聴いたことがある」既視感だらけの名曲である。

リードボーカルのイリアは、徹頭徹尾「超ファルセットボイス」で貫き通していて、「おとぎの国」に迷い込んだような一曲である。

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■「哀シャローム」

ジューシィ・フルーツ+1(藪本雅子)「哀シャローム」
作詞 三浦徳子
作曲 筒美京平
編曲 Juicy Fruits、戸田誠司
1982年5月発売

https://www.youtube.com/watch?v=6B1F66IMJKI

筒美京平さんが満を期して登場。

♬ 愛しているなら シャローム シャローム ♬ というフレーズは、モロにヒット狙い。

とにかくカッコいい曲であります。

藪本雅子がキーボードで参加。日本テレビ出身のアナウンサーである。

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■「夢見るシェルター人形」

作詞・作曲:セルジュ・ゲンスブール
日本語詞:ちあき哲也
編曲:Juicy Fruits、戸田誠司
1982年7月発売
フランス・ギャルのヒット曲『夢見るシャンソン人形』のカバー。
筒井康隆原作映画『ウィークエンド・シャッフル』のエンディング・テーマです。

私は、映画『ウィークエンド・シャッフル』を観に行って、初めて聴きました。それまで、フランス・ギャル「夢見るシャンソン人形」も聴いたことがなく、「なんてよく出来たポップスなんだ!」と映画を観終わったあと、レコード屋へ走ったことを思い出します。

で、この曲、放送禁止になっていた? くわしいことは「出版工房ひうち」さんのブログから引用させていただきます。

***

あなたは、ジューシー・フルーツの歌っていた(アルバム「27分の恋」収録の)「夢見るシェルター人形」という歌を知っているだろうか?

そもそも、ジューシー・フルーツというバンドは、テクノポップ系のオモシロバンドというコンセプトだったと思う。近田春夫のプロデュースによるキャッチ―な音楽(+隠し味としてのひねり、アイロニー感覚)をモットーにしていたように思えた。

デビュー曲の「ジェニーはご機嫌ななめ」や事実上高田みづえとの競作「そんなヒロシに騙されて」のベンチャーズ+GSサウンドなどは、批評性もある印象だった。

この「夢見るシェルター人形」は、レコード発売直後、歌詞が不適切ということで、放送禁止になった。この放送禁止は、通常の、差別、原発、などの社会問題をリアルに歌詞にしたというタイプの禁止(自粛という規制)ではなく、一般人にはアイロニーがわからない、というタイプのものだと思える。

この手のアイロニーをまともに受け止めてしまう一般人は、はたしてどれだけいるのだろうか? 考えてみてもいいと思う。

以下、歌詞(訳詞?)を紹介しよう。

夢見るシェルター人形 (1982年:ジューシー・フルーツ、訳詞?作詞?:ちあき哲也)

〔原曲:夢見るシャンソン人形、フランス・ギャル。作詞・作曲:セルジュ・ゲンズブール〕


  *↓ 問題(放送に適さないと問題)になったと思われる箇所 

    星よりキレイな核ミサイル
    弾けて街中が光になったの
    授業が無いのは嬉しいけど
    一人じゃ愛なんて習えもしないわ

    あれから夜はどこかに行ったわ
    あれから朝も帰って来ないわ


    友達代わりのコンピューター
    ホントの太陽の真下が好きなの
    私は夢見るシェルター人形
    触れたら解けそうな危険な雨でも
    このままあの人の胸まで走って
    二人の物語続けてみたいわ

しかし、この曲は、全体に逆説的な風刺が効いていて、問題にする方が問題なような気もする。作詞家のちあき哲也の訳詞?も、うまい。ちあきは「飛んでイスタンブール」のような曲や「吾亦紅」のような曲の詞も書くのだ。やはり力があるんだなあ。

いま、イラン、北朝鮮、だけでなく、核保有国、核を本気ではなくそうとしない?国連諸国でも、ぜひ日本語詞で聞いてほしい曲だ。

この曲の詞がやばいのかやばくないのか、あなたにも考えて欲しい。

***

■番外編:「東京キケン野郎」沖山優司

この曲、好きなんですよ。プロデューサーも近田春夫が「いまこそ、リズム歌謡だ!」と打ち出した渾身の一曲・・・であったが、あまりヒットしなかった。私はレコード買いました。いまも持っています。MBS「ヤングオーオー」にも沖山さんは出演し、この歌を歌っていました。

沖山優司/東京キケン野郎 (1981年)
作詞・作曲:編曲:沖山優司

イントロのギターフレーズとハンドクラッピングがカッコいいぜ!

男は恋のためなら、東京タワーにも登るし、山手線の線路を走ったりもするのです。

ザ・ぼんちに提供した曲のセルフカバーであることは、あまり知られていません。陣内孝則もカバーしています。

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てなことで。もういちど、日本で稀有なポップスバンド「ジューシー・フルーツ」を再発見してみませんか?

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2024年8月3日に、全曲、聴けるように直しました。



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