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サラメシじゃなくて皿盛 #ごちプリ

NHKで「サラメシ」って番組やっているでしょ。みんなでわいわいがやがやと昼ごはん食べる番組。社長や社長の奥さんが登場して、賄い飯を作ったり、新婚さんが愛妻弁当を披露したり、昼ごはんネタでいろいろ楽しく盛り上がってますよね。

みなさんは、「サラメシ」みたいに、みんなと一緒に昼ご飯を食べる人ですか、それとも、一人で食べる人ですか。

私は、たいてい一人で食べます。昔からそうでした。口下手だし、話題付いていけないし、気つかうし、眠たくても居眠りできないし、だから、みんなと一緒に食べるのがイヤなんです。

というか、ほんとのところは、昼ご飯の輪っかの中に入りづらかったのかな。

そんな私は、学生時代を京都で過ごしていました。書いてて思い出したんだけど、もう、40年近く前の話だよ、永遠の57歳だから。その当時から、私は、今でいうぼっち飯やってました。学食で一人で食べるのも恥ずかしいし、近くの牛丼屋さんとか、大学から少し離れた食堂とかで昼ご飯を済ませていたのです。

それで今日、思い出したように、当時食べてた食堂で昼ご飯食べよっと思って大学の近くまで行ったのですが、なんと思い出のお店が、ぜんぜん違うお店に変身してました。

仕方がないので、ぷらぷらと鴨川沿いに散歩していると、三条大橋東詰あたりにたどり着きました。三条大橋は、東海道五十三次の終点として有名ですが、この三条大橋から四条大橋までの鴨川西岸の河川敷は、恋人たちが等間隔で並んでいると岡崎体育が歌ったところで、学生時代の私は、そんなカップルを東岸から眺めながら、早く彼女ができないかなと、一人ため息をついていたのでした。

(鴨川東岸から西岸河川敷を眺めたところ、冬なのでカップルは少ない。)

当時、三条大橋の東には、京阪電車本線の三条駅と京都と滋賀県大津市を結ぶ京津線の三条駅の二つの三条駅があり、この三条駅周辺は、「三条京阪」という地名で呼ばれていました。なんと、京津線は、路面電車だったんです。(現在は、本線、京津線とも地下化されています。)

(三条駅から出発する京津線路面電車)

そんなことを思い出しながら、三条大橋から、かつて京津線の路面電車が走っていた三条通りを歩いていると、あった!思い出のお店がありました。

「篠田屋」さんです。大学を卒業して、しばらく京都を離れていたのですが、30代のころ、また、京都に舞い戻って来ました。当時は、まだ独身だったので、日曜日は暇を持て余していて、三条通りをもう少し先に行ったところにある岡崎公園によく行ってました。

(岡崎公園にある平安神宮の鳥居)

岡崎公園には、平安神宮の鳥居を挟んで、東西に、京都市京セラ美術館と京都国立近代美術館が向かい合って建っています。いろんな展覧会をやっていたので、一人でよく観に行きました。美術展って、何もしゃべらなくていいし、一人で行っても変じゃないし、当時の私には、ちょうどいいお出かけ場所でした。

なんですが、この辺り、平安神宮とかがある観光地なので、お昼ご飯の相場が高いんです。なので、お昼は、いつもお手軽な「篠田屋」さんが頼りでした。

篠田屋さんの店内って、こんな感じです。

(冷蔵庫が光ってしまってごめんなさい。)

ザ・大衆食堂って感じですね。明治年間創業だそうです。

だからかな、30代に来た時も、いま来てみても、このお店の椅子に座ると、ほーっとするんです。なんか、じわーと沁みてくるんですよ。この感覚を味わいたいのなら、一人で来られる方がいいと思います。

そうこうしてるうちに、

「お茶にしますか。お水にしますか。」

と、おばちゃんの声、いいですよね、こういうの。注文は決まってるんだけど、一応、壁に貼ってあるメニューを見ると、

中華そば、550円って、お安いでしょ。あ、そうだ、京都で「たぬき」って何だかご存知ですか。東京だと天かすをのせたうどんですよね。京都では、刻んだお揚げとおネギのあんかけうどんの意味なんです。メニューにあるカレーうどんも、あんかけ風かな。

さて、メニューの一番右に見える「皿盛」って、いったい何でしょう。店の表のガラス窓にも大きく張り紙がしてあります。

「皿盛」¥750

高知の皿鉢料理のような盛り合わせ、それとも、京都のおばんざいが所せましと盛り付けられたお皿かな。お皿に盛りつけられてると言っても、いったい何が、って感じですよね。

ヒントは、あんかけ。

こたえは、スクロールした後に。

じゃーん、「皿盛」です。

お皿にご飯をよそって、トンカツを載せて、その上にカレー風味のあんをかけた京風たぬきカツカレーといった感じかな。

このあん、カレー風味がそんなに強くなくて、たぬきうどんのあんかけくらいの粘りをしているんで、するっと喉を通っていくんです。写真でわかるかな、お皿の縁すれすれまであんがかかってるでしょ。スプーンですくって、ご飯とまぜて食べていっても、なかなか減らない、皿の底から湧いてくるのかなといった感じです。

ひととおり、あんをすくっていくと、水深が下がって、お皿の縁がプールサイドのように空いてきます。

こうなったところで、お待ちかねのカツにとりかかります。カツは適度に柔らかいので、私の口のサイズだと半分くらいに切って、カレーあんとカツとご飯を一緒にスプーンに載せて、お口に放り込みます。味もそうですが、食感がいいですね。トンカツのころものトゲトゲ感とご飯の少しねちょっとした感じに、さらーっとしたとろみのカレーあんが絡んでくる。カレーのかすかな風味が鼻を抜けるって感じですかね。

食べ終わた後お皿を見ると、スプーンで描いたあんのシュプールが残っていました。スプーンを包んでいた紙ナプキンで口を拭いて、お水を飲んで、はい、ごちそうさま。

「皿盛」って、牛丼みたいに急いで食べなくてもいいんですよ。口にかっこむって感じじゃない。急ぐとあんがこぼれてしまう。ゆっくり、あんすすって、カツ食べて、それが許される食べ物なんです。

だから、一人でゆっくり食べるのがいい。

周りをみると、4人の家族連れ、女性が和服のカップル、近所のおばあちゃん、いろんな人たちが、中華やうどんを食べてます。でもね、篠田屋のね、

一人で食べる「皿盛」が、最高だよ。

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この記事は、ごはんさんの#ごちそうさまグランプリ に参加しています。ごはんさん素敵な企画ありがとうございます。

(おわり)

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