あと三十歳若かったら
今日は誰も居ない日だった
こんな日が来れば
懐かしくて大好きな曲を
大音量で聴くと決めていた
そしてわずか三曲目で
予定外に帰って来た妻がひと言
「うるさいなあ」
あと三十歳若かったら
テーブルをひっくり返して
家を出て三日は帰って来なかった筈だ
そしてその三日の間に
怒りと悲しみの詩を三十は書いた筈だ
だけどマグマが枯竭した僕の体には
温厚のせせらぎしか流れていない
「変えていい?」
当然のような顔をして妻は言った
なんのことだ?なにを変えるのだ?
私の観たいドラマがあるから
オーディオをテレビに変えていい?
ということらしい
あと三十歳若かったら・・・・