君は僕が幾つ目を食べているのかを知らない
そして僕が
三つ目のまんじゅうを
食べ始めたとき
「お父さん、まんじゅうの糖分には
気をつけた方がいいよ」
「そうやね、僕が二十個目に
手を出したときにもう一度言ってくれ」
「いや、二個目で言うよ」
だから僕はこの三つ目を
遥か遠い記憶を思い出すように噛みしめ
中のあんこを切なくなるまで見つめ
無重力のように舌に触れさせて
ためらうはずがないのに
躊躇するような仕草を
左手ひとつで表現しながら
とにかくいつもより
時間をかけて食べた
四つ目に手が伸びなかったのは
言うまでもない
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