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雨の日のユウウツ
昼すぎの
あかるい寝室で
雨音を聞いて
ぽつりぽつりは本当は
なんの音だろう
外壁をたたく音か
ブロック塀ではじける音か
アスファルトに積もった雨水に
なじむ音か
いろんな色の
ぽつりぽつりの中に
ひとつだけ抜き出た高い音が
ずっと同じリズムを刻む
その音を追うと
ほかの音は遠のいて
白い天井が砂色になって
過去と未来のすき間に
僕はすべり落ちた
ここはどこだろう
ベッドが背中に
しがみついて
離そうとしない
横たわった僕が
合わせ鏡みたいに
ずっと続いて
ひとつひとつのすき間に
ぽつりぽつりが置かれて
ずっとずっと先には
僕が見たかったものが
あるんじゃないかと思った瞬間
ドアが内側に開いているのを
見つけた
頭を少し起こすと
視界は天井から壁へと移り
整理ダンスをそっと開ける
君を見つけた
僕の気配に気付いた君は
もういいかとばかりに
ガサガサと音をたてて
頑張って乾かした洗濯物を
整理ダンスに仕舞っていく
いつもこれだ
僕がまだ見ぬ何処かに
行こうとすると
スルスルと君はやって来て
せっかく作った砂の山を
踏みつけていく
天井の砂は音もなく
サラサラと落ちて
いつもと同じ色に戻った