鳩とクッション
鳩がシマトネリコの木にやって来た
ガサゴソと動いている
意味なくやって来たのではない
何かを伝えたいのだろう
鳩胸じゃないけど
自分の胸に手をあてて感じてみる
「急がずに余裕を持って」
そう
僕はいつも急いで
結論にまっしぐらだった
曖昧な先送りは
無能だと思っていた
無能なのに
無能と見られないように急いで
それこそが無能の証だと
気付かなかった
ちょっと寝転がって
枕の代わりになるものがないかと
ソファでくつろぐ妻に言うと
クッションを一つ投げてくれた
「ありがとう。でもこれって今
尻に敷いてやつじゃない?」
「気にするなよ」