見えないドライバー
「お父さん、シャワーヘッドを挿す
金具がグラグラなんだけど」
お風呂から出た長男が言う
「あー、ごめんなさい。
そのグラグラを見るたびに
明日こそはドライバーを持って
お風呂に入ろうと思うのを
もう二ヶ月以上続けてる」
と言いながら僕は
ドライバーを持ってお風呂に入って
キュキュッと締めた
「君のお陰でやっと直せたよ。
これは君が直したと言っていい」
「うん、そうだね。ボクのお陰だね」
本当に素直にそう思う
僕は少しは成長したようだ
君は見えないドライバーを持っていて
僕の緩んだネジをキュキュッと
締めてくれたんだ