「さらば、わが愛 覇王別姫」がWOWOWで放送中。映画は人生の擬似体験。
英国アカデミー賞、BAFTAの受賞作品が出揃いまして、今年は「オッペンハイマー 」が7冠達成。
日本国内での公開は見送られていましたが、今年の3月29日にようやくロードショーが決定で何よりです。
映画館で見た方がよさそうなので、時間を取って出向くことにします。
去年、公開30年周年、レスリー・チャン没後20年の区切りということで、映画史の金字塔と断言しても異論はでないであろう傑作、
「さらば、わが愛 覇王別姫」
が4Kで復活して、映画好きがザワザワしていました。
中国映画がパルムドールを受賞したと大いに話題になったので、DVDになってから鑑賞したのですが、これは映画館のスクリーンで見るべき映画。
見所はありすぎて、すべて挙げるとキリがない。
全部素晴らしいので、とにかく見て欲しい!
初めてこの作品を見たのはまだ20代の頃だったので、京劇の舞台の華やかさやレスリー・チャンの美しさに目がいっていました。
今改めて見直してみると、レスリー・チャンとコン・リーの芝居の巧みさが光ります。
特にレスリー・チャンの、報われない愛情と嫉妬が凝り固まって、目に殺意がこもるシーンは素晴らしかった。
京劇の大パトロンだった清王朝が滅亡し時代が変わると、舞台をかけるにも時の権力者の思惑を憚らざるを得ず、スター役者にも生活の苦労が降りかかるのです。
誰もが必死に生きているし、ただ自分の幸せを追求しただけなのに、ゆずれないものが衝突すれば悲劇が起きて、誰もが無傷ではいられない、そんな激しい人間ドラマに惹きつけられてしまいました。
…と、説明するときれいすぎるかも。
コン・リーはやっぱりコン・リーで、「おしん」みたいな役がはまる女優で、この作品に出演した時点ですでに大女優、大スターなのに、
「どんな逆境だろうと、私は生きていく!」
みたいな、子供を10人くらい生みそうな生命力あふれる役がぴったりなのです。
だから、亭主は京劇のスターなのに、時流が変わって舞台に出られなくなると、
芝居じゃ稼げないじゃないの。違う仕事をしてよ!
私、子供ができたのよ!
と嫁ブロック。
亭主に芝居を捨てさせ、露天でスイカ売りをやらせる笑
そりゃあレスリー・チャンが激怒して、あの女が全部めちゃくちゃにする、あの女さえいなければ、と恨むのも仕方ない。