タマシイノコエ
会場に鳴り響く、そして身体の芯に、心臓に、ズドーンと響く重低音。
今の時期、各地でバンドの野外フェスが行われている。だから、重低音と聞いたらギターのベースかと思うかもしれない。今回はちがう。
私が感動したのは、ギターのベースの重低音ではない。
ヒューマンビートボックス。初めて生で、至近距離で見た私の目には涙が溢れ、書きたい衝動に駆られるくらい感動してしまった。(私は感動すると涙し、コトバを書きたい衝動に駆られますので最大限の感動表現です。)
ヒューマンビートボックスとは?
口や鼻からの発声(時に手を口に当てたり、舌も使う)による擬音により、レコードのスクラッチ音や、ベース音、リズムマシンのミキシングによる音色の加工や変化などを基本的に1人で全て再現し、様々な音楽を作り上げるテクニックです。(参照元:JBA(日本ヒューマンビートボックス協会))
8/4(土)モテワンコンテストの最後のイベント。「ONES」と呼ばれるヒューマンビートボックスコンテストで私は圧倒されてしまった。当日行われたコンテストとはレベルが違いすぎて、終始口開いていた。
勝ち残ってきたファイナリスト4名のショーケースとバトル。
素人目にもわかるくらい4名それぞれの個性があふれていて、私は聞いていて楽しくてわくわくして仕方なかったのである。
なんといっても、4人全員が真剣であった。ヒューマンビートボックスに真摯に取り組む姿に会場にいた全員が魅了された。パフォーマンスを始めると空気がシンとしずまる。みんながそれぞれの世界観に引きずり込まれてしまったのだ。どこからその音、声が出ているのか不思議で仕方なかった。
聞く前は、ちょっとチャラそうだなあと思っていた自分を戒めたいほど、ファイナリスト4人、そして審査員だったヒューマンビートボクサー3人もすごく真面目な人であった。真面目だからこそ、皆を魅了するパフォーマンスができるのだと、絶え間ない努力をしてきたのだろうと感じた。
「タマシイノコエ」
俺の声を、音を聞いてくれ。魂を込めて、魂を削って出しているこの声を、この音を、聞いてくれ聞いてくれ聞いてくれ。新しい世界に俺が連れてってやるから。
目で見て、耳で聞いて、届いてきたパフォーマーの思い。
かっこいいエンターテイナーにまた出会ってしまった。またどこかで会えますように。
ヒューマンビートボックスの起源はヒップホップ文化の黎明期。(諸説あり)お金がなく楽器を買えない人がドラムやその他の楽器を口で真似したのが始まりという。何もないところから生まれた芸術。素敵な発想。
ヒューマンビートボックスをオリンピックの種目にしたいと語っていたTATSUYAさん。その夢はひょっとして実現するのではないかと思うくらい熱狂した夏の夜。
私を新しい世界に連れていってくれたビートボクサーに「ありがとう」を捧げたい。
ゆうき
私の将来のささやかな夢は愛のあるほっこりエッセイ本を出すことです。サポートしていただいたお金はエッセイ本を作るための費用にあてさせていただきます。