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さよなら山手線旧外回りホーム
特別鉄道が好きなわけではなくて、普通に利用していただけのわたしは、山手線ホームが変わることも知らなかった。一時的に山手線の一部が利用できなくなる、というニュースは山手線の中で聞いた気がしたけど、それが自分に関係あるとは思っていなかった。だから、ある日急にこれまで利用していたホームへの階段が閉ざされていたのに驚いた。
ああ、そういうことだったのか。よく利用していたホームのキオスク。人気がありそうなのに急に閉店したから残念だなと思っていた。ホームがなくなるのであれば閉店も当然だ。
そして数日間、これまで登っていた階段でこれまでのホームに行きそうになり、案内の人の存在で気づいて別ルートをたどる朝を繰り返し、やっと新しいホームにも慣れてきた。
新しいホームからは、古い外回りホームが見える。
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少しずつ片付けられていく。
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82年間ありがとう!と書いてあった。歴史が長い。
わたしが利用したのは何年かだけど、それでもなんとなくせつなくなってしまった。
内回りと外回りのホームは同じ方が便利だし、慣れてしまえばこれまでと変わらない。だけどこれまで利用していたホームが見える。
今まで行っていたところにもう行くことはないんだな、というこれまでに何度も経験してきた感じがさみしい。
ホームでゆううつな気持ちで電車を待ったこともあるし、ドキドキしながらホームにいたこともある。そんなささやかな思い出。
考え事をしすぎてホームに長時間とどまり、自動改札を出るときに「移動時間に対して改札内にいた時間が長すぎる」という理由で引っかかってしまったこともあった。
もうそこに行けなくなる、と思うといろんなことを思い出す。いつか消えてしまうような淡い記憶。心のどこかに引っかかっていたんだな。
わたしが過ごしたのは、82年間のうちのほんの一部だったけど、ありがとうこれまでの山手線外回りホーム。おつかれさまでした。