COVID-19で思い出した、ひとりぼっちのウイルス騒ぎ
あれはまだ結婚したばかりのころ、仕事をしていたら急に気分が悪くなった。ひどい胸焼けみたいな、気持ち悪い感じ。だけど忙しかったし、疲れだろうと思ってそのまま仕事した。帰るころには両腕にぶつぶつができてた。蕁麻疹?いやだなあ、と思って帰宅。
疲れたらわたしはお風呂に入る。お風呂大好き。疲労回復にお風呂が一番。
気分よくお風呂に入って疲れを取ろうと思っていたのだけど、お風呂に入っていたら全身にぶつぶつが広がってきた。細かい赤い発疹。あー最悪。お風呂から上がって鏡を見たら、ほぼ全身に発疹が出ている。なぜか顔には出ていない。顔に出てなくてよかった。寝たら治るだろう、と就寝。
朝起きてもぶつぶつは治っていなかった。がっかりした。気持ち悪い。体調が悪いというより見た目が苦痛。あの頃まだ若かったから、全身に赤いぶつぶつなんて外に出られないよと思ってしまった。顔に出ていないのが救い(なんでだろう)。
会社に連絡して、皮膚科に寄ってから出勤することにした。飲み薬とかゆみ止めをもらう。「じんましんですね」という診断だった。
お薬を飲み始める。全身に広かったぶつぶつは、薬を飲んでもびくともしなかった。不安になる。一週間経っても、症状はよくならない。治ってきたかな?と思うと悪化する。夕方くらいから、微熱。下半身中心に発疹、痒みが出る。変な話、陰部ギリギリまでぶつぶつが出て痒い。つらかった。
治らないからまた受診。同じ皮膚科に行くことも考えたけど、薬は効かなかったし、その皮膚科はとても混雑していることもあり、近所の内科を受診する。
症状と経緯を説明し、皮膚科で飲んでいる薬を見せる。
内科のおじさん先生、「これは蕁麻疹ではなくて、お薬へのアレルギー反応のようです。お薬やめてみましょう。」
そうだったのか、薬をやめてみる。それでも症状は改善しない。「発疹、消えない、微熱」などで検索しまくる。このまま、一生身体中ぶつぷつだったらどうしよう。
ぶつぶつが消えないストレスが一番重かった。赤いぶつぶつは、消えそうになるとまた濃くなり、を繰り返す。お薬をやめても、ぶつぷつのままだった。つらい。約一ヶ月ブツブツ人間。ほんとうにしんどかった。顔にだけ発疹が出ないのは謎だったけど、救いだった。
ストレスで具合が悪いのか、じんましんなのかアレルギーなのか何かもうわけがわからなくなってきた。何が原因かわからないこと、症状がまったく改善しないこと、先が見えないこと、見た目がきれいじゃないことがほんとうにつらくて、毎日起きては改善していないことにがっかりする日々だった。
いい加減に治したいと思って、近所で一番大きな総合病院を受診した。受付の仕方も個人の病院とは違っていて少しドキドキした。受付で皮膚科がいいのか内科がいいのか相談して、皮膚科を受診した。
担当の先生はおんなのひとだった。なんか安心できる人だった。症状を話す。全身を見せる。
女先生の診断、「なんらかのウイルスに感染して、身体が反応してるんだと思います。」
えー。ウイルス。それは思いつかなかった。
なんのウイルスですか?調べてもらえませんか?と聞くと、
「ウイルスって、数百種類あるんです。いちいち検査はできないんですよね。対症療法になります。」
とのこと。
え、検査してもらえないんだ。治るかな?
治りますか?と聞くと
「お薬を飲んで様子を見ましょう、1週間後にまたきてください」
そこが総合病院だったからか、その女先生の言うことはなんか信じられるような安心感があった。そしてもらった薬を飲み、数日で症状は良くなった。薬が効いたのか、安心してストレスが減ったからなのか、たまたまタイミングだったからなのか、よくわからないけどブツブツ人間から普通に戻れたのは嬉しかった。やったー!って飛び跳ねたいような気持ち。
その経験で学んだ。
お医者さんでも正確な診断は難しいこともあり、ひとによって診断結果は違うこと。世の中にはたくさんのウイルスがいて、いちいち検査してはもらえないこと。
今話題のCOVID-19は、特異で有名になったから注目されてるけど、世の中には無名のウイルスがほかにもたくさん生きてる。
ウィズコロナとかいうけど、ずっとわたしたちはウィズ〇〇ウイルスだったのだ。
そして、特効薬がないウイルスは、新型コロナウイルスだけではない。多くの無名なウイルスにも決まった薬や治療法がない。
有名な新型ウイルス(コロナ)は怖いし、感染拡大防止に努めなければならないけど、他のウイルスのことも忘れちゃいけない。わたしたちは、これまでも旧コロナウイルスをはじめ、あらゆるウイルスに対処しながら生きてきたのだ。これまでだって、もしかしたら無名のウイルスのせいで、感染症かどうかもわからないまま命を落とした人がいるかもしれない。新型コロナは、発見されていて検査を受けられるという面ではある意味安心なところもある。徐々にウイルスについて解ることも増えていて、いい傾向だと思う。
あの時の無名なウイルスのおかげで、わたしはウイルスを意識するようになり、ずっと警戒して生きてきた。再びプツプツ人間になるのはイヤだから。そのせいか元々丈夫なせいかはわからないけど、かぜもほとんどひかないし、インフルエンザにも感染したことがない。たぶん、みんなコロナを意識して生活しているせいで、普通の風邪やほかの感染症にかかるひとも減っているんじゃないかな。
この騒ぎで多くの人が、ウイルスや感染への意識を高め、以前より注意して生活するようになったのはいいことだ。コロナに限らず、変なウイルスのせいで苦しむひとが減ることを祈ってる。
そして、コロナをみんなが警戒しているうちに、いくつかの無名なウイルスが宿主を失って絶滅しているといいなぁ、ウイルスや感染が減ればいいなぁ。
はやくウイルスの特性や対策が明らかになって、コロナを怖がりすぎるひとたちのせいで、差別される人や経済的な不利益を被る人も減るといい。そのために、専門家の人たちにはウイルスや感染についての研究をすすめていただき、どんどん発表してほしい。
世の中、良い方へ向かいますように。
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