裏紙に落書きする人 新人さんいらっしゃい(2)
2020年4月
まだわからないことだらけの相手に立ち向かう不安と、絶対的不足のPPE(個人予防具)の不安はありました。
でも、一般病棟では、数年前から常時着用指示になったマスク付けているぐらいで、勤務室内でマスク外してお茶飲んだり、お菓子つまんだりしてる人も沢山いました。ちらっと素顔を覗けます。
マスクしているぐらいなら、相手の顔の識別はできるし、表情は読み取れるんです。人の感情って、顔全体、体全体、姿勢、ちょっとした行動、口調、醸し出すオーラに出てくるものなので、普通に人間関係を構築してきた成人ならば読み取ることはできるのです。
2021年4月
度重なる職員の感染から、対策がどんどん厳しくなっていきます。
この時、勤務中のマスクは当然、ゴーグル着用もほぼ常時。
休憩室以外の飲食禁止。
対面飲食禁止、黙食絶対。
更衣室でもおしゃべり厳禁。
外にでたら、花粉飛び交いマスク・花粉メガネ・ティッシュまで登場。
新人も先輩も、お互いの素顔がわかりません。
そして、院内クラスター。
専用病棟に感染した方を移動すればよい数を超えているのです。
各病棟でゾーニングしながら対応するのです。
病棟の半分が、完全防備衣装で対応するのです。
完全防備といっても、グレイスアカデミーに出てきた宇宙服もたいなゴテゴテなのではないけど。
落書きにあるみたいに、キャップ、エプロン、手袋。
さすがに、ここまで隠れると、人の見わけがつきずらくなります。
もともといるスタッフ同士なら、相手の特長を思い出して合致する部分と照合する作業を無意識下でおこない、判別しているのだと思います。
でも、相手との付き合いがほとんどないと、
同じような被り物している人たちを区別しろと言われても、区別するためのスキーマがないのです。
私は各病棟回りながら、
「誰が誰だか分んないよ~!」
って叫んでました。
名札もないわけですしね。
私ですらそうなのです。
新人さんは、さぞかし、しんどかったことでしょう。
なので、新人さんに、私の見分け方解説を落書きしました。
この時代、
なんだかんだと叩かれた医療職についてくれ、
こんな市の外れの、田舎の小さな民間病院
ネームバリューのない病院
生活困窮者の拠り所ゆえに、
毎年「秋には潰れます」
20年間「5年後立替」と言いつつ、
「やっぱ、お金ないので延期です」(明日は永遠に明日状態)
って言っていてる病院に
予定通り入社式に来てくれただけで
なんだかもう、ありがとうの気持ちなんですよね。
妖怪婆としてはね。
もうちょっと つづく