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エピソード45 座敷童

座敷童(ざしきわらし)は主に岩手県に伝わる妖怪。

座敷または蔵に住む神と言われ家の人に悪戯を働く、
見た者には幸運が訪れる、家に富をもたらすなどの伝
承がある。
一般的には、赤い顔で5、6歳くらいの子供というが
年恰好は住み着く家ごとに異なるともいい、下は3歳
程度、上は15歳程度の例もある。
髪はおかっぱ、またはざんぎり頭。性別は男女両方が
見られ、男の子は絣(かすり)か縞(しま)の黒っぽ
い着物を、女の子は赤いちゃんちゃんこや小袖、とき
には振袖を着ているという。

最も特徴的な民間信仰として、座敷童子がいる家は栄
え、座敷童子の去った家は衰退するということが挙げ
られる。
こうした面から、座敷童子は福の神のようなもの、ま
たは家の盛衰(せいすい)を司る守護霊と見なされる
こともある。


45 座敷童 オリジナルストーリー

明治時代の初め、まだ幼い泰造は神社の境内で幼なじ
みと5人でかくれんぼしていた。

たまたま鬼になった泰造が一人一人見つけて、みんな
が集まってみると6人になっていた。
でもみんな知っている顔で最初からいた気がする。

みんながまあいいか、と思って夕暮れまで6人で遊ん
でいた。
そして夕方一人一人と親や兄弟が迎えに来て帰って行
った。

残ったのは泰造ともう一人。
そのうち泰造も祖母が迎えに来てくれた。

泰造:
君は誰も迎えに来ないのかい。
こんな暗いのに一人じゃあぶないから、オイラの家は
ここからすぐ近くだから一緒においでよ。
いいよねお祖母ちゃん。

泰造と祖母ともう一人の子は一緒に神社のすぐ近くの
自宅に帰っていった。しかし、自宅に着くとなぜかも
う一人の子はいなくなっていた。

泰造:
あれ、どうしたんだろう? きっと途中で誰か迎えに
来たんで帰って行ったんだな。
さよならぐらい言ってくれてもいいのに...

でも不思議なことはそれだけではない。泰造のいる金
山家は7人家族なのになぜかご飯の準備をしても8人
分、布団も8人分、なぜか8人分用意してしまう。
それならと、毎回1人分別に用意することとした。
そしてなぜかそれから色々良いことが続き金山家はこ
の地域で一番の金持ちとなった。

それから20年が過ぎた。
ここ半年泰造の父は原因不明の病気にかかり寝たきり
になっていた。

ある日の夕暮れ旅の僧侶らしき男が金山家の門の前に
立っていた。
この怪しげな僧侶は家から出てきた泰造に言った。

僧侶:
ここに病人がいるであろう。
この家は座敷童という悪霊にとりつかれている。
このお札を貼りなさい、悪霊はたちどころに出ていく
であろう。

泰造はこの僧侶に父の病気の話をして、お礼をもらい
さっそく家の中の神棚に貼った。 

僧侶:
ヒヒヒヒ、まんまと騙された、これで座敷童の奴が出
ていけばワシも気兼ねなくこの家に居座れる。

この旅の僧侶の正体こそ父を病にしている疫病神であ
った。

僧侶は霊力で姿を消し、金山家に入っていった。
すると疫病神の前に20年前とまたく姿の変わらない座
敷童が現れた。
座敷童は怒りのオーラに包まれていた。

座敷童:
疫病神よ、オラの世話になった金山家に憑りつくのは
絶対に許さない、しかしこのお札がある家にオラは長
くは居られない。
だから疫病神よお前もオラと一緒にこの家から出てい
くんだ。

泰造いままでありがとう、お前達と一緒にいられて楽
しかったよ。
さようなら。

そう言うと座敷童は見えない縄のようなもので疫病神
を縛り上げ神社の境内の方に消えて行った。
数日後父の病気の症状は軽くなり、半月後には元の体
調に戻っていた。

しかし父の長い病気生活のおかげで拡大を続けていた
父の事業も悪くなり、規模を大幅に縮小することとな
った。

しかしこのおかげで、仕事でなかなか家に帰らなかっ
た父も毎日きちんと帰宅するようになり母の苦労も少
なくなってきた。

泰造は思った少年の日に出会った子供が座敷童で、
きっとこの金山家を守ってくれたのだと、そして父の
病を連れてこの家を出て行ってくれたのだと。

泰造:
座敷童さまありがとうございます。
もしもまたお目にかかることがあれば一緒に遊んでく
ださい。こんどはかくれんぼ負けないよ。

裏の神社の境内で声が聞こえる

「もーいーかい」「まーだだよ」

「もーいーかい」「もういいよ」

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