エピソード41 百目
41 百目
百目(ひゃくめ)は、全身に無数または百個の目を有
する、日本の妖怪である。
全身に数多くの目があるとされる妖怪で、水木しげる
の著書によれば、太陽の出ている昼間はまぶしいので
主に夜に出歩くことが多く、人が百目に出会うと、
無数の目のうち1つが飛び出し後をついて来るとされ
る。また口にあたる部分も目で構成されているために
口とおぼしい器官がみあたらず、何を食べたりするの
かわからないという。
41 百目 オリジナルストーリー
ここは私たちが住んでいるところと少し違う世界。
この世界は人間と妖怪が普通に一緒に生活していた。
そしたここはとあるマンションの一室、ある妖怪が目
の前のマンションの一室を見張っていた。
そこに相棒の刑事が入ってきた。
刑事:
はい、差し入れのアンパンと牛乳だ。
どうだ、百目。
今日で3日目になるが、奴は何か動きを見せたか?
百目:
ありがとう。残念ながらアイツはぜんぜん動きを見せ
ない、もしかして奴も我々に気づいているんじゃない
のか?
刑事:
それは無いはずだ、百目はここから一歩も離れずにず
っと奴の部屋をその目で監視していたんだ。奴だって
この離れた部屋には気がつくまい。
百目:
もう3日か、仕方ない俺の奥の手を出すしかないか、
かなり体力を使うからあまり使いたくないんだが仕方
あるまい。
そういうと百目は全身に力を入れて体をブルブル震わ
せた。そしてお腹のあたりの目玉を一つ飛び出させた
しかし飛び出た目玉は落ちずに宙に浮いている。
百目:
私の秘儀、目玉ドローンだ。
これを奴の部屋の近くまで飛ばせて奴の動きを覗いて
やる。みていろ。
さっきまで百目が監視していた向かいのマンションの
部屋に目玉ドローンを飛ばして部屋の中を覗いてみる
と二人の男が何やら取引をしているようだった。
どうやら部屋の住人にマフィアがとあるヤクザの組長
を百万ゴールドで殺してくれと持ち掛けているらしい
百目:
お前たち人間にはわからないかもしれないが、依頼を
受けてるあの男、妖怪が人間に化けているんだ、あい
つは土蜘蛛!糸を使ってなんにでも化ける厄介な妖怪
さ。
刑事:
よし、尻尾はつかんだんだあいつが部屋を出たら尾行
して犯行におよぶ前に捕まえてやる。覚悟してろよ。
夜も10時を回ったころ、人に化けた土蜘蛛はマンシ
ョンから出てきた。刑事と百目は後をついていった、
まぶしい昼間じゃなくって良かったと思う百目であっ
た。
と、あるビルを曲がったところで土蜘蛛が姿を消した
あわてて刑事は走って探しに行こうとしたが、百目が
止めた。
たしかにビルの間に大きな蜘蛛がぶら下がっている。
土蜘蛛:
よく見破ったな! 俺も犯罪にかけちゃ百戦錬磨尾行
されてるなんざ気配でわかるんだよ。
まずは人間の刑事から始末してやる。
土蜘蛛は鋭利な刃のついた糸を飛ばしてきた、しかし
刑事はそれを特殊な日本刀ではじいた。
刑事:
悪いな俺も妖怪専門の刑事なんで刀やらお札やら使い
慣れてるんでな。
土蜘蛛:
くそ~面倒な奴だ、逃げた方がよさそうだな。
それには百目の目を眩ましてやる。
土蜘蛛は発光フレアを百目に打ってきた。
百目:
目、目が~まぶしくて見えない!
土蜘蛛:
ハハハハハ、これでしばらく百目も目が見えまい。
アバよ阿呆ども。
と、さっきのフレアが糸の一つにジャストミートし燃
え上がった。
そしてその火は糸を伝わり土蜘蛛に引火、土蜘蛛は火
だるまになって落ちてきた。
刑事:
え、お前の方がよっぽど阿呆だな。
刑事は落ちてきた土蜘蛛の火を消してやり、ボロボロ
になった土蜘蛛を署に連行していった。
百目は思った、我々妖怪は特別な能力を持っていたり
するが、逆にそれがあだとなったりする。
人間とコンビを組むことでそれを補うよう
うまくやっていけるのだと。