エピソード69 さがり
69さがり
さがりは、岡山県邑久郡(おくぐん)に伝わる妖怪。
馬の首だけの姿をしており、路傍の古いエノキの木か
らぶら下がった状態で現れる。
鳴き声をあげたりして、暗い夜道を歩いている人など
を脅かすともいう。
熊本県でも同様の怪異があり、玉名郡南関町では
旧道のはずれにある柿の木から、玉名市ではエノキの
木から馬の首がぶら下がるという。
これを目にした者は熱病を患ってしまうとして、人々
から恐れられていたという。
69さがり オリジナルストーリー
戦国時代の中国地方、毛利家と大内家が覇権を争って
いた。
そして今回の戦、不運も重なり毛利軍は負け戦となり
撤退していた。
今ここに毛利家の若侍 四郎と殿より授かった黒く大
きな馬、松風がしんがりをつとめ追撃隊と戦っていた
四郎も松風も致命傷ではないが矢がいくつも刺さり追
いつめられている。
四郎:
松風よ、俺の部隊も全滅のようだ。
すまない松風、殿より前の戦の褒美としてお前を賜っ
たのにお前に十分な戦ばたらきをさせられなかった。
そうこうしていると大内軍追撃隊が何十人も四郎を囲
んでいよいよ追いつけられた。
四郎:
松風、いよいよ最後のようだ。
生きるだけ精一杯生きたなら、あとは死ぬだけさ。
松風すまない俺と冥土まで付き合ってくれ。
そう言って四郎は松風の首をなでた。
すると松風は一鳴きすると四郎を振り落とし、じっと
四郎を見つめた。
そしていななくと追手の輪の中に飛び込んでいった。
四郎:
松風~!! わかった、俺に生きろって言うんだな!
お前が切り開いてくれた退路決して無駄にはしない!
松風すまない。
そして四郎は追手を振り切り激流の川に飛び込んだ。
翌日、毛利軍に河原で見つけられた四郎は何とか命を
取りとめ城に帰っていった。
半年後、回復した四郎は戦場に出ていた、
しかし今回も毛利軍五百に対し大内軍三千の戦力差で
森の中に追いつめられていた。
四郎:
くそ、我々別動隊の動きを見破られていた。
きっと大内軍の間者が我々の部隊に紛れ込んでいたよ
うだが、今更詮無きこと。
さあここからだ、俺の戦ばたらきを見せてやる。
その時、森の大木の上から何かが落ちてきた、そして
追撃隊長の武将に当たり落馬した。
その落ちてきたものは馬の首だった!馬の首は四郎の
愛馬 松風にそっくりだった。
そして立て続けに馬の首がいくつも、いくつも落ちて
きて追撃隊は大混乱となった。
この機を逃さず四郎は声を上げ敵部隊に飛び込んでい
った。
四郎:
ありがとう松風!
これで立て直せる、力一杯戦ばたらきしてやるぞ。
いつでも逃げれば生きられるというもんじゃない。
突き進んだ方が生き延びられる場合もある。
それを間違いなく選べるのが戦人というものだ!
四郎が振り返ると松風の顔をした馬の頭の化け物は
一度いななくと消えていった。
そして四郎たちが混乱した大内軍と対等に戦っている
と、丘の向こうに五千を超す兵馬が見えた。
そしてそこには毛利軍の旗が立っていた。
四郎:
よしみんなこの戦はもらった!押し返すぞ!!
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