エピソード46 雨降り小僧
46 雨降り小僧
雨降り小僧とは、鳥山石燕の妖怪画集
「今昔画図続百鬼」にある妖怪。
この画集では、中骨を抜いた和傘を頭に被り、提灯を
持った姿で描かれている。
中国の雨の神である「雨師(うし)」に仕える侍童
(じどう)であることが述べられている。
雨師(うし)が貴人の尊称である大人(うし)に、
侍童(じどう)は児童(じどう)に通じることから、
「大人に奉公する子供」との言葉遊びで描かれた妖怪
といった解釈もある。
江戸時代の御伽草子の黄表紙(きびょうし)では、
黄表紙の人気キャラクターである豆腐小僧と同様、
小間使いの役目をする妖怪として登場している。
46 雨降り小僧 オリジナルストーリー
ここはどこかの森の中、子狐は考えていた。
子狐:
もうすぐ姉さまの嫁入りなのだけど、なにかサプライ
ズをし姉さまに喜んでもらいたいよな~。
やっぱり、きつねの嫁入りといったら天気雨だよな~
こうして子狐は山に住んでると長老に教わった雨に師
匠の師と書いて雨師(うし)に雨を降らせるお願いに険
しい山を登り雨師の社にたどり着いた。
子狐:
すいません、すいません、雨師様いらっしゃいません
か?ふもとの森からお願いに参りました。
社はシーンとしている。
すいません、どなたかいませんか?
扉が開き中から柄のない傘をかぶって提灯を持った小
僧が出てきた。
扉の中はとても暗くなぜか雨が降っているようだった
子狐:
すいません、雨師様はおいでではないですか、雨を降
らせて欲しいのです。
小僧:
あ、すいません。お師匠様は今バカンスで沖縄に旅行
中なんです。
あ、しまったお師匠から大事な天気使いの集まりがあ
るって言えって言われてたんだっけ。
子狐:
え、そ、そうですか。
じゃあ小僧さんあなたにお願いします。
僕の姉さまの嫁入りの日に雨を降らせて欲しいのです
お願いできませんか?
小僧:
なんで~。結婚式なら晴れてた方がいいでしょう?
なんでわざわざ雨降らせなきゃいけないですか?
子狐:
僕もよくわからないけど、狐の嫁入りといったら天気
雨なんですよ。
すごい雨師様のお弟子様ならすこしぐらいの小雨を降
らせるくらい簡単でしょう?
小僧:
ま、まあオイラくらいになれば出来ないことはないけ
ど…。
お師匠様のように祈るだけで雨を降らせる腕はないか
ら、空の神様へのささげものが必要です。
子狐:
それはなんですか?僕で用意できるものであれば必ず
用意いたします。教えてください。
小僧:
ささげものは10年生きてる鯉です、鯉は滝を登ると
竜になると言われるように、雨を降らせるには欠かせ
ない生き物なのです。
出来るだけ大きな鯉を用意してください。
子狐はわかりましたと告げると社をあとにした。
そして2日かけて川から10年以上は生きていると思
われる大きな鯉を捕まえて社に戻って来た。
子狐:
小僧様、お約束の通り10年生きている大きな鯉をお
持ちしました。どうか雨を降らせてください。
小僧:
ホントだ!これは本当に大きな鯉だ!おいしそう...
いやいや、きっとあなたの願いは叶えられるであろう
しばらくここで待っていなさい、
オイラは祭壇の準備をするから。
小僧は子狐から鯛をあずかり奥の部屋に下がっていっ
た、最初は師匠である雨師から教わった雨乞いの祭壇
を作ろうと考えていた小僧であったが、どうにもこの
大きな鯉がおいしそうでたまらない、とうとう小僧は
鯉を生のまま頭からかぶりついた!
しばらく子狐は待っていたが、なんの返事もない、
というか何かをペチャペチャ食べている音がする、
子狐そ~っと奥の部屋をのぞいてみると、
さっきの小僧が満足そうに魚の骨をなめている。
子狐:
なんてことを!
僕が2日がかりで捕まえてきた神様のささげものを~
もおゆるさないぞ!! そう言うと子狐は小僧のお尻
に噛みついた!
小僧はビックリしたのとお尻が痛いので大声で泣きだ
した。子狐もビックリして小僧から飛びのいた。
すると急にそれから雨が降り始めた。
こうして、晴れているのに雨が降り無事、子狐の姉の
狐の嫁入りを行うことができたのであった。
めでたしめでたし、......
といいたいところですが、なんと降りだした雨が止ま
らない、3日も4日も降り続いている。
小僧の涙が止まらないからであった。
森の動物たちも里の村人も困りはてていた。
そこへ、沖縄からかりゆしウェアで小麦色に焼けた
雨師が帰ってきた。
雨師は笑顔で泣いている小僧の頭をなでて言った。
雨師:
ただいま
小僧は笑顔になり、雨は止んだ。
空には大きな虹が出ていた、その虹を鯉から変化
した竜が昇っていきました。