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エピソード64 倉ぼっこ
64倉ぼっこ
倉ぼっこ、蔵ぼっこ(くらぼっこ)は、倉の守り神と
して伝えられている妖怪。岩手県遠野地方に伝承され
ている。
子供ほどの背丈、全身毛むくじゃらか、頭髪が体全体
を被うほど長い 姿で描かれることが多い。
危害を加えず、人を助ける。座敷童子に類する妖怪で
あり、倉ぼっこが倉から離れるとその家の運が徐々に
傾くという。
倉の中で糸車やお囃子などの物音を立てることはある
が、姿を現すことは非常に少ないといわれる。
民俗学者・柳田國男の著書「遠野物語拾遺」では
「御蔵ボッコ(おくらボッコ)」の名で述べられてお
り、遠野のある家で、倉に籾殻(もみがら)を撒いてお
くと足跡が残るので存在がわかるとある。
64倉ぼっこ オリジナルストーリー
待男は明日のキャンプのため、自宅の古~い倉に色々
な道具を探しに入っていた。
待男:
いや~この倉は江戸時代の初めから代々受け継いだ
モノがた~くさん入っているからな。
ところで、去年しまったテントやバーベキューセット
どこに置いたかな~。
待男はなかなか見つからず、大きな薄暗い倉の中を奥
へ奥へと進んで行った。
待男:
あれ~どこいっちゃたんだろ~。
倉ぼっこ:
これか?
待男:
あ、ありがとう。
そうこれこれこのテント探してたんだよ。...
って、だれ? わぁ、なんだお前は!?
倉ぼっこ:
オイラは倉ぼっこ。
この倉にもう280年住んでいる。だからこの倉の中
は隅から隅まで全部わかっているよ。
見ると子供くらいの背丈の髪の毛なのか体から生えて
いるのか全身毛だらけのモノが、バーベキューセット
を待男に差し出しているた。
待男:
わぁ!なんだよ妖怪かよ!...でも悪い奴じゃなさそ
うだし、ずっとここにいたこと考えると色々助けても
らえるかもな?
倉ぼっこ:
そうそう、キャンプだろ?それならコレコレ、ガズバ
ーナーにナイフ、そうそうチェーンソーなんてのもあ
るよ。
待男:
チェーンソーなんてアメリカのホラー映画じゃないん
だから、なになに、もっと物騒なものもあるんじゃな
いの?例えばライフル銃とか?ハハハハハ
倉ぼっこ:
さすがにライフル銃はないな~。
江戸時代の火縄銃なら5丁ほどあるけどね。
待男:
あるんかい!
これじゃ呪われた日本刀とか甲冑とかありそうだな。
それに国宝級の壷とか?
倉ぼっこ:
あぁ~呪いの刀は、明治のころオイラが上手く売っぱ
らったから無いな...。
高い壷や皿は無いが、一等に当選してる宝くじならあ
ったな~。
待男:
え~~ほんとか!3億、1億、いやいや昔だからそん
なに高額じゃないか、でも5千万とかなら!
倉ぼっこ:
え~と、間違いなく当選はしてるけど、...
昭和の頃だから期限切れしてるな~。
そうそう、もっと面白いものあるよ、この箱。
この箱、今でいうタイムマシーンなんだ。
使ってみる?どの時代がいい?
待男:
え~~噓だ~。
もし本当なら試しにどの時代でもいいから行ってみて
よ。
そう言うと待男ははこの箱の中に入った。
倉ぼっこ:
信じないんだな~。
よ~しじゃあ一番オイラの知ってる激動の時代に行っ
てやる。
いいか、ヒアウィ~ゴ~!
倉ぼっこ:
いいか、ここは江戸時代末期というかいわゆる幕末っ
てやつだ。
もうすぐここに一人の男が駆け込んでくる!
見ていろ~......。
倉ぼっこが言ったように若い侍が飛び込んできた。
侍:
すまん、ちっくとかくまってくれんか?
と言うと男は蔵の中に隠れた。
続いて「誠」の字が書いてある羽織を着た男たちがな
だれ込んできた。
新選組:
おい、お前ここに頭もじゃもじゃの土佐の侍が来なか
ったか?なんだお前不思議な格好をしているな。
どうなんだ、来なかったのか?
そう言って倉の中を調べ始めた。ばんばん刀の鞘や大
木槌で倉の中のモノをたたいている。
新選組:
隠していると為にならんぞ!
ん~どうやらここにはいないようだ、いくぞ。
そう言うと待男が入ってきた箱を大木槌でたたき割っ
て出て行った。
侍:
すまん、助かったぜよ。あちゃ~壊れてしもうたな。
ほんにすまんかったぜよ。
ワシは坂本言うきに、次あった時には必ず礼をするき
待っちょってくれ~の。
そう言うと侍は走って出て行った。
倉ぼっこ:
どうだ凄いだろう?坂本龍馬に新選組だぞ!
...ん、おい、お前!
待男は箱が壊れもう現代に帰れなくなったと思った
ショックで気絶して倒れてしまった。
倉ぼっこ:
あちゃ~倒れてしまった。悪いことしたな...
実はタイムマシーンはこの壊れた箱じゃなくて、本当
はこの倉自体なんだ。
まあいい、現代に戻ろう。
夕方、待男は倉の中で目を覚ました。
全部夢だったのか?と思って倉の中を見回すと、
壊れた大きな箱の横に「誠」と書いてあるハチマキが
落ちていた。