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エピソード17 釣瓶火
7 釣瓶火(つるべび)
その名を命名したのはは鳥山石燕の
『画図百鬼夜行』と言われる。
画図には解説文は一切添えられていないが、
「西岡の釣瓶おろし」と題して描かれた京都西院の
火の玉の妖怪が元ネタとされている。
四国・九州地方では
木の精霊が青白い火の玉となってぶらさがったもの
または
静かな夜の山道を歩いていると木の枝から
突然ぶら下がり、毬のように上下に動く所作
を繰り返すものとされる。
火といっても木に燃え移ったりはせず、
火の中に人や獣の顔が浮かび上がる事もある。
妖怪が発する火の特徴の一つで、こうした火を
「陰火(いんか)」と言う。
樹木についた菌類や腐葉土のバクテリアによる
生物発光が正体、と言う説もあります。
17 釣瓶火
男は山道を急いでいた。
男:
なんとか明日迄に隣りの藩の城に、
我が殿から託されたこの手紙を届けなければ、
わが同胞達は無実の罪で処罰されてしまう。
急がなければ!
しかし今夜は月もない、
近道の峠の道は獣道で真っ暗やみ、
剣の腕は藩の中でも指折りの男であったが
さすがにこの闇が恐ろしくなってきた。
と、そこへ高い木の枝から何やら
燃える火の玉のようなものが落ちてきた。
男はビックリして後ずさりし尻もちをついた。
落ちてきたものは青白く燃え上がっており、
炎の真ん中には人の顔のようなものが
浮かび上がった。
男:
なんだお前は、バ、バケモノか?
釣瓶火:
フフフフ、
ワシはお前達人間から釣瓶火と呼ばれるものだ。
どうだ怖いだろう、、、フフフフ
男:
まさに妖怪おのれ~、、、
まてよ、お前のおかげで夜道が明るくなったぞ。
お前役に立つな。
その瞬間釣瓶火は消えた、
男はまた怖くなってきた。
するとまた釣瓶火が現れた。
釣瓶火:
おい、たのむよ、急に消さんでくれよ。
ワシは人間の恐怖心が糧なのじゃ。
まあ確かになれるてしまうと消えてしまうのは
矛盾があるが、
そうそう、おぬし矛盾という言葉の語源を
知っておるか? 矛盾っていうのはな、
昔中国で鉾と盾を売って...
男:
あ、消えた。
あ、また出た。
釣瓶火:
たのむでしかし~
道を照らして欲しければ怖がれよ!
もういいワシはもう行く、やってられるか!
男:
ちょ待てよ!
この先はつり橋になっているお前がいないと
渡れる気がしない。たのむ一緒に来てくれ。
釣瓶火:
なんか調子よく使われるな、
それに恐怖といってもワシじゃなく
つり橋の怖さかよ、、、
まあいい、ついて行ってやる。
こうして二人は夜の、長い、細い、揺れる
つり橋をゆっくりと渡っていった。
しかしもうすぐ橋を渡り終わるという時に
ホットしてしまい釣瓶火が消えてしまった。
男は足を踏み外し川に落ちていった。
幸い思ったほどの高さもなかったため
男は気絶しただけでケガもしなかった。
だが翌日の日も真上に上るころ
気を取り戻した男は
男:
しまったもうこんな時刻か、
急いで城まで走らねば!
男が城にたどり着いたとき時、
男の同胞達は処刑され河原にさらされていた。
男:
なんてことだ、俺が遅かったばっかりに
、、、すまぬ、、、
こうなっては俺もお前達のお供をし
一緒に三途の川を渡るぞ。
釣瓶火:
おいおい、まてまて、
お前が心配になって来てみれば、
ひどいことになってるな、
しかし心配するなワシの炎は復活の炎、
こいつらを生き還らせてやろう。
男:
本当か?そんなことが出来るなら
お願いだ生き返らせてくれ、たのむ!
釣瓶火の青い炎が同胞達の遺体を囲み
燃え上がった。
すると死んだはずの同胞達が立ち上がった!
男:
ありがとう釣瓶火なんと礼を言ったらよいか
、、、ん、まてよ、、様子がおかしいぞ
、、、あいつ槍刺さってるし、
あいつは取れた首抱えてら、
それに変な唸り声あげてる~
助けてくれ~ 俺はまだ死にたくない、
来るな~
釣瓶火:
やれやれ、何事も元通りとはいかんものだな~