【ゆうあいC 入居団体インタビュー⑩】『パラクレー射撃部会』
ゆうあいセンター貸事務所へ新規入居いただいた団体の使命や活動目的をインタビュー形式で紹介します。
今回は、令和6年5月に入居いただいた「パラクレー射撃部会」会長の石原さんにお話を伺いました。
ゆうあいくん:石原さん、こんにちは。はじめに、【パラクレー射撃】(注1)部会について教えてください。
(注1)【パラクレー射撃とは】
両上下肢の欠損や肢体の不自由な身体の障がいのある方たちが行うパラクレー射撃競技。
一般的に「身体障がい者向けのスポーツ」というと、健常者向けのスポーツを身体障がい者向けにルールが改変されることが多いですが、パラクレー射撃競技の本質的なルールは健常者向けの競技ルールと変わりません。違いがある点は、障害の部位に応じた「障がいクラス分け認定」と「各障がいクラスに適応した補助具の規定」だけであり、クレーが放出されるスピードや採点方法といった基本的な競技ルールは変わりません。ISSF(国際射撃連盟)
石原さん:ゆうあいくん、こんにちは。
パラクレー射撃部会は、障がい者のスポーツ射撃を振興する各種事業を行うことやパラクレー選手の育成活動を通じて、障がい者の機能回復と健康の増進を図るとともに、障がい者の社会的自立と社会参加を促進し、障がい者・健常者との共生社会の実現を目的としています。
具体的な活動の内容は、
*国際大会派遣選手の強化事業及び技術の向上及び派遣選考会
*インクルーシブ共生大会の開催
*インティグリー・コンプライアンス・ドーピング等の講習会開催
*国内外のクラス分け基準及び認定ついて調査・研究
*障がい者の銃所持にあたり、射撃教習、または許可証更新時の技能講習の場所・教官のがい害に対する理解・認知ついてベクトルを合わせる活動
など、現在25名の会員で活動しています。
ゆうあいくん:世界選手権大会など国際大会に派遣する選手の育成・強化や技術の向上にも努められているのですね。次に、石原さんが活動を始めたきっかけを教えてください。
石原さん:今から6、7年前「化膿性脊椎炎」にかかり、約2年間休職しました。
リハビリをしながら、やってみたいパラスポーツ競技を考えていた時、「乗馬」と「クレー射撃」をピックアップしました。元々クレー射撃は、趣味程度に月1回ほど練習に行っており、岡山を拠点にしたパラクレー射撃クラブを立ち上げたいと思ったちょうどその頃、島根県で活動する「パラクレー射撃部会」の代表の方が岡山県に練習会で来られると聞き、会う約束をしたのがきっかけです。
パラクレー射撃部会は、それから2022年に特定非営利活動法人 日本障害者スポーツ射撃連盟の1次加盟団体として正式加盟しました。
そして、(公社)日本クレー射撃協会加盟部会 (特非)日本パラ射撃連盟パラクレー射撃部会(本部:岡山県)となり、(公社)日本クレー射撃協会公認大会の開催も承諾いただきました。
2023年4月からは、当部会の会長として現在活動しています。
ゆうあいくん:現在、パラクレー射撃部会の会長として活動されているとのことですが、部会での取組みや活動内容について、もう少し聞かせてください。
石原さん:当部会はパラクレー射撃の国内統括団体であるため、猟銃等射撃許可証の取得にあたっての実技試験(技能講習及び射撃教習)については、障がい者が受験できる体制は現在神奈川県(伊勢原射撃場)・島根県(島根大東クレー射撃場)だけであり、現在、岡山県クレー射撃場で岡山県でも実技試験(障がい者に対して)が出来るよう準備中です。
また、岡山県内において、スポーツ射撃・パラクレー射撃を応援・認知していただくべく、そのロールモデルとして「倉敷市射撃協会」を開設しました。
実際のクレー射撃は、20歳以上にしか許可されないため、スポーツ競技として始めるには、年齢的に大変遅いスタートとなります。そこで、この改善を目的に「クレーシミュレーター」(用具補助:(公財)橋本財団)と言う画期的な用具を支援いただき、次世代選手の発掘事業・育成事業を開始しました。
「岡山県からスポーツ射撃競技で世界に」との思いから、今年10月の「倉敷市市民スポーツフェスタ」では、競技団体として全国初の試みとなるクレーシミュレーターを使ってのクレー射撃体験が大好評で、約380名の方々に「クレー射撃の醍醐味」を体感していただきました。
今後は、「ゆうあいセンター」、「まびいきいきセンター」、「倉敷健康福祉プラザ」、「倉敷運動公園会議室」等、公共施設での体験会を予定しています。
また、出張体験会・講習会など、「学校インクルーシブ体験事業」、「体育祭」、「障害者施設」、「スポーツフェスタ」、「企業の福利厚生」、「大学の文化際」等にお呼びいただければと思い、ホームページの開設も進めているところです。
ゆうあいくん:子どもたちにも楽しく、安心してクレー射撃の醍醐味を感じてもらいたいですね。最後に今後にむけての展望をお願いします。
石原さん:U-SPORT PROJECT(注2)コンソーシアムへの参画を予定しています。
参画することで、ロゴマークが使用でき、社会的信用が得られるとともに、スポーツ庁からの支援や情報提供もいただけるようになるので、今後ますます、クレーシミュレーターを使っての次世代選手の発掘と育成に尽力していきたいと思います。
また、岡山県障がい者スポーツ協会及び、倉敷市スポーツ振興協会とパラクレー射撃部会(共催)、倉敷市射撃協会との連携で岡山からオリパラ競技に選手を派遣できたら嬉しいです。
(注2)【U-SPORT PROJECTとは】
「障がいのある方とない方が、ともにスポーツを楽しむ機会を創出し、障がいのある方が生涯にわたってスポーツを実施するための基盤を整備する」
「U-SPORT PROJECT」とは、スポーツ庁が実施するパラスポーツを推進するプロジェクトです。
障がいのある方とない方が、ともにスポーツを楽しめる。そんな新しい世界への扉を開く様を、扉や本のように開く「U」の字をモチーフに表現しました。
SDGsの3番目のゴール目標「すべての人に健康と福祉を」のグリーンと、17番目のゴール目標「パートナーシップで目標を達成しよう」のネイビーを使用し、障がい者スポーツによって得られる健やかさや、それを支える人々のパートナーシップを表しています。
石原さん:U-SPORT PROJECT コンソーシアムを通じて連携を形にしたく思います。
我々パラクレー射撃部会にはスポンサーがまだいません。団体の運営資金・用具支援・国際大会への遠征費用・国内外の合宿費、またスタッフ等の人的支援等もご協力・ご支援をいただきたく、今回の発信といたしました。
ゆうあいくん:広く、パラクレー射撃が認知され、多くの方に関心を持っていただけるといいですね。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
【お問い合わせ先】
パラクレー射撃部会
住所:〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 きらめきプラザ2階
ゆうあいセンター内【事務所№10】(JR岡山駅から徒歩約12分)
メール:yoi723@ac.auone-net.jp (石原 義弘)
URL:https://jpssf-clay.mystrikingly.com/
《取材・編集協力、写真提供》
パラクレー射撃部会 [インタビュイー:会長 石原 義弘 氏]
《インタビュアー・テキスト》
岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(ゆうあいセンター)