見出し画像

生鮮食品を超えた!?解凍寿司の秘密とは?

 私は、12年間、魚や野菜を使った冷凍食品の開発や品質管理に携わってきました。現在は駅弁や果実など幅広いカテゴリーの開発も手がけていますが、新しく冷凍事業に挑戦する企業様からよく耳にするのが次のような言葉です。

「冷凍食品は便利だけど、味では生鮮食品に劣る」
「冷凍はおいしくない」

 たしかに、冷凍技術が進化し、解凍方法も研究され続けているとはいえ、素材によって冷凍との相性があるのも事実です。しかし、それを克服しようと挑戦する企業も数多く存在します。


◎特許技術で解凍する寿司の秘密

 知的財産活用支援コーディネーターとして活動しているなかで、特許庁の広報で面白いものを見つけました。

注目のあの話題を徹底解説!知財TOPICS:特許新製法の容器で、握りたてのような味を再現した冷凍寿司 特許庁 広報誌「とっきょ」2024年12月17日発行号 | 経済産業省 特許庁

経済産業省 特許庁HPより

 この冷凍寿司のポイントは、特許取得済みの専用容器です。容器の上段には寿司、下段には解凍時に水を入れる仕組みが施されています。電子レンジのマイクロ波を下段の水に集中させることで、シャリとネタが適温で解凍され、寿司屋で握りたてのような味わいが再現できるのです。

 解凍プロセスに関する詳細は、特許庁の広報誌「とっきょ」にも掲載されており、その技術力に期待が高まります。

 今回は『冷食×知財』の観点から、特許技術を活用した冷凍寿司「解凍鮨 “シャリは人肌”」を実際に食べてみたのでご紹介したいと思います。
 購入先は、豊洲市場のマグロ仲卸「鈴富」を母体とする株式会社B&Tマリンプロダクツカンパニー。同時に、生鮮の味と比較するため、鈴富 大丸東京店で購入したマグロ丼も用意し、食べ比べをしてみました。


 オンラインで注文して、発泡スチロールへしっかり梱包された状態でとどきました。ドライアイスも封入されており、コールドチェーンが発達した今でも、少しの温度変化を避け、美味しいものを届けたいという思いを感じました。開けてどういうものかさらに楽しみが膨らみます。

◎パッケージや同封されているものがどういう状態か

黒い紙パッケージに「つきじ鈴富」の文字が高級感を演出
発泡性梱包材でしっかりとつつまれています。
ベールを剝がすと「解凍鮨 “シャリは人肌”」の文字が
裏面には一括表示
お寿司自体は脱気でしっかり包装されています
お寿司が載っているトレーにお水を入れるトレーでおおわれている状態でした
説明書やパンフレット付きで調理方法も明確
凍結されたお寿司の状態(マグロ側から)
凍結されたお寿司の状態(ウニ側から)

 霜付もなく冷凍状態は文句なしといえると思います。ますます楽しみになってきました。


◎いざ説明書に従い調理開始!

容器へお水を指定の線まで入れます
水を入れたトレーにお寿司を重ねて電子レンジへ
調理条件は500W×2分30秒
※機種による違いも説明書に記載されている丁寧さ
500W×2分30秒後
シャリは少し温まり、ネタは絶妙に解凍されています
水を入れたトレーはどうなっているかというと、湯気が立ち上がるほどの状態
理論通り、電子レンジのマイクロ波は水に集中していることがわかります
ネタの表面がウェットな状態になっていますが、
全部がそうではなく、一部が解凍している様子に見えます。
さらにネタからのドリップがまったくない!
ネタによっては解凍スピードに差があるようです
この絶妙な解凍状態が美味しさのポイントなんでしょう

 電子レンジ調理後は室温で10~15分おきます。私の部屋は北国ということで15℃程度でしたので少し長めに20分ほどおいてみました。


◎いざ実食!!

 まず、解凍寿司を一口。シャリの食感はふんわりとしつつ、冷凍食品とは思えないほど粒立ちが良い。そして、ネタは新鮮で、特にマグロはほどよい脂が乗りつつも後味がさっぱりしていました。ネタ自体からもドリップがまったくないことも大きなポイント!

冷凍→解凍の変化をしたものと思えない見た目

さて、忘れてはならないのは比較対象となるマグロ丼。

鈴富 大丸東京店に12時頃購入したマグロ丼
とてもおいしそう、、、

 こちらも美味しい! のですが、シャリの温度やネタの一体感で冷凍寿司に一歩譲る印象を受けました。
 これは、マグロ丼は作られてから私が購入するまでの間、冷蔵温度下で保管されていたこと、そこからさらに新幹線で3時間の移動を経たのち喫食されたタイミングも関係してきます。さらに、冷凍寿司は人肌まで電子レンジ調理で暖められたこともあり関係します。
 純粋な比較ではないじゃないかといわれるかもしれません。しかし、このような条件の違いはあれど、この冷凍寿司は、「これは冷凍から解凍されたお寿司だよ」と言われないとわからないほどで、比べるとどちらがどちらの状態かわからないほど、どちらも美味しいものでした。


◎食べてみての考察

 さて、冷凍寿司が生鮮食品を超えた理由は何でしょうか?
 鍵となるのは、特許技術を活用した解凍トレー。このトレーは、シャリとネタが最適な温度で解凍されるよう設計されています。そのため、解凍後もネタが新鮮さを保ち、シャリはふっくらしたまま提供されます。

 また、同封されたパンフレットに記載されている情報によると、冷凍までのプロセス、そして冷凍技術、この2つの掛け算でよりよい状態で冷凍されていることがわかりました。
 特許技術で設計された解凍容器と冷凍技術の掛け算で、品質劣化を最小限に抑えています。これにより、解凍後も「握りたて」に近い状態が楽しめるのです。


◎結論

 冷凍食品のイメージを覆す驚きの体験でした。「冷凍だから…」と敬遠せず、一度試してみると、きっとその美味しさに驚かれることでしょう。

 気になる方はぜひ、こちらのリンクからチェックしてみてください!


☀最後まで読んでいただき、ありがとうございます!☀
冷凍生活アドバイザー、食品冷凍技士、商品開発コンサルタントとしてこれから情報発信してまいります。


いいなと思ったら応援しよう!