魔の11分
「魔の11分」という言葉があります。これは、飛行機の墜落事故が起こりやすいと言われている離着陸時の時間を指します。飛行機事故の69.8%がこの時間内に起こるためです。
パイロットは、安定した航行中に存在しない危険要素に対する注意や、複雑な操作技術を駆使します。その他、管制官やレーダーからの情報、訓練や過去の事故履歴、新しい技術の活用など、様々な側面から航空機事故は改善されてきました。
この時必要なのは、普段は感じられない情報を外から得る必要があります。
飛行機に限らず、自分の感覚から得た情報だけで把握することには限界があります。
外からの視点で、「今自分はどの位置にいるのか?」「目標からどのくらい離れているのか?」「これから予測されるリスクは何か?」「最適な方法を選択できているのか?」といった、客観的な視点を加えることで、ゴールへの軌道を修正していくことができます。
このために、「フィードバック」が必要となります。
◎ありのままを伝える
「フィードバック」は、電気工学の用語です。私は大学の講義で初めて出会った言葉ですが、とてもシンプルな仕組みですが感動した記憶があります。軍事用語としても使われています。
共通しているポイントは、評価やアドバイス、忠告や批判と異なり「事実をありのまま伝える」ことです。
これをコミュニケーションに置き換えると、相手から伝わってくること、聞こえていることなど客観的事実を、そのまま伝えることです。
◎落とし穴
あるプレゼンテーションを実施したあとのことです。他部署の役職者からプレゼンテーションについてフィードバックをいただきました。
この時初めて「はっ!」としました。今でもその場面を鮮明に覚え、自分が発言するときはいつも気を付けています。
これは先に述べたように事実だけを伝えています。また、私はこれを否定とも取らず肯定的に受け取りました。
もし、このフィードバックに対して僕が違う理解をしたり、その方への信頼関係が無かった場合どうなっていたでしょうか。
フィードバックは、「事実の指摘」=「否定」と受け取りやすい傾向があります。
もし、「腕を組んでいますね」と言われるとどうでしょうか?人によっては「すみません」と謝るか、何も言わず腕を解くか行動が分かれるかと思います。
もし、この内容がネガティブであれば、言った側にその意思がなかったとしても、言われた側にとっては否定されたという感覚が強くなるかもしれません。
この否定されたと捉えられる可能性が十分あることを理解しておく必要があります。
◎経験と基準
フィードバックを適切に行うためには、お互いの認識している基準が共通認識としてあるのか、また、何より自分自身がフィードバックを受けているかです。
プロのコーチはフィードバックを求めます。それは会話の途中でも、最低でも3か月に1回フィードバックをもらい、それを基にコーチングを組みなおします。
この時必要となるのが、基準になります。「何が機能していて」「何が機能していないのか」を発見するためです。
これを通して、結果がどうであれ、関係は近くなっていくことがほとんどです。
※過去基準についても書きましたので紹介します。