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144.(88/365) 那智の滝。
春休みの最後に和歌山旅行に行った。
前に一度、白浜を目指して車で旅行に来たことがあったが、あまりの渋滞に心が折れて、楽しむ前に帰ってしまったちょっとしたトラウマがあるのが、和歌山だった。
今回は、そのトラウマがすっきり消えるぐらいに、良い旅だった。
色々ハイライトはあるのだけれど、中でも忘れられなかったのが、那智の滝に行ったことだった。
那智の滝には、大学生の時にサークルの合宿で近くに泊まったことがあった。
翌朝、二日酔いの頭でふらつきながらほんの少しの間だけ遠くから見た那智の滝は、10年以上経った今でも鮮明に覚えているぐらいのインパクトがあった。
今回、その時以来ぶりに那智の滝を目指した。
前日泊まったお宿からは、車で1時間ぐらいだった。
ずっと海沿いを走っていたが、那智の滝に近づいたあたりから急にぐんぐん坂道を上り、深い山々に周りを囲まれた。
ヘアピンカーブの道を進み続けること15分、那智の滝横の駐車場に到着。
駐車料金を払って、那智の地に立った。
標高もあるだろうが、きっと滝からの風によって、あたりにはひやっとした冷気が漂っていた。
そして、熊野那智大社の入り口である鳥居の前に立って圧倒された。
木、でかい…。
吉野でもいつも感じるが、自然の大きさの前に立つと、自分の小ささが本当に実感を持って迫ってくる。
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木々はどれもゆうに30mを超えて聳え立っていた。
参道の両脇にある岩や石垣には、苔が繁茂し、それが周りの音を吸収しているのか、静けさが異空間を感じさせた。
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老いてなお、木の根には、強い生命力を感じる。
植物として動けないことのデメリットなどないかのように、縦横無尽に根を伸ばすその姿は、現状に不満を漏らす人間には眩しすぎるのかもしれない。
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石段は、ぼくの歩幅とは微妙に違う。
自分のいつものペースではスッスと進めない。
でもそれがかえって、自分の普段の歩くペースに気づくきっかけになった。
ああ、ぼくは普段こんな急いで歩いているんだなあ、と。
ゆっくり歩くだけで、時間の流れ方もグッと変わる。
そのことが、心地よかった。
「今、ここ」に集中せざるを得ない強制的な歩幅。
1番下まで辿り着いて振り返ると、また圧倒された。
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熊野の山の奥深くに隠された聖地。
知識ではなく、感覚として自分の体がそう感じていた。
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圧倒的だった。
この滝を目の当たりにした感覚を表す言葉がない。
ただただ言葉を失う。
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普段、自分が歩くと、それに合わせて自分の身の回りの近景はその姿を変える。
けれど、目の前にあるはずのこの滝は、近づいてもそのあまりの大きさゆえ、姿が変わらない。
そのことが、自分の認知に錯覚を起こす。
近づいても変わらないその姿を見ていると目眩を起こしそうになる。
それが新鮮で、何度も近づいては離れ、離れては近づいてを繰り返した。
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参拝を終えてから、もう少し坂を上って、遠くからも那智の滝を見た。
あれだけ大きいと感じた那智の滝は、さらに大きな熊野の山々の中にポツンと佇んで、でも変わらず、その圧倒的な水量で下へと流れ落ち続けていた。
吉野に続き、那智という圧倒される場所を見つけた。