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146.(90/365) はじまり。

新年度が始まった。
少し早めに職員室に到着すると、人影はまばらながらも、もうすでに出勤している先生がチラホラ。
人数は少ないけれど、どこかしら気合が入っているような、やる気と不安が入り混じったような雰囲気。
もしかしたら、それはぼく自身の心のうちを他者に反映しているだけかもしれないけれど。
徐々に先生たちが出勤してきて、活気に満ちていく職員室。
まだ学期中の慌ただしさはなく、ゆったりしていて、でもどこかそわそわもしている。
そんな雰囲気の中で、自分の席に座って初日の流れを確認していた。
いよいよ今年も始まるんだなあと思う。
担当学年は、年度末に聞いていた。
少しは心の準備は整えられただろうか。
朝の打ち合わせが始まる。
担当学年や持ちコマ数が発表される。
今年度ともに働くメンバーと顔合わせをする。
この時点から「タスク」は山のようにあった。
本当に山のようにあるかはさておき、メンバーの「山のようにある」という認識だけは共有されていたように思う。
これは、きっとどこの学年でも同じなんだろう。
早速、その「タスク」に取り掛かる他学年の姿がチラホラ目に入ってくる。
「より速く」「よりたくさん」「より効率よく」
それは、この多忙な仕事において、とても大事なことだ。
誰もが余白を生むために、「より」「もっと」と忙しなく初日から動き回る。
できた余白で、さらに次の余白を生むために、「より速く」「よりたくさん」「より効率よく」は加速していく。
余白を生むことは、その先の目的のための手段であることを忘れないようにしたい。
学年がその流れを加速させすぎて、コントロールできないときは、意図的に心と体のペースダウンをできるように声をかけあおうと思った。
ああ、今年も始まったなと思う。
そして、この「速さ」と「多さ」と「効率」の波に飲み込まれることなく、自分を保ちながら、腰を据えて日々を楽しんでいくために、どうしていこうかと頭の片隅で考える。
学年で集まった最初、「お互いのこと、知るところから始めませんか?」と提案して、1時間半ほどおしゃべりをした。
どうして先生になったのか、先生になってから印象に残っているエピソード、子どもの頃はどんな子だったのか、何が自分の強みか、チームに望むことは何か…。
色々と話して、少しだけれど、ほんの少しだけれど、それぞれの人となりが見えてきた。
当たり前だけれど、一人一人にこれまでの人生があり、そこでの経験から学んできたことがあり、哲学があった。
どれもが正解で、尊いことだなと思った。
この人たちと1年間やっていく中で、余裕がなくなる時もあるかもしれないけれど、いつもリスペクトを忘れないでいようと思った。
言うは易し、行うは難し。
けれど、大事にしたいと思ったし、大事にできる自分であり続けたいと思った。

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