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島崎藤村「夜明け前」
歴史好きな方や、時代の流れに敏感な方にとって、島崎藤村の「夜明け前」は一度は読んでおきたい名作です。この作品は、馬籠宿を舞台に、幕末から明治維新という激動の時代を描いています。江戸と京都の間に位置するこの宿場町は、まさに時勢を冷静に観察できる「中立の地」。その地理的特性が、江戸の幕府側と京都の新政府側、それぞれの事情を俯瞰するのにぴったりなのです。
私自身、この作品を読むまでは、幕末維新の出来事を点で捉えていました。しかし、「夜明け前」を読むことで、それが一本の線で繋がり、時代の流れがより立体的に見えてきました。特に、主人公半蔵の心の葛藤には共感する場面が多く、まるで自分が幕末の時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
真面目で考えすぎる性格の半蔵が、早すぎる時代の移り変わりに精神を病んでしまう姿は、情報過多な現代に生きる私たちに通じるものがあるのではないでしょうか?情報があふれる今だからこそ、彼の生き方に学ぶことが多いと感じました。
私の住んでいる愛知県は、馬籠宿など東濃地方へのアクセスが良いので、今度は中山道をバイクで巡るツーリングを計画したいと思います。歴史の舞台を実際に歩くことで、作品の世界がより深く理解できそうです。そして、次に読むべき藤村の作品として「破戒」もリストに追加しました。今から楽しみです。
読書の秋、皆さんも歴史の旅へ出かけてみませんか?