声が、枯れる。
喉が焼けるようだった。
吐き出した血は、熱く、ジワジワと僕の身体を焦がしていく。
出ない言葉が、空を切って、どこかへ消えていく。
助けて、助けてくれ。苦しい、僕は苦しいんだ。
苦しいんだ。
言葉なんてものは空虚だ。
意味なんてない。
言葉を巧みに扱うことに意義などない。
正しいように見せかけて、本心なんて形作ってはくれないし、
本当に肝心な本心は、言い表してはくれないんだから。
僕は、
僕は虚しくて仕様がなかった。
僕なんてここにはいないし、世界なんてここにはない。
言い表せない感情なんて存在しないことになるし、感情の存在しない僕も、存在しないものになる。
脳天を打たれたように、ガツンと衝撃が走って、僕の脳内はホワイトアウトする。
もがいてももがいても、掴むことができない。
いやだ、いやなんだよ助けてくれ。
吐き出した吐瀉物は、僕の憎悪を全て洗い流してくれたような赤だった。
生きていきたいだけなのに。
ただ、幸福に。
辛い思いなんてしたくないし、苦しいことなんかしたくない。
前だけ向いていたいし、涙なんて流したくない。
苦しさとの向き合い方を知りたかった。
苦しさをやり過ごす術が欲しかった。
多少おしゃべり過ぎる僕は、本当の心を言うには口下手で、人生があまりにも下手すぎる。
生きるのに上手いも下手もあってたまるか。
気がついたら生まれ落ちて、生きることを強いられたんだ。
下手なんて、あってたまるか。
生きるんだ、僕は。生きるんだよ。
下手だろうがなんだろうがどうだっていい。
生きてやるんだ。
苦しみからの解放、怒りの鼓動。
から回る舌は、僕の口内を乾かして
へばりついた喉が、言葉を塞き止め、呼吸を止める。
僕は生きるんだ。
必ず。
生きてやるんだ。
2025.1.19
伊波 悠希