泡沫の君へ
君の夢を見ました。
君が優しくほほ笑みかける夢。
優しく僕の手を取って、温かい手つきで抱き寄せる夢。
君は、僕が見た中で僕にしか向けなかったあの優しい眼差しで、甘い声で、僕の視線に応えて、僕の手を引いてくれました。
たったそれだけ。
覚えているのはたったそれだけ。
だけれどぼくはそれだけで、魂が救われたようにうれしかったのです。
だいすきで、だいすきで、仕方がなかった君に、また見てもらえたと思って、この世界で一番の幸せ者になっていたのです。
だけどそれは夢でした。
残酷な夢でした。
目を閉じている間は、あんなにも幸せだったのに、起きたら絶望の景色でした。
涙すら、出ませんでした。
ぼくは君に何を望むのだろう。
何も望んだつもりはなかった。
ハグもキスも、特別な接触も、何も求めたつもりはなかった。
ただ君とまた、笑い合える関係になりたい。
それだけだった。
その夢を見てから、ぼくは様子がおかしいのです。
毎日、何かに取り憑かれたように酒を飲み、家に帰ることを拒んでしまう。
人の温もりに依存して、孤独を恐れている。
心の中に君からの愛情を感じていないと、立っていられなくなってしまった。
君の温かさは、心に沁みる。
会いたいよ。
ただ、会いたい。
暖かな君に会いたい。
傷付けられたって良かったんだ。
君にだったら、傷つけられたって、それでもどうしようもなく、好きだったんだ。
それって、あいしてるってことでは、ないのか。
なんでこうなってしまったのだろうか。
考えたって、意味もない。
それは、彼にしか、分からない。
ただ僕は、どうにかしたい。
君と気まずいままなのは、僕にとっての不幸だから。
愛しているよ、ぼくは、僕なりに。
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