『浪漫飛行』

久しぶりにお花のおけいこに行った。いつもTシャツで出てきてくれる優しい男性の先生。
無数の観葉植物に囲まれたテーブルでは、昼間の喫茶のお客さんが引いていき、月に一度だけ夕方からお花の教室をしている。かれこれもう2年くらいは通っている。普段使わない脳を使うのは楽しい。別の生き物と対峙するのも楽しい。

いつも一緒に行く友人が休むので、独りでもよかったけど、別の友人を誘ったら来るというので二人で行った。

一時間ほどのレッスンを終え、活けたお花を新聞紙に包んで持って帰る。

友人と「久々にごはんでも行く?」となり、近くの居酒屋に入る。遅めの時間だったので店内は空いていた。個室に通されたし、僕らは気の許せる話を思う存分した。

店を出た頃はもう23時近く。人気もまばらな御池大橋を渡り、東山へ帰ろうと歩き出した。

橋の中腹に差し掛かった時、突然川向こうから全速力で走ってくる自転車走者の、鴨川に響く程の大声が聞こえた。

一瞬の歌声。

『‥とつだけで浪漫飛行へin the…sky!!』

もっと聞きたかった…歌のうまいへたでなく、もっと聞かせて!その自信満々の歌を!

振り返った瞬間は既に時遅し。
彼のふさふさの毛量が夜の洛中へ馴染んでいってしまった。

僕は驚きの直後、呟いた。

「いいなあ。ああなりたい。」

横にいる友人が即答した。

「大丈夫!もうなってるよ!」

そうか!既にトランクに夢詰め込んで人生を歩みだしている!ありがとう、語り明かしたmy friend.
この目が曇るその前に、これからも飛び回るよ。胸というトランクに、夢詰め込んで。
wow wow wow...

気付いたら離陸していた。
ここは離陸していた。

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吉本悠佑のイツスモ~it'sasmallworld~
クスっと笑えたら100円!(笑)そんなおみくじみたいな言霊を発信していけたらと思っています。サポートいつでもお待ちしております。