築50年の家神様
長らく東京都世田谷区というハイソな街のボロ家に住んでいた。
引越したいとは思ってはいたけど、
なんせ始発で家を出て終電で帰宅の日々。
眠るだけの家にお金をかけたくない。
隣に住む学生が入れ替わり立ち替わりしていっても、
角部屋の居心地の良さもあり、
10年以上もその家に住み着いていた。
だけど2年半前、ようやく思い切って、
ハイソな街のボロ家から
ハイソな街の一般的な家に引っ越した。
予算を上げて探した家は理想的だった。
ああ、やっとここまで来たか、
そんな感傷を抱くほどに。
ところが、である。
引越して数日、家の前で自転車にハネられた。
こちらは左側通行を守っていたのに、
右側通行の自転車が襲いかかってきたのだ!
思い切りよく跳ね上がった結果、
重量に従うがまま地面に叩きつけられ、
息もできずにいた私に、
相手のおばさんは「仕事があるのに」と不満そうに見下ろしてくる始末。
腹が立って警察に行き...(以下、略)。
という出来事から始まり、
この家は悲運をたくさん連れてきた。
周りのスーパーは高いし、保証金取られるし、
引越なんてしなきゃ良かった!
そんな後悔も一度や二度ではないが、
この家は引き篭もる分には快適だった。
なので、コロナ禍のステイホーム中だけは
引越を肯定できた。
しかし、長居は禁物。
とにもかくにも私には運気が悪すぎる。
オマケに家賃も高い。
なので2年後、待ちにまった更新、今年の4月、
当然の如く、引っ越しをした。
しかも、
来たるサバティカル生活に備え、
15年近く住んだハイソな街からもオサラバし、家賃を下げ、
多摩川の自然を感じられる街へと移ってきた。
最初こそ、東京都民ではなくなった寂しさに襲われることもあったが、
今やなんの後悔もないほど、快適そのもの!
築50年にも関わらず、外装・内装ともにリフォーム済で、その古さはあまり感じない。
むしろ、昔の作りでキッチンが広いせいか、家が広々する感じがある。
そして何より、安心感がある!
「俺は50年、地震のときも多摩川決壊したときも、ビクともせずここに立ち続けてるんだぜ。俺の元で暮らすからには、もう心配いらねぇよ」
そう語りかけてくるような頼もしさと包容力を感じるのだ。
引越翌日
久しぶりの知人から連絡が来て仕事をいただき、
運気の流れが変わった=運気が上がったことをはっきりと実感した。
だが...
引越から半年が過ぎ、退社退職しサバティカル生活に入った今、
私はとんてもないことを考えている。
家買おうかな...?!
フリーターが家を買うどころではない。
無職が家を買おうと思い始めてしまった...
なぜそんな無謀な考えをし始めたのかといえば、
築年数なんて気にならなくなったため、
もうちょっと都心から離れれば、
1000万程度の中古はいくらも出てくることに
偶然、気づいてしまったから。
そのくらいの物件なら、
60まで生きれば、買ってもトントンでは?
いろいろ注意しないといけないことは多いのは分かってるけど!
そんなこんなで職を探すのではなく、
中古物件を探し、メリットデメリットを調べる日々。
いやいかん、仕事を探さねばならないのに。
でも「サバティカル、家を買う」もイケるんじゃない?
などと、どうでもよいことを考えるサバイブ生活中である。