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✳︎堕天使 ニース✳︎(15)

✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎

15ページ✳︎

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木の下に降りたニースは、頭を掻きながら小悪魔の方を向き、
「お前の名前…、まだ聞いて無かったよな。おいらの名前はニース、お前は…?」
と、ルイの事を助けたい思いがいっぱいで、頼み事をしていながら名前も伝えていない事に気が付き、申し訳なさそうに小悪魔に聞いた。

小悪魔は少し下を向くと、言いたくなさそうな小声で、
「おいらの名前は、ティモシーだ」と、言いながら、シッポが虚勢を張るようにピンッと立った。

ニースは名前を聞いて、プッと吹き出した。
「かっ、可愛い名前だな!」

小悪魔は、ニースが笑いを堪えているのがわかった。
何故なら、小悪魔はこの可愛い名前のせいで、天界でいつもからかわれていたのだ。それに対抗するように、強く見られたい思いで乱暴な言葉を使い、よくイタズラもしていた。
そんな振る舞いが神様の目に触れて天界からの追放となったのだが、この名前が嫌いな訳でもなかった。

神様がこの名前を授けてくれた時、優しく声をかけながら、白い羽を褒めてくれた。
「お前の羽はとても柔らかで、お前の目はどの天使よりも美しく澄んでいる。きっと、誰からも愛される可愛い天使になれるだろう」と…

その時は、神様の優しい手に触れられ、言われた通り誰からも愛される天使になろうと思った。天使仲間の嫌がる事はせず、誰とでも話が出来て、誰の為にも一生懸命でいた。そうする事で、誰からも愛され、信じられる仲間と仲良く過ごす事が出来ると信じていた。

だが、数人の心無い天使達が、ティモシーの名前を笑い始めると、それまで仲良しだった天使達までも、

「良い子ぶってるティモシーちゃん!神様のお気に入りのティモシーちゃん!」と、ティモシーの言葉、する事さえ面白可笑しく茶化し始めた。

その心ない天使達の罠にハマるように、ティモシーはそれまでの自分を否定し始めた。

(名前に似合う、弱そうな自分の態度が…。
神様に言われた様に、いつも笑顔で良い子でないといけないと思う自分が…。
嫌な頼まれ事も笑いながら聞いてしまう自分が…。)

ティモシーという、可愛い名前でなければ、こんな自分ではなかったのでは…!?と、
それからティモシーは変わっていき、いき過ぎた行動で堕天使となり、悪夢の仲間にまで入っていったのだった。
その頃の事を久し振りに思い出し、ティモシーは身震いをした。

あの時、我慢をしてティモシーという名前の通り、良い子でいれば追放にはならなかったのだろう…。

だが、あのままだったら…
自分で自分を守る為、虚勢を張るしかなかった。

(15ページ)
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
noteで読みやすいように、少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。

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✳︎宜しくお願いします(*^^*)
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