#自選10短歌集2021解説ゆう編
はじめまして、ゆうと申します。今回、鷹野しずかさん(@sz_uta)が企画された自選10短歌集2021に参加させていただきましたので、手前みそにはなりますが、せっかくなので自選短歌の解説をさせていただきます。(自分の短歌の解説をするのは初めてですのでどきどきします。わー)
こちらの画像は鷹野さんに作っていただきました。かわいいー。ありがとうございます。
①いま・ここに至るまでに経た生活をたばねたブーケ それがきみだよ
11月18日の短歌。同日の他の短歌を見るにこの日は「人間に凝縮された、それまでの時間・日々」ということについて考えていたみたいです。ひとが一人そこに立っているということは、そのひとが過ごしてきたそれまでの時間(=生活)があったということで、それは少し怖いなと思いつつ、なんだか信じられないような気もしてぼうぜんとします。自分以外の誰かの、知らない時間や過去のことを思うと不思議だ。
②アリナミン(伏黒恵がついている)一息に飲む 花が枯れてる
9月11日の短歌。伏黒恵さんのことはあんまり深く知らないのですが、ついているならお得じゃないかなと思います。すてきな方だとお伺いしております。近所のコンビニから帰りながら考えたうたです。
③珍しいものを見つめる表情で歴史とともに撫でられる産毛
9月15日連作「空論」の中の一つ。産毛、うで毛、むだ毛、で迷った覚えがあります。今まで一緒にいた女性たちはきっと全身脱毛してつるつるだったんでしょうね・・・という。歴史と一緒になでるな!
④カロナール 女の子の名前みたい 野を行くそばかすのカロナールを思う
8月23日連作「渋谷でワクチンをうった・前後編」の中の一つ。思えば久しぶりの連作で、現在のアカウントで一番最初にアップしたものでもあります。ハチ公バス春の小川ルートに揺られながらぼんやり考えたうたです。個人的には珍しく5・7・5・7・7をかなり大胆に無視しています。イメージは赤毛のアン。「そばかす」を「赤毛」にするか迷いました。ねつで朦朧とするひとの頭の中で、青々とした野をかろやかにゆく女の子・カロナール。
カロナール嬢(ツイッターでそう呼んでいただきました。かわいい!)のうたはもう一つ、『カロナール「ひとはそんなにすぐ死なない」私に教えるさんななてんいち』というのがあります。
⑤あたたかいJPEG指で撫でてみる スマホのバッテリーの劣化だ
11月27日連作「ハロー・ワールド」の中の一つ。三次元に生きる私が、好きなゲームのキャラクターを思う連作です。同連作内だと「心内語まで知っちゃってごめんなさい 丸括弧付きテキストを読む」といううたも気に入っています。本当は誰にも隠したいはずの心情を「神の視点」から気軽に覗き見る「私」に気づいたらきっとすごくいやだろうなぁ、嫌われるんだろうなあ、ということを時々かんがえます。
⑥踊ろうよ御伽話の目を盗みUFO迫るエンドロールで
あんさんぶるスターズ!!シャッフルユニット【月都スペクタクル】さんの「ムーンライトディスコ」という曲に寄せた連作の中のひとつです。曲として本当に完ぺき・・・最高・・・なので短歌にする意味は特にないのですが、どうしても気持ちが抑えきれませんでした。このうたは連作のいちばん最初で、いちばん最後の「UFOの丸い窓から手を振って これは来世までのさよなら」といううたと対にしつつ、時間の経過を表す的な意図もありました。リツイート先で「あんスタ短歌なんてあったんだ!」という声を見かけて嬉しかった覚えがあります。ムーンライトディスコ、良かったら聞いてみてください。
⑦冴え冴えと愚者の進行坂道を行く足裏の薔薇色のこと
わたくしがいっとう大好きなアイドル・Edenの七種茨さんの折句です(さえ・ぐ・さ・い・ばら)。今見返して、「進行」をひらがなにして「信仰」とダブルミーニングにすれば良かった……!! と思いました。くぅ。くやし~
⑧撫でるようなファルセット閉じた目のまぶたへひそかに息吹きかける
10月10日の連作「のこりび」の中の一つです。この連作は声優の内田雄馬くんのセカンドアルバム「Equal」(およびゆうまさんご本人)に寄せてかいたもので、このうたは特にトラック1の「You & I」を聞きながら考えたような覚えがあります。ゆうまくんの歌は緻密で丁寧で、柔軟で優しくて気持ちよいです。視界が開けていくというか、自分が広い場所に立っているということを思い出す、みたいな。ぜひ聞いてみてください(各種配信サイトでサブスク配信しています)。かれこれ六年くらい彼のことが大好きで、これからもずっと好きでいられたらと嬉しいなと思います。
⑨昼間から飲む酒を買うすっぴんのひとを真冬の青は責めない
12月1日の短歌① いろいろあって現在めちゃめちゃ無職なのですが、この時期は毎日昼過ぎに起きて近所のセブンでお酒を買って昼間から飲んでいました。真冬の晴天は純度が高いような気がします。日焼け止めもせずに真昼の日光を浴びるのは気持ち良いことで、それは誰にも責められない。
⑩トーストのバターがひなたで光ってる 寝坊したひとみんなかわいい
12月1日の短歌② 自分も含めての「みんな」です。祈りみたいなきもちの短歌です。けっこういろいろな方に褒めていただいて嬉しかった短歌。みんなかわいいので、大丈夫だと思います。思いましょう。という、祈り。
以上です。
このような素敵な企画に参加できたことほんとうにうれしく思います。ありがとうございます。他の参加者の方の短歌ももちろん素晴らしい粒ぞろいなので、ぜひのぞいてみてください。