『良い/悪い』の大半は実は『合う/合わない』のことだったりする。
役職柄もあって周囲から提案や相談を受けたり、ときには現状についてうれしいことや不満&愚痴を聞く機会があります。他人の考えを聞くというのは新しい世界を知ることができるのでどんな内容であってもありがたいことだなって思います。
話を聞いているとよく(当人以外の)物事について『良い/悪い』論になることがあります。「あの人のやり方のここが良い/悪い」とか「会社のここが良い/悪い」みたいなことですね。それはその方の価値観で思っていることなので、特に否定することではなく、その人にとってはそれが事実なのだろうからどんな考えでも良いと思います。
※その価値観を強引に他人に押し付けるのはよくないとおもいますけど。
ただ、よくよく聞いてみると『良い/悪い』で話されていることって実は自分にとって『合う/合わない』の話なんじゃないの?って思うことがあります。
良いか悪いかって『結果論』だと思うんですよね。
結果が良ければやり方は(公序良俗に反していなければ)別になんでもよくって、やり方自体に『良い/悪い』はあまりないんだと思うんです。
※唯一の『正解』があるようなものではないのですから。
逆に結果が悪ければ良かれと思ってやっていたやり方は結局『悪かった』ということになります。
それなりの経験者でなければ結果に至るまでの経緯(やり方)に対して『良い/悪い』の判断を確度高くするのって難しいと思うのです。
なので、話を聞いているときは頭の片隅で「これって良い/悪いじゃなくて、実は自分に合う/合わないの話をしているんじゃないの?」って思って聞くようにしています。
わかりやすいところでいうと、さきほど記載したように個人や会社の活動においての「良い/悪い」論がありますね。
たとえば「あの人のやり方のここが悪いと思う」という話がでた際に、対象となる相手の現状の結果はどうなんだろう?と振り返ります。いい結果をだしているのであればそれは「その人が悪いわけじゃなくてあなたの考え方に合っていないだけ」かもしれません。逆に結果も悪いのであれば、それは本当にやり方も含めて悪いのかもしれないですね。
会社に対しても一緒ですね。「会社のここが悪いと思う」というのも、会社の業績が悪いのであれば本当に悪いところがあるのでしょう。逆に会社の業績が好調なのであればそれは「あなたの考え方が会社の方向性と合っていないだけかもしれない」となります。
もちろん業績にまで影響が起きていないけれども『良い/悪い』状況というのもあると思います。でもそれって100人いて100人が同じ考えのわけはないので、自分が悪いと思っていても他の人たちは良いと思っているかもしれない。判断基準の軸が『自分』になってるからその人にとっての『良い/悪い』の判断になっているのであり、まさしくそれって自分にとって『合っているか/合っていないか』でしかないと思うのです。
違うパターンでは、自分自身のことで『良い/悪い』を言う場合がありますね。例えば自分の性格のこういうところが良いところ、悪いところ、みたいな。いわゆる長所/短所のような話です。
これも自分の価値観で『良い/悪い』を言っているのであって、他人からみたら実は悪いと思っていたところが良いところだと思われているかもしれない。逆もしかり。
※これも自分や他人にとって『合う/合わない』の話なのかなと。
・・・なので『良い/悪い』はどこの立場からみるかによって変化するものだと思います。
しかし、これらとは違って絶対的なルールがあることのもとで行う活動はそれが軸になって判断されるので『良い/悪い』が判断できます。これは法律とかスポーツとかですね。サッカーで手を使ったらハンドになって反則(いわゆる『悪い』こと)になります。これは価値観による『合う/合わない』ではなくて本当の意味で『良い/悪い』の話ですね。
※これもある意味、結果論での『良い/悪い』だとも言えますね。
つらつらとそんなことを書いておきながらも、僕は会社では『良い/悪い』を言います(苦笑)。これは軸(立場)を『会社』側に置いてみているからです。
会社には『企業文化』があり、やるべき『事業』と目指すべき『ビジョン』があります。社長である僕はブレてはいけない『会社』という視点を軸にして『良い/悪い』の判断をします。要するに『会社にとって良いか悪いか』ということです。
会社という軸がない場合の僕の個人的な視点でいえば「人それぞれ考え方があるんだから基本的になんでもOK」なのですが、会社という視点でみると明確に『良い/悪い』の判断が発生します。このため、個人的には良いと思っても会社としては良くないという判断がでることがあります。
※・・とはいえみんなさほどズレたことはやらないので『悪い』という判断がでることはあまりないですが。
この場合も最終的に『良い/悪い』が決まるのは結果次第だと思うので、だからこそ社長は自分の判断をしたうえでの『結果責任』が大事だと思います。
人間は誰しも自分の価値観で生きているのですから、周囲にたいして様々な評価をしていいと思います。ただ、その際に自分で言っている『良い/悪い』の評価が実は自分にとって『合う/合わない』ということだったとわかったときはぜひ一旦主観的な視点を捨てて俯瞰して客観的にみてどうなんだろう?と思えると良いかと思います。
僕も毎度できているわけではないですが、そういう心持ちをしているだけでちょっと冷静になれる自分がいたりしますので。