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『仕事の基礎』ができているだけで実は差別化はできている。
D2Cdotではクライアントから「現在お願いしている制作会社から御社にリプレイスしたいのですが・・」と相談を受けることも多々ありました。
現状の制作会社のなにが不満なのかをヒアリングすると(単純に金額というのもありましたが)「対応が遅い」「作業が雑(ミスが多い)」など至ってごく普通のことができていない、という理由が多かったように思います。
仕事は結局『人対人』で行われるものですし、ある種『サービス業』『人気商売』でもあるわけなので、基礎がしっかりできていて心地よいやりとりができた人(会社)が『優秀な人材(会社)』と言われるのもわかる気がしますね。思えば僕も現場をやっていたときに、もっとも評価されていたのは『クオリティの高さ』とかよりも『レスの速さ』でした(苦笑)。
よく「自社(自分)は他社(他人)との差別化ができていない(強みがない)」と嘆いている人がいます。おそらくその『差別化/強み』を唯一無二のものでなければいけないと思っていたり、はるか高みに設定しているがゆえに悩んでいるのだと思いますが、実は『基礎的な行動』ができているだけでも他社(他人)との差別化になっているのではないか?と思うのです。
では、その基礎的な差別化とはどのようなものがあるのか?
■レスが速い:
これは先述のように僕がもっとも評価されていたものです(笑)。
人は自分が発したコトに対して極力早めにレスポンスをほしがるもの。
質問した内容にテンポよく即返答がもらえると気持ちいいですよね。
※欲しいものが欲しいタイミングで手に入る、というか。
僕は昔、チャットやメッセンジャーが存在していなかった時代から、メールで同様のスピード感で即レスを心がけていました(笑)。このため、クライアントからは「会話しているみたい」と驚かれたこともあります(笑)。
僕はここにプラスで「連絡のやりとりの最後は必ず自分で終える」ということを心がけていました。相手からいただいた内容を「確かに受け取りました」という意思表示を最後にするということが安心感をもってもらうのに大事だと思っていたからです。
■言われたことがしっかりできる:
「言われていることしかできない」というのはよくネガティブな表現として使われますが、僕は逆に(言われたことのレベル感にもよりますが)「言われたことができる」のはすごく優秀な人だと思うのです。
「言われていることができない」人の方が実は多いと思うんですよね。
「言われたことができる」ことに加えて、ひとつかふたつでも期待を超えることを追加できるとさらに信頼されることになると思います。
■資料が丁寧(見る側の視点で書かれている):
これは別にページ数の多い資料をつくれということではなく、「必要な情報がすべてそろっている」とか「説明がわかりやすく簡潔に書かれている」などといった基礎的な話です。
その資料が最終的に『誰が』『どこで』見るものなのか、まで考えられてつくられているとなお良いと思います。投影してみる資料と手元で紙にしてみる資料は構成が異なるでしょうし、見る人の年齢や役職によってもフォントの大きさや必要な情報が変わってくることでしょう。
■業務にミスやヌケモレが少ない:
例え小さなミスであっても、何度も繰り返されてしまうと「この人大丈夫か?」と不安になってしまうもの。そうなると提出されたアウトプットにも何度もチェックをしなければいけなくなり、結果として手間だけが増えていきます。人間なのだからミスやヌケモレは完全になくすことはできないでしょうが、極力なくして安心して任せてもらえる関係になりたいものです。
■先回りして次に起こる事象を説明する:
仕事には必ず納期までのスケジュールがあります。その進行期間中にクライアントがに適宜報告や説明をすると安心して任せていただけます。
いま何が起きているのか、今後何が起きるのか、その際に何をお願いしたいのか・・・等々、急に伝えて驚かれないように事前に先回りしてお伝えし、ときには誘導してあげられると『デキる人材』と思われるでしょう。
■期待以上のクオリティを出す:
クライアントは自身に知識がないことであったり、自身でやるよりも優れたものが仕上がると思うからお金を支払って外部の専門家にお願いしているわけです。自分でやった方が良いのであれば、わざわざお金を払う必要がありません。このため、提出するアウトプットにはなぜこのようなアウトプットになったのか自身で説明ができるようにする必要があるでしょうし、その結果がクライアントの期待を少しでも超えるものである必要があります。
※良い意味で「おっ!」と思わせられることが大事ですね。
■最後まで責任をもって遂行する:
こんなの当然だと思うでしょうが、実は最後までやりきらずに途中で投げ出す人って意外と多いです。契約ありきの案件の場合は最後までやりきるのが当然なのですが、その『やりきり度』がすごく無難なところに落ち着いてしまったり、ひどいときには求められた仕様通りに着地せずに終えようとする人もいます。
また、案件の進行では当然イレギュラーなことが起きたり問題が起きたりするのは常なこと。そこで投げ出さずになんとかやりくりして最後までやり切れる人は信頼を得ることができます。
上記のように、書かれていることは至って基礎的なことばかり。
「こんなことプロなんだからできて当たり前でしょう?」という声(もちろんそうなのです)が多方面から聞こえてきそうですが、でも定期的にリプレイスの相談がくるということは、これらを実行できていない会社や人が意外と多いということなのかなと。
このため、このような至って基礎的なことができているだけでも実は『差別化ができている』『強み』だと言えるんじゃないかと思いました。
ただ・・・難しいのは『言葉にするとどれも至って当たり前』のことだけに、それを自社の強みとしてアピールしづらいところです(苦笑)。
「弊社はレスが速いです!」「弊社は最後まで責任もって遂行します!」と訴求しても「それって当たり前でしょう?」と言われるのがオチ。
※実際は当たり前じゃないから相談がきているのですが。
この「強み」は実際にお取引をさせていただいて実感してもらわないと伝わらない、というのが最大の問題です・・。
・・なので、『新規開拓のための差別化/強み』というよりは、『リピーターになってもらうため・紹介をいただくための差別化/強み』であるといえるのかもしれません。