『3びきのくま』

姉は小さい頃から本が好きだった
買ってもらった本は自分の机の棚に置いていた

そんなに本を読まない私ではあったが
姉の持っている絵本『3びきのくま』が大好きだった

しかし姉は自分の本をなかなか見せてはくれない
もちろん勝手に触ろうもんなら大変だ

ある日、私は体調が悪くうなされていた
二段ベットの上に寝ている姉が夜トイレにいった
そしてベットに戻った時下をのぞいて
「読んであげよっか」とあの絵本を持っていた

姉は妹の世話をするような姉ではなかった
また私は姉を頼るような妹ではなかった

お世話をしたり頼ったりに慣れていない姉妹
この時絵本を読んでもらったかは覚えていない
でも、ぎこちない姉の声掛けはずっと忘れない



今は随分と疎遠になっている

大人になり近くに住んだり一緒に住んだり
数える程でも買い物に行ったり食事に行ったり
カラオケに行ったこともある

特段仲が悪いわけではない
しかし仲が良いわけでもない

近づくといろんな思いも生まれる
居心地のいい距離感が姉妹であれ必要だ

これからも疎遠なままかもしれないが寂しさはない
『3びきのくま』があるから

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