ポメラ日記 2020年2月25日(火) みんな同じ名前の夜
ぱんださんが保育園だ。うれしい。
とはいえ、三日休んでの登園でちょっとぐずついているぱんださんをあれこれ宥めて送り出したら、がくりと力尽きた。
これは気圧じゃろ…と床に伏している間に午前が終わる。
授乳中などに『キリン解剖記』を読む。キリンの遺体と真摯に向き合い解剖し続けて、誰も知らなかったキリンの体の動きの謎を解き明かした経過のエッセイだ。それだけでめちゃくちゃ面白いし、そもそも動物の遺体を解剖するとはどういうことか、ということからして垣間見られてすごい。しかも割と気楽に読める。とてもよかった。
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午後もかなり時計が回った頃になんとかかんとかよんださんを散歩に連れ出した。
道に、沈丁花の香りがむせかえるように匂っておどろく。
季節は一日ごとに進んでいる。わたしが床に転がっている間にも。
そういえば、よんださんは季節と同じくらいの速さで成長していて、お座りも上手になり、いろんなものに興味を持って手をのばす。
よんださんが、服の模様の花に手をのばして花をつかみたがると、なぜかわたしは泣きたくなる。
きみが手をのばすもの全部がきみを裏切らずに、その手につかめたら良いのに。
早足で戻って、よんださんをささださんに託し、ぱんださんを迎えに行く。
耳がかゆいというので、はじめての耳鼻科に連れて行くのだ。
自転車でぴゅーと連れて行ったら、勢いがつきすぎてワンブロック通り過ぎてしまった。
なるほどここね、と頷きながらちょっと戻って角を曲がる。
注射ではない、と聞いて安心していたぱんださんは、耳に器具を突っ込まれて耳垢をピンセットで取られて痛くて泣いていた。
ご、ごめんだましたつもりではなかったのだ…わたしも予想していなかった…。
しかし耳がかゆいのはそれとは関係なく、皮膚の乾燥が出たのだろうということだった。
傷ついた顔のぱんださんが、この絵本を読まないと帰らない、と主張する絵本を読んだらクソくだらない内容で、余計に殺伐とした気持ちになって帰った。
夜寝るとき、ぱんださんがまた想像上のお友達、「けんた」を呼び出す。
けんたの役をしてちょっと付き合っていたら、ぱんださんは自分もけんただと言い出した。
よんださんもけんただ。
ささださんが「おとーさんは?」とわくわくして聞いて、無事に「おとーさんのけんた」と呼ばれていた。
けんたみんなで並んで寝た。