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大反響の危険度問題を解説 3pはどれくらい当たるのか?

 おはようございます、ヨーテルです。

 先日、Twitter上でこんな問題を出しました。ちょっと解いてみてください。


危険度問題

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 上の捨て牌でリーチがかかりました。これに対し、自分は一発で③を勝負しようと思っています。

 ③は危険牌で、昔はソバテンは50%当たるなんて言われたものですが、このケースでは50%も当たることはないでしょう。

 では、③の放銃率は何%?


1 15%以下

2 15~25%

3 25~35%

4 35%以上




 では早速、正解発表にいきましょう。

 正解は……1番『15%以下』でした!解説は後ほど。


 Twitter上では、1835人の方に回答いただきました。ありがとうございます。

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 66.8%の方が正解。正解した方、おめでとうございます。


よくわかる解説

 麻雀の両面待ちというのは、全部で18パターンあります。

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 つまり、それぞれの両面待ちに放銃する確率は18分の1となります。

 しかし、実際には通っているスジがありますので、それを消していきましょう。

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 では、残ってるスジを数えます。

 マンズで5本、ピンズで4本、ソーズで4本。ということは5+4+4で13ですね。

 つまり、3pが放銃となる確率は1/13。百分率に直すと約7.7%。

 よって、正解は1番の15%以下となります。


……え、なんだって?納得できない?そもそもソバテンは他の無筋より危険度が高い?

 了解です。では、仮に3pの放銃率を15%と仮定したとしましょう。その時は、2-5p待ちの放銃率も15%になります。2-5p待ちもソバテンですからね。

 となると、3-6pと2-5pで全体の放銃率の30%を使ってしまうことになるので、残りの70%を他の無筋で分け合うことになります。

 すると、各無筋の放銃率はこうなります。


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 これは流石に無理があると思いませんか?もちろんソバテン故、多少危険度が上がることはあるかもしれません。

 しかし、いくらソバテンだからと言って、他の無筋の2.5倍危険になるなんてことはありません。

 僕はシミュレータを使って正確な危険度を出すことはできません。

 しかし、簡単な論理で導ける結論として、この問題において3pの放銃率が15%を超える事は絶対にない事だけは確かです。


問題の意図

 麻雀に詳しい方は、問題を見てこう思った方も多いと思います。「この問題、ちょっと簡単すぎないか……?」と。

 明らかに通ってない牌が多すぎる捨て牌。どう考えたって、片無筋の3pの放銃率が15%を超えることはありえない。

 実際正答率は66.8%と、3人に2人の方が正解するというイージー問題でした。

 

 しかしその一方で、3人に1人は間違えてしまうという事態が起こりました。

 しかも、25%以上と答えた方が全体の11.4%。実に200人以上の方が、4回に1回は3pで放銃するだろうと思ってしまったということなんですね。

 なぜこんなことがおきたのでしょうか?


 実はこの問題、とある心理学の実験を兼ねた問題で、間違えるように誘導された問題だったのです。

 もう一度、問題文を見てみましょう。


 上の捨て牌でリーチがかかりました。これに対し、自分は一発で③を勝負しようと思っています。

 ③は危険牌で、昔はソバテンは50%当たるなんて言われたものですが、このケースでは50%も当たることはないでしょう。

 では、③の放銃率は何%?


 注目してほしいのは、この2つの文です。

 これに対し、自分は一発で③を勝負しようと思っています。

 ③は危険牌で、昔はソバテンは50%当たるなんて言われたものですが、このケースでは50%も当たることはないでしょう。


 よくよく見れば、この2つの文は問題に入れるには完全に不要な文となっています。

 上の捨て牌でリーチがかかりました。③の放銃率は何%?で問題としては事足りますからね。

 しかし、この文があることによって実際よりも放銃率を高く見積もってしまうという影響が出てしまうのです。


 まず、一発であるかどうかは放銃率に影響しません。

 そして次の文。言っていることとしては、ソバテンは50%も当たらない。これだけです。

 しかし、この文こそが想像の中で放銃率を爆上げしてしまう大きな要因となっているのです。


 この問題に回答した人は、だれしもが麻雀に詳しいわけではありません。1年に1回麻雀を打つだけの人や、麻雀配信を見ただけで自分は麻雀を打ったことがない人もいるでしょう。

 そういった人は、牌の危険度を整理するための情報を十分に持っていません。

 だからこそ、問題文の50%という数字に意識が引っ張られてしまうのです。


 そして、次に選択肢にも仕掛けがあります。選択肢は「15%以下」「15~25%」「25~35%」「35%以上」の4つでした。

 ソバテンは50%も当たらない……なら何%なのか?と考えた時、十分な情報を持たない人は50%からわずかに減らした値を推測してしまいます。

 そして、あたかもそれが正解であるかのように、本来の正解と比べて高い値が選択肢に提示されています。

 だからこそ、論理的に考えればあり得るはずのない25%以上という回答を、200人以上もの人が選んでしまったのだと考えられます。

 もし、選択肢が「0~5%」「5~10%」「10~15%」「15%以上」の4つなら、15%以上に33%の人が投票することはなかったでしょう。

 これを心理学用語で「アンカリング効果」と呼びます。最初に提示された情報をアンカー(船の錨)として基準にしてしまい、後の推定に影響を及ぼしてしまうという現象のことです。


 例えば、こんな経験はありませんか?

 発売当初は5万円もするゲーム機が、しばらく経ったら3万円に値下げされてて凄いお得だなと思ったこととか。

 お一人様5個までと書いてあった商品を、必要もないのに5個買ってしまったこととか。

 これらは全てアンカリング効果。最初に提示された数字に引っ張られた結果なのです。

 実際には、ゲーム機は3万円で売っても十分利益が上がりますし、お一人様5個までの商品は、制限を付けなかった時と比べて売れるそうです。


 アンカリング効果の影響を受けないためには、十分な知識を付ける事が必要です。実際、66.8%の人は仕掛けをかいくぐって正解しています。

 昔、裏スジは危険という知識がありました。故・小島武夫氏が提言した有名な麻雀理論ですが、昔は麻雀研究が今ほど進んでおらず、巷の麻雀ファンの中には捨て牌読みの知識がこれしかないという人もいたと思います。

 そういう人にとって、裏スジは本来の危険度より何倍も危ないものに感じてしまったことでしょう。捨て牌読みの情報が不十分であったために起きたアンカリング効果です。


 ぶっちゃけ、麻雀は知識ゲーです。より多くの知識をより多く活用した者が勝ち組になれるゲームです。

 今は本当に恵まれた時代になりました。YouTubeにいけば強者たちが優しく麻雀のことを教えてくれる動画がいくつも転がっています。

 麻雀配信にいけば、強者と双方向で麻雀のことが学べます。

 僕が麻雀を覚えた10年前だと、動画で学ぶと言っても、天鳳の実況プレイ動画を上げてる人が何人かいたくらいでしたので、それを何回も繰り返し聞いて頭にしみこませるしかありませんでしたからね。体育会系です。

 誰もが強くなれる環境は、もうできています。後はプレイヤーの努力次第です。


まとめ

 今回は、少ない知識で麻雀を打つと、自分の持っている知識を重視しすぎてしまうあまり、間違った選択をしてしまうよと言うお話でした。いかがだったでしょうか?

 ちなみに、Twitter上で問題を出した時、3pの危険度についてツイートしてる人はありがたいことに大勢いましたが、問題の不自然さについてツイートしてる人は一人もいませんでした。(僕が見落としてるだけかも……)

 意外と気付かないものなんですよ、人間って。面白いですね。

 麻雀×心理学系の話は大好きなので、今後も時々投稿していけたらと思っています。

 それではみなさん、ごきげんよう。



参考資料

アンカリング効果とは?現場での活用例を学ぼう

【ゆっくり解説】知っていても防げない… 数値を誘動するアンカリングの心理学

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