河合須弥(kawaisumi)

1995生。別名義でライター業をほそぼそとやっている。ハッタリとこじつけだけで生きてい…

河合須弥(kawaisumi)

1995生。別名義でライター業をほそぼそとやっている。ハッタリとこじつけだけで生きていくことに決めたぞ。 Twitterやってます。 跡地→https://kizzmee.hatenadiary.jp/

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  • 佐野元春

    佐野元春の詞(詩)について感じたことや考えたことを書いています。

最近の記事

『今、何処TOUR 2023』感想(ネタバレなし)

『今、何処ツアー』静岡公演に行ってきた!いやー最高だった!魂ぶち上りました!!! ~『今、何処ツアー』感想おわり~ ……いや、ちょっと待ってくれ。待ってください。 何も書く気がないとかじゃなくて、いろいろな思いを集約した結果「最高」以外にふさわしい言葉が浮かばなかっただけなんだ。モノを書く人間としてそんな妥協を自分に許すのか、みたいなことを思う人もいるかもしれないけれど、やっぱり「最高」のひとことに尽きる。 とくに静岡公演は、長年にわたって佐野元春を追いかけてきた人ほ

    • 佐野元春との2度の出会い

      さいきん佐野元春について知ったふうな口を叩いている「河合須弥」とかいう馬の骨佐野元春の詞(詩)を題材にしたエッセイの投稿が、本稿でちょうど10本目になる。 これまでの記事を通じて自分に関心を寄せてくれた人が一人でもいるのなら、それは大いに幸甚である。無名の書き手にとって最初かつ最大の難関が、まず読んでもらい、興味を持ってもらうことだからだ。 今回の記事は、そんな、佐野元春にまつわるエッセイを機に「河合須弥」に目を向けてくれた稀有な方々に向けたものだ。自己紹介も兼ねつつ、自

      • 猫をさがしていた(朝が来るまで)

        夜勤の施設警備員をしていた頃のおれは、毎日が無味乾燥で平坦だった。 退屈を気にしない人間だったからそれ自体は苦にならなかったものの、あまりにも無風地帯のような世界であったがゆえに、ちょっとしたつむじ風程度の事件もハリケーンのごとく現場全体をかき回した。 現場全体といっても、配置されていたのはおれひとりだったのだけれど。 ◆ 都心にある高級マンションの管理室。午前1時過ぎ、不意に鳴った電話の受話器を慌てて取る。 「あの、さっき駐車場に車停めたら、猫が入り込んでたんです

        • 【楽曲紹介】仮面の下にある“当たり前”を忘れないために【佐野元春】

          おれたちは、もはや自覚ができなくなるくらいに、四六時中深々と仮面を被っている。 仕事で求められる役割を演じるための仮面は言うまでもなく、初対面の人間に敵意がないことを示すための仮面、あるコミュニティにおける暗黙のルールを守るための仮面、SNS上のキャラクターを形作るための仮面など、枚挙にいとまがないだろう。 もちろんこれらの仮面は、他者とのコミュニケーションや特定のミッションを円滑に進めるうえで必要だからこそ被られるのだから、悪と見なしてはならない。 また、おれはこの記

        『今、何処TOUR 2023』感想(ネタバレなし)

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        • 佐野元春
          11本

        記事

          【楽曲紹介】欺瞞的クリエイティブ職と市場原理主義社会【佐野元春】

          先日、ある映画の感想に紐づけるかたちでこのようなツイートをした。 要するに“クリエイティブ職なんて嘘くせえよ”ということである。 固定賃金・固定報酬にもとづいておこなわれるコンテンツ制作は、基本的に依頼者の“ある要請”が出発点となる。 “ある要請”とは、特定の商品を売るとか特定のページに移動させるといったように、あたかも動線を引くがごとく、受け手の行動を具体的な地点にまで誘導する要請のことである。 それによってできあがったコンテンツとして代表的なのは、広告それ自体や、

          【楽曲紹介】欺瞞的クリエイティブ職と市場原理主義社会【佐野元春】

          【楽曲紹介】優しい闇のリアリズムがあったからこそ、おれは正気を保って生きてこれた【佐野元春】

          20~23歳にかけてのおれは、ほとんど“無敵の人”一歩前だった。 大学受験から逃げ、新卒での就職に失敗し、親には適当な言い訳をして夜勤の施設警備員のアルバイトに明け暮れていた。何をして、どこに向かえばよいのかわからない日々だった。 すべて自分が悪い。システムに適応しきれず、かといって逃げも闘いもできず、目の前の壁を打破するための努力を何一つしてこなかったのだから。でも、社会の何もかもが虚飾と欺瞞に見える感受性だけは自分でもどうにもならず、そこに順応しているつまらない大人た

          【楽曲紹介】優しい闇のリアリズムがあったからこそ、おれは正気を保って生きてこれた【佐野元春】

          【楽曲紹介】ドアを叩く誰かの到来を知ったその瞬間、君は炭酸ジュースの劇薬に気づくことになる【佐野元春】

          これまで4回にわたって、ニワカのくせに知ったふうな口を叩きながら佐野元春の詞(詩)を解釈してきた。というか、それらしいフレーズを羅列して無理やり何かにこじつけてきた。 その理由は、佐野元春の紡ぐ言葉に不可思議な引力を感じており、その言葉の芯をとらえて何とか自分なりに言語化したいと思ったからだ。 しかし実のところ、早くも第五回でこのような試みが挫折した。 先輩リスナーたちがとうの昔に通過し、感じ取ってきたことかもしれないが、佐野元春の詞(詩)には、表面的な頭の解釈では到達

          【楽曲紹介】ドアを叩く誰かの到来を知ったその瞬間、君は炭酸ジュースの劇薬に気づくことになる【佐野元春】

          【楽曲紹介】限りなく近くて果てしなく遠い君の美しさに、おれも心奪われて泣きそうになった【佐野元春】

          今さらなにを言う、と思われそうだが、佐野元春の書く詞(詩)はとても美しいと感じる。でもおれは、その美しさの正体をうまく掴めていない。 無論、ひとくちに“美しい”と言ってもさまざまな様相があり、佐野元春の詞(詩)においても一つひとつの作品が多彩な美しさを醸し出している。 しかしながら、ひとりの人間から生まれ出た言葉である以上、全体を伏流するエッセンスがなにかしらあるはずだ。 1曲だけに着目しても考察できる程度はたかが知れているかもしれない。それでも、詞(詩)の美しさという

          【楽曲紹介】限りなく近くて果てしなく遠い君の美しさに、おれも心奪われて泣きそうになった【佐野元春】

          【詩】少年と石ころ

          その少年は 部屋の片隅で 小さな石ころを握りしめていた じっと かたく いつまでも その石ころだけが 少年にとって ほんとうのことだったから 閉じられた窓ガラス 夕日が差し込んできました

          【詩】少年と石ころ

          【楽曲紹介】沈みゆくネイションで魂をぶち上げる、それが若者の仕事だとおれは強く信じることにした【佐野元春】

          約5年前、年齢の近い女の子(当時20代前半)に、好きなミュージシャンは誰かと訊かれたことがある。その際おれは、少し迷って佐野元春と答えた。 少し迷った理由はふたつある。ひとつは、好きなミュージシャンをひとり(一組)に絞って即答することが単純に困難だったこと。ふたつは、その女の子が佐野元春を知っている可能性が低かったこと。 でも、先に書いたようにおれは佐野元春と答えた。その女の子と話す少し前に佐野元春を聴いていて、頭の中にメロディーや歌詞の断片がまだ残っていたからだ。 案

          【楽曲紹介】沈みゆくネイションで魂をぶち上げる、それが若者の仕事だとおれは強く信じることにした【佐野元春】

          霊媒師になったお前へ

          勉強もスポーツもできず、グレるにも中途半端だった小中学校の同級生が霊媒師になっていたことを知る。なるほどお前は「そっちのほう」に行ったのか、という感想。 同級生に向ける感情にしてはやけに淡泊じゃないか、と感じるかもしれない。しかし、それには理由がある。顔を見たくないほど嫌いだったからだ。 以降、そいつのことを便宜的に「S」と呼び、少し彼の話をしようと思う。 ◆ Sが霊媒師になっていたのを知ったきっかけは、ある占い館のHPで彼のプロフィールを発見したことだった。もっと手

          霊媒師になったお前へ

          【楽曲紹介】刹那はヴァギナ、それってもはや神話の域じゃないか!【佐野元春】

          前回、3月13日は佐野元春の誕生日だったという話をしたが、調べてみたら、アルバム『ZOOEY』(2013年)がリリースされたのも3月13日だったそうだ。しかも今年で10周年である。 というわけで『ZOOEY』の中でも特に好きな楽曲について書いてみようと思う。 『スーパー・ナチュラル・ウーマン』だ。 この曲を聞いた誰もが一度は「ん?」と耳を傾けるポイントがある。それは「刹那」を明らかに「ヴァギナ」と発声している点だ。つまり「そうさその柔らかなヴァギナで世界を抱きしめてる」

          【楽曲紹介】刹那はヴァギナ、それってもはや神話の域じゃないか!【佐野元春】

          【楽曲紹介】自分をゼロにしないための「楽しい立てこもり」【佐野元春】

          3月13日は佐野元春の誕生日だったそうだ。なので、あまり詳しくはないが佐野元春について自分が感じることを少し書いてみようと思う。 佐野元春の近年の楽曲(コヨーテバンド以降)の中で特に好きなのは、アルバム『Blood Moon』(2015年)に収録に収録された『バイ・ザ・シー』だ。 アンフェアでより過酷になっていく世の中で、うまく適応できず焦燥感に駆られている「君」がいる。むしろ人間ではなく時代そのものが「場違い」なのではないかとも感じられてしまう。 佐野元春の楽曲では頻繁

          【楽曲紹介】自分をゼロにしないための「楽しい立てこもり」【佐野元春】

          【雑記】オルタナティブがもたらす「祝福」と「呪い」について(タイ渡航にまつわる話)

          最近、日本での暮らしがひどく重苦しくてつらいものだと感じる。 今年の2月、ほぼ一カ月間を通して、タイのチャンライにある母方の実家に滞在していた。仕事を辞めて。理由はいつか別の機会で詳しく語るかもしれないが、簡潔に説明すると祖母に会うためであった。 そして2月末に日本に帰国した。それから今日に至るまで、とにかくタイでの暮らしと人々が恋しい。 タイに行くのは約10年ぶりであった。仕事でまとまった休みを取れなかったことも一因だが、その間、幼少期や10代のころ何度もタイに滞在し

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          【雑記】ねこと輪廻

          来世ねこに生まれ変われるなら輪廻を信じる。 地獄に落ちるなら信じない。 そしてこういう発言が地獄行きポイントをためていく。 ちょっと真面目に書く。おれは、前世は何だったのか、来世は何に生まれ変わるのか、といった点では輪廻転生に興味はない。だが「前世や来世にとっての今世とは何か?」という問いを立てた場合においては、輪廻転生に惹きつけられる。 つまり、輪廻転生に向き合ううえでの視座を「今世→前世・来世」とするか「前世・来世→今世」とするかでは問いのアプローチが大きく異なり、お

          【雑記】ねこと輪廻

          【雑記】無職になった。お前ら、今はとりあえず駄々をこねてわざとつまずくんだ。

          1月末に仕事を辞めて無職になった。それから現在に至るまで、働こうという気がまるで起こらない。転職サイトの求人を眺めては、「やりたくねえなあ」とつぶやいて閉じる日々。 無職期間は今のところせいぜい一カ月程度なので、まだまだ「休養期間」「充電期間」と呼べるかもしれない。ただ、就労意欲の低さの原因が、疲労やストレスの蓄積といった類のものではなく、ただの怠惰でしかないため、いくら休んだとしてもおれにとっては休んだことにならないのだ。 よって、仮にあと半年間同じように働かず過ごした

          【雑記】無職になった。お前ら、今はとりあえず駄々をこねてわざとつまずくんだ。